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新たな特務と友人

3か月後


俺の体への順応も終わり、隊として活動できる状況になったので、第00小隊も出征してきた。ついに魔族との戦争に参戦することになる。奴らのやったことは許されることじゃない。それにもう和平はできる状況ではない。だが、戦況はまだ開かれていない。


その原因はここ最近の世界の状況は大きく変わっていることにある。聖国と帝国の状況が大きく動く結果となったからだ。聖国ではついに国民による反乱が起きた。枢機卿を中心とした天神教の上の連中を追い出すという結果となり、枢機卿らはダークエルフの領に逃げ込んだ。レオナルク王国などの同盟各国は枢機卿らダークエルフが国民の大虐殺をするかと思ったが、何故か枢機卿らは逃げることを選んだ。


そして、聖国は枢機卿らがダークエルフであった事を発表した。それにより、かなりの反発が他国よりあった。特にレオナルク王国はダークエルフによる襲撃を発表していたので、国内の天神教への当たりは厳しいものとなった。天神教徒が王国内にほとんどいないだけ、まだマシだが。


これらの結果、アルサード帝国は完全に消えた。帝国内で聖国へ組みしていた皇帝一派を帝国内の反政府勢力が一掃して政権を取り、レオミラン王国との合流をする事になった。皇帝は処刑され、皇帝の家族は幽閉となった。


レオナルク王国の元王子と貴族派の連中は帝国内を追われて、数を減らしながら、ダークエルフ領に行き、身を隠した。


さらにレオナルク王国内では大きな問題が起きた。それは御神体が盗まれたのだ。俺や母上らが守った辺境伯領で見つけた御神体は王宮に持ち帰られ、厳重な警備のもと、封印をされていた。


しかし、昨今の泥棒の増加のせいで王都の警備が手薄になったところを狙われた。ちょうど俺らがこっちにきたばかりの頃だった。それを聞いた時、俺たち第00小隊は悔やんだ。


同盟はついにレオナルク王国、獣人族国家、商業都市国家群、小国国家群、レオミラン王国、多民族国家群の3カ国と3地域の同盟となり、まさに魔族とエルフ以外の全て種族が一つになった。


そんな折に俺ら第00小隊はここ、レオサード領にある要塞都市、レオ・ガウルにいる。ここは有角族領での戦争で獣人族国家ガウランとレオナルク王国との強い結びつきが生まれて事からレオ・ガウルと名が付けられた。


俺らは今日も朝から訓練している。最近は大将である兄上や、リット副騎士団長、クリス先輩らも俺ら第00小隊の訓練に参加している。今や最も厳しく、最も多く訓練している隊として有名で、騎士団最強と言われている。まぁ訓練量は他と比べられないとは思う。


「兄上、お疲れ様です。こちらタオルです」

「ああ、いい運動になる。将軍なんてのは体を動かす事がほとんどないな」


「まあ、兄上ももう30になられたのです。そういった役割をこなす年です」

「ああ、そうだな。マルクが羨ましいな」


「私は兄上のようなエリート街道ではないですから、冒険者上がりの雑草です」

「その雑草が将軍より強いがな」


「踏まれて強くなるのが雑草です。兄上らいい壁がありましたし、多くの苦労を重ねた結果、個の強さは抜きん出ただけです」

「そうか、雑草は踏まれれば強くなるか」


「ええ、そうですね」

「マルク、この後、私の執務室に来てくれ。第00小隊に任務を伝える」

「はっ」


そして、俺らは少し休憩した後、今日の任務である、哨戒任務について、打ち合わせをして、ヤイを中心に哨戒任務についてもらい、俺は大将執務室に向かう。

「失礼します。第00小隊小隊長マルク・フォン・ドンナルナです。お呼びなされたと聞き、参上しました」

「うむ。入れ」

「はっ」


「マルク、第00小隊に特務を与える。エルフ領に行き、エルフと会合をして来てもらいたい。母上よりの提案により、エルフがこの戦争に介入しないよう会合を持つことになった。それで第00小隊に任務を託す。こちらは母上がエルフ宛に出した手紙だ。ルートは東に行き、その後に辺境伯領を抜け、多民族国家を通り、エルフ領へ行け。そしてその後にエルフと会合して、ダークエルフの調査も頼む」

「はっ」


「うむ、長旅になろう。今日はゆっくりして明日に出発しろ。午後は休みを与える」

「わかりました。アルフ将軍、第00小隊は要塞を離れますが、魔族の行動にお気をつけて」


「ああ、マルクも気をつけろ。ダークエルフたちはかなり気が立っているだろう。御神体というのを魔族に奪われたのは王国のせいだと」

「はっ」


こうして俺は兄上との会合を終え、第00小隊の待機場所に行く。哨戒任務中の隊はまだ戻っていないようだ。


俺は任務にあたり、計画を綿密にまとめていく。まずはここを出て、元貴族派の領地を進み、そして辺境伯領のセレステを目指す。


その後、辺境伯領の要塞から旧帝国領、今はレオミラン王国を通り、多民族国家に行き、そしてエルフ領へと北に向かう。エルフの里はここか。エルフの里の東側はダークエルフ領となる。気をつけなくてはいけない。


「隊長、ただいま、任務より戻りました」

「そうか。ヤイ、みんなを集めてくれ」

「はっ」


「みんな、聞いてくれ。俺らは特務を受けた。エルフ領でエルフと会合を持つ。俺の母上がエルフの里に手紙を書いた。これを届けてエルフの里には中立もしくは同盟へ参加をしてもらう。魔族側についたら、戦線は広くなる。これを防ぐためにエルフの里を中立か同盟側にしておきたい。また、同時に聖国より逃げ出した枢機卿らの状況を知るためにダークエルフの状況も確認したい。以上が任務だ。計画はこれを読んでくれ」


「「「「はっ」」」」


みんなが計画書を読む。俺はミカさんを呼ぶ。


「ミカ、少し話がある」

「はっ」


「うむ。まず、ダークエルフ領の近くを通る大丈夫か?」

「はい。大丈夫です。辛い思い出ですが、問題ありません」


「そうか、わかった。では次だが、エルフ領には入ったことは?」

「あります。ダークエルフ領防衛の際に少しと、逃げていく際に」


「わかった。では多民族国家とエルフ領では道案内も頼む。多民族国家では案内人がついてくれるらしいが」

「はい」


その後にミカさんが計画書に目を通していく

「よし、みんな計画書には目を通したか?」

「「「「はい」」」」


「よし、では今日の午後の任務は、明日出発する関係から休みになる。明日よりの任務は厳しいものとなることが予想される。しっかりと休め」

「「「はっ」」」


「よっしゃー」

「ヤイ、副長としてそれはどうなの?」

「え。あ、申し訳ありません」


「周りの目があるから気をつけて。リットさんが飛んでくるよ」

「う、いないよな」

「今はね」


ヤイがまずいという顔しているが、ほっといて俺らは休みに入る。俺も私服などを用意しておく。多民族国家に入るまでは同盟なので問題ないがエルフ領及びその近くでは目立たないよう、旅人のふりをしておく。エルフ領は旅人が時折行くことがある。理由は独特の文化と独特の植物があるからだ。


それを求めていくものが時折おり、それをエルフたちは無視している。彼らはとにかく他種族と関わりを持たない。他国の軍やダークエルフの者らに関してのみ、攻撃をしてくる。自分らは屈しないというが、関わらない。


これがエルフ領の者らだ。実際に何度か大帝国アルクード時代に何度か攻められ、エルフを奴隷として売買したという話がある。


俺らは、今日の午後は休みとなるので、レオサード領の街に行き、買い物などをしていく。俺はついでにレオサード領主邸に行き、マークに会えないかを聞いてみようと思う。


「すみません。マルク・フォン・ドンナルナと言います。マーク・フィン・レオサード様とお会いしたいのですが」

「マルク様ですか。家名示すような物をお見せいただけますか?」

「ああ、こちらを」


「はっ、ありがとうございます。今、お会いできるのか聞いてみます」

「お願いします」


俺は冒険者登録を残しているし、家名を表す短剣を常に持っているため、この手の身分証明はいつでも大丈夫だ。貴族はここだけは楽でいい。


「マルク・フィン・ドンナルナ様、お待たせしました。マーク様、レオサード子爵様がお会いなされるようです」

「わかりました。ご案内お願いします」

「はっ」

そして、案内され、マークと会う。


「失礼します。お久しぶりでございます。レオサード子爵」

「お久しぶりだな、マルク殿」

「久しぶりだな。マルク」


「ああ、久しぶりだな。マーク」

「今日はどうなされたのかな?」


「はっ、こちらに赴任してからご挨拶もできておりませんので、お伺いしたかぎりです。明日より任務でまたここを離れますので、その前にご挨拶をと思い伺いました」

「そうか、わざわざ、すまないね。こっちも忙しくてね」


「ええ、レオサード子爵の手配が素晴らしいと将軍の兄上もおっしゃっておりました。それだけのことをなされているのならば、お忙しいのもうなづけます」

「そうか、そう言ってもらえると嬉しいね。今日はこれくらいで私は退室させてもらうよ。友人同士、積もる話もあるだろう」

「はい。ありがとうございます」


「ああ。じゃあ、マーク、後は頼むよ。私は商人たちと打ち合わせをしてくる」

「はっ」

レオサード子爵は出ていった。残された俺とマークは少し姿勢をほぐし向かい合う。


「マーク、忙しい時にすまない」

「いいや、大丈夫だ。だいぶ準備は片付いた。父上も心配だから、町の者らや領の各村を回っている状況だ。こんな時勢だ。村や町ではピリピリとした雰囲気があるからな。いつ問題を起こすかわからない。こういう時こそ、領主は積極的に領を回るというのが父上の考えでな。それが少し忙しい状況だ」


「そうか。レオサード子爵はすごいな」

「父親の背中は遠いさ」


「それはあるな。俺もそれをまだ追いかけている」

「ふ。新英雄となっても変わらないな」


「そうは変わんないさ。マークも頑張っているみたいだな?」

「ああ、父上は今回の戦争は危険と思っているみたいだ。我が領で起こるかもしれないからな。何かの時は自分が領民の盾になるつもりかもしれん。だからか、俺に仕事をさせ、後継としての実力をつけさせようというつもりのようだ」


「そうか。領主の鏡だな。レオサード子爵はすごい父親だ。だが、そんなことは俺が、騎士団がさせんさ」

「ああ、頼む」

こうして色々と話していく。


「そうそう、俺は結婚することになりそうだ」

「そうなのか。誰と?」


「リーナだ。彼女は王領代官であり、財務官僚の子爵家の子女だからな。彼女を妻にもらうことになった。生徒会でも一緒だったし、その後も文官学院で同期だったから気心も知れている」

「リーナか。生徒会の副会長と総務が結婚か。式は呼ばれたいが、この状況じゃな?」


「ああ、婚姻を先にして、式は戦争がかたがつくか、停戦になってからだろうな」

「そうか、その時は呼べよ」


「ああ、わかっている。俺らを引き合わせたのはマルクだからな」

「そうか」

また周りが結婚か。しかし俺はいつかな?まぁ相手がいない。モテないんだよなぁ。


「マルク、自分はモテないとか思っているだろう」

「な」


「顔に出ている。マルクは女心を知れ。それがわかれば、周りをよく見ると、いつでも結婚なんてできる。リーナもマルクが好きだったぞ。だが学院最後の後夜祭で振られて、俺が慰めたんだ」

「え?振った?」


「そういうところだ。そういうところが女心を理解していない。後夜祭で女性から踊ってほしいと言うのは告白に等しい。マルクは三年間、多くの者に誘われて踊ったのに、気づかす素通りしたからな。女子の間では撃墜王とか、最難関の王子様とか言われてたぞ」

「ええー。知らなかった」


「ははは。本当に天然は変わんないな」

「そうか。それが天然と言われる所以だったのか?」

「ああ、そうだ。今も変わんないんだろう?」

「う」


「はははは。ダメダメだな。新英雄」

「くう」

その後もマークと楽しく話した後、領主邸を出て、町で飲んでいる隊員たちに合流して食事と酒を楽しんだ。


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