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調査

翌日


俺らは朝早く、ガリシアン領の領都を出て遺跡の街に行く。その間、ミカさんとルーナが仲良くなったようだ。俺は今日は馬で警護しながら進んだ。


そして遺跡近くの街に着いた。今日は宿に泊まり、明日、遺跡に行く。予定では数日間ここを拠点に遺跡を調査する。


宿への荷物下ろしなどは隊員に任せて、俺とルーナとカインさんは遺跡横の資料館に行き、館長であり、研究責任者であるラムダ様に会う。

「お久しぶりです。ラムダ様」


「お久しぶりです。カインさん。あ、貴方はマルク様」

「お久しぶりです。ラムダ様」


「様はやめてください。私は準貴族、マルク様は爵位のある貴族です。それにマルク様は新英雄だ」

「そうですか。前にお世話になったのでつい。よろしくお願いします。ラムダさん」

「はい。確か、明日から調査と聞いていますが」


「はい。その前にラムダ様に挨拶をと」

「そうですか。これは丁寧に。カインさん、どうぞ明日よりよろしくお願いします」


「こちらこそ、ラムダ様、よろしくお願い申し上げます」

と挨拶を終え、俺らは宿に戻り、明日の準備をした。


翌日


俺らは遺跡へ。朝は訓練をして、ルーナとカインさんと合流して遺跡に行く。

「朝から訓練をなされていたのですか?任務中でも訓練とは御見逸れしました」

「いえ、いつものことです」


「カイン副所長、これがマルクのいつもです。訓練が好きなので気にしては損になります」

「そうですか。だとしたら、すごい。私も普段の生活をちゃんとしていますが、研究に励んでいるとたまにすべき事を忘れる。忘れてはいけないと思ってもです。ですから常に変わらず、すべき事をできるマルク様を尊敬します」


「カインさん、買い被りすぎです」

「謙遜も忘れないとは。新英雄はいつまでも変わらない。それが世界を変えるのですね」

こんな話をして、出発する。


そして、ラムダさんに鍵をもらい、遺跡に入る。

「ええと、文献だと、この角を右に入ったので、やはりここです」

「ここですか、何もないですね」


「そうですね。何もありません。ですが、入り口につながる何かがあるはずです」

「うーん、何にもないけどな。隊長。隊長?」


俺は記憶を辿っていた。前にここに来たことがある。



「ああ、ごめん、前に来たことがある場所だから、気をとられていたよ。なんの話だっけ?」

「ああ、ここに部屋があって、どこかに入り口があるはずなんだけど」

「もしかして、ええっと。あ、ここ」

「え?」


「ほら、ここに何か出っ張りがあるんです。前に来た時にこれに躓いて、これは何かあると思ったんですが、変に触って、遺跡を壊してもと思い、やめたのです」

「確かに、これは何かありそうです。マルク様、ありがとうございます」

「いえ」

そして、カインさんが出っ張りを調べ、押してみる。すると、壁が回転していく。


「部屋がありますね」

「カインさん、ここからは危険がないとも限らないので、後ろに」

「はい」

俺とヤイが先頭に進んで行く。カインさんの横にリオル先輩、ルーナの横にミカさんとケビンがいる。


特には何もなく、部屋に入る。部屋の中はどうやら研究室のようだ。古代文字の本や実験に使うような物、魔法陣が書かれている紙などが多い。

「どうやら古代文明の研究室か研究者の部屋のようですね」


「ええ、そうでしょうね。これは魔法を研究していたのですかね」

「そうだと思います。しかしすごい部屋です。カインさん何故ここが隠されてたのでしょうか?」

「わかりません。ですが、ここに新たな魔法の元が出てきそうです」


「はい。それはそうだと思います」

「調べてみるしかないんじゃない?」

「マルク、そうですね」

「マルク様、そうだと思います」


色々な本を調べて行く。やはり魔法陣や魔法言語の詠唱について書かれている文書が多い。うちの隊員は皆、古代文字を訳せないので、魔法言語の文書しかわからないのか、四苦八苦している。ミカさんは古代文字を少し学んでいるので、色々と本などを仕分けている。


俺は一つの本を手に取る。壊さないように優しく持つと、一枚の紙が落ちてきた。それを手に取り、何となく口にした。

「神はなぜ、魔法をこんな不便にしたのだ。誰もが使えるようにすれば、こんな争いも嫉妬も貧富も全てなかったのに。私はこの状況を変えたい。くだらない世の中を変えたい。願うならば、レキシナをもう一度生き返させられれば」


ルーナがこっちを見て、質問してきた。

「何を言っているんです?」

「ああ、ごめん。この紙に書いてあったから」


「ええと、これはこの研究室の持ち主の言葉でしょうか」

「ああ、決意か日記みたいなものだろう」


「そうですか。古代魔法の問題点に気づいたのでしょう」

「ああ、俺らが呪文を作る時に気づいた問題点をどうにか変えようとしたんだろうな」


「すごい、研究者ですね」

「ええ。ルーナさん。でもきっとこの研究室の主人は曲がってしまったのでしょうね。何があったかは知りませんが、さっきから魔法陣や魔法言語の詠唱が生命に関するものばかりです。リバースとか、サモンとかどれも生き返らせたり、他から連れてこようとしたり、恐ろしい研究です。まぁ、失敗しているようですが」


「ええ、どれも失敗続きですね。上手く行っているものは一つもないです」

「ええ、ここの研究は危険ですね。禁術となるでしょう」

「そうですね。そう思います」


こうしてさらに調べて行く。するとさらに

「こっちに日記みたいなものじゃないかと思われる物があります」

「ああ。それは保管に」


「見せてもらっても?」

「はい」


「ええと、『神を必要としない世を作ることを求めることにした。私は世界は変える。この狂った世界を、新たにリバースする。それが彼女から受け継いだ願いだ。私は必ず』ここまでしか読み取れませんね。日記だと思います」


「ああ、だろうね。それは後で研究した方がいいかもしれない。何だかこの部屋の主人は重要な気がするよ」

「そうですか。新英雄の勘は信じた方が良さそうですね」

「カインさん、頼みます」


そして必要そうな物を粗方持って帰り、今日は終わった。それから数日間、遺跡を探り、見落としはないかを探って行った。そして遺跡を後にして王都に戻った。


それからルーナたちは持ち帰った物を研究して行くとのことだ。


ラムダさんはガルド宰相の従兄弟でルクレティアス(御三家の一家)の分家です。なお、以前獣人族国家に行く前に遺跡に来た際に挨拶した遺跡の研究者の長で、遺跡の管理責任者です。

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