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復復帰後の初任務と回復

2週間後


俺は職場復帰する。今日から騎士として王都警備から始める。昨日から騎士宿舎に入り、朝から訓練を開始した。俺らは午前は訓練をして午後は見回りだ。まずは素振りを始める。


今でもまだ、俺の体が自分のものでないような気がする。1週間以上も訓練しない時はなかったせいか、まだ体になれない。前とは違う感覚になる。訓練で細くなった体を元に戻し、特に太った訳でもなく、痩せたわけでもない。それなのに体の感覚が違う。


俺は体の感覚を確かめるように一つ一つの動きを確認していく。そして基礎訓練を終え、今度は模擬戦をする。ヤイらと戦う。前までは圧倒できたが、どうにも勝てない。俺は弱くなったと思った。


「隊長、本調子には遠い?」

「ああ、そうだね。体の感覚が違いすぎて、イメージと動きを合わせられないよ。まあ、みんなが強くなったから負けているのはあるけど、単純に俺が弱くなったね」


「そうか、なんか早くなった気もするね」

「え?遅くなったと思うんだけど」


「そうか。ちょっと走ってみようよ」

「ああ」

ヤイにそう言われ、走ってみる。これが予想より動けていた。


「あれ?」

「ああ、多分、強くなって、体の感覚と頭のイメージが違うんだと思うよ」

「そうか。速くなったし、強くなったのか」


「休んでも強くなるのは隊長だけだよ」

ヤイが呆れたような顔で呟く。


そして、それを頭に入れ、対戦してみる。だが、まだ上手く扱えない。どうやら予想より遥かに上の身体能力を手に入れていたようだ。多分は超回復の類だと思う。限界以上に体が散々に痛めつけられたせいで、そのあとの休憩で筋力が前より増えるという現象だが、俺の場合はそれにスキル『飲み込む』があるだろう。


そしてこれまで休むことなく、10年以上体を毎日いじめてきた。それがこの休憩と『飲み込む』によって成長の時となったのだと思う。



しかし、上手く操れないのは問題だ。

「まだやりますか?」

「ケビン、頼む」

こうして相手を変えどんどんと訓練をしていく。俺をみんなで扱いてくれる。それが助かる。


「なあ、隊長、これでなんで笑っているのかな?」

「え?いや、みんなが強くなるのに扱いてくれるからかな」

「やっぱり、マルクはおかしいよ」


「そうかな。ヤイ、呼び方が隊長じゃなくなっているよ」

「あ」

「よし、まだやるよ」


「ああ、隊長の訓練バカが出てきた。これはヤバいパターンだ」

そして、午前一杯を訓練に当て、食事して午後の仕事に行く。特に何もなく、警備は終わる。ただ、見回り中に色々と話しかけられる。面倒だな。


そして、帰ってきてから、また訓練をした。訓練バカと言われるが、これが俺の普通だ。これが俺の強さの原点だよ。俺のスキルはただ持つだけで強くなるスキルじゃない。あくまで、すごいが努力が必要というスキルだ。


まぁ、強い人は皆、努力をしているけどね。ガッソさんも言っていた。持っている力を、待っている才能をどれだけ使いこなすかだ。


俺にとってはそこでは譲れない。無能と言われたから今がある。そして、無能と言われたから努力した。ここを忘れたら俺じゃない。だからどこまでも訓練する。



翌日


俺はまた朝から訓練をする。そして午前の任務の前に騎士団長室に呼ばれた。

「マルク、第00小隊に頼みたい任務がある」

「はっ」

「うむ。カインという魔術研究所員を知っているな」


「はい。スキルチェッカーを作られた方です。前に魔道具製作の際にお世話になりました」

「うむ。その者が古代遺跡内にて新たな物をあるらしいことを発見してな。それを調べるために、ルーナリア・トルネストと共に古代遺跡に行く。それを第00小隊には護衛してもらいたい。あそこは戦場に近いからな、頼むぞ」

「はっ」


「うむ。この後、魔術研究所に行ってくれ。そこで話し合いスケジュールを決めたら、庶務課に書類を提出してくれ」

「はっ」

そして隊のところへ行き、カインさんの護衛任務を伝え、王宮魔術研究所へ向かった。


「すみません。第00小隊の隊長のマルク・フォン・ドンナルナです。カインさんの護衛任務のための打ち合わせに来ました」

「はい。承っております。副所長は部屋におります。こちらへ」

「はっ」


そして、カインさんのところへ。

「お久しぶりです。カインさん、ルーナ」

「お久しぶりです。マルク様」

「お久しぶりです。マルク様」


「様付けはやめませんか?カインさん、ルーナ。」

「いいえ、貴族であり、新英雄に私などが敬わないなどありえません。それに今回は私の研究のためにマルク様に護衛をしていただくのです」


「カインさん、そんな事は気にしなくて大丈夫ですよ。任務ですから」

「そうですか。マルク様はいつまでも変わりませんね」


「そう人は変わりません。そんなに簡単に変わるものは元々そうなのです。未来なんてそうは変わらないものです」

「そうですか。それがマルク様の強さの秘訣でしょう」


「そうですかね。で、任務内容の確認とスケジュールを確認したいのですが、いいですか?」

「わかりました。明日より、出発したいです。行くのは私とこちらのルーナリア・トルネストさんです。まぁ、学院時代から有名なお二人はお知り合いでしょう?」


「ええ、同じ部の部長と副部長でしたから」

「ええ、マルクのことは知っております」


「そうですか。ルーナリアさん。では自己紹介はなしに話を続けましょう。ガリシアン領の北、獣人族国家との国境近くに古代遺跡があるのはご存知ですよね?」

「ええ、知っています。ガルド様のご配慮で、研究責任者の方に許可をもらい、入ったことがあります」


「おお、そうですか。それは話が早い。古代遺跡の地図を見つけたのですが、遺跡に知らない新たな部屋があるようなのです。そちらに行くので、護衛をお願いします」

「遺跡の中もですか?」


「はい。新たな部屋には罠などがないとは限らないので」

「そうですか。わかりました」


「では、よろしくお願いします。集合はここ魔術研究所前に9:00でお願いします」

「わかりました。ではこれで」

俺らはカインさんの研究室を出て行く。ルーナが一緒に出るところまで送ってくれるようだ。


「マルク、体調はどうですか?」

「ああ、もう大丈夫だよ。休んだせいで体を上手く使えないのが悩みだけど」

「上手く使えない?」


「ああ、なんか知らないけど、休んだら体が強くなったんだ。それでその成長が今までの感覚とずれててね。どうにも体を上手く使えないんだ」

「休んでも成長するんですか?」


「たぶん、スキルが原因だと思うけど」

「ああ、マルクの事については驚く事しかないですね」

「そうかな。ルーナ、研究はどう?」


「そうですね。今は新たな魔法を研究しています。浄化と言います。呪いや穢れを祓う魔法です。回復魔法の一種ですね」

「へえ。呪いを祓う。それは面白いね。学院を卒業してから、呪いとあってばかりだから助かりそうだ」

「ええ、魔族やダークエルフは呪いを使うと言うので、研究しています」

「そうか。役に立つ日が来そうだ。来ないのが一番いいけどね」


「ええ、それが一番です」

「ああ」

そして、俺は王宮魔術研究所を出て、騎士棟で隊に任務内容の細いところを伝え、明日からの準備をしてもらい、任務計画書を作成して、庶務課に提出した。


そして午後の業務だ。午後は資材の受け入れと王都の見回り警備だ。資材は最近多い。どうしても戦争が近いため、王宮に備蓄をしておかなければならない。昨今の魔道具や魔法の研究によって王国の農業や工業は飛躍的に成長をしているのでいい。資材を受け取り、その後の見回りへ。


「マルク様、お久しぶりです」

「ああ。村長の息子さん、お久しぶりです。今日は?」


「はい。村が猪の魔獣を倒していただいたのと、王宮の支援で復興できたので、その収穫物を王宮に納品に来ました」

「そうですか。収穫は順調ですか?」


「ええ、お陰様で。ですので、備蓄のうち、余裕となった分を国のために納品に来ました」


最近、この手の話は多い。国が大変な状況だから、王都の周りの村が余分な備蓄を納品に来る。全ての村が決して裕福というわけではないが、騎士や冒険者のおかげで、幸せになったのだから、せめて国が大変な時にこんなことぐらいしかできないが少しでも協力したいと申し出てくれている。


そして、だいたいの納品物に『陛下とマルク・フォン・ドンナルナ様への感謝を込めて』と書かれているとか。ちょっと気恥ずかしい。


「そうですか、ありがとうございます。皆さまのおかげで騎士が戦えます。騎士を代表して感謝を申し上げます」


「いいえ、俺らはこんな事しか出来ないんです。せめて、国を守ってもらう騎士様に少しでも美味しい物を届けたいと思うのが国民の思いです。俺らの村のようにマルク様に助けられた村はいっぱいあります。近くの村と関わり合いを持てるようになったら、マルク様の話題でいっぱいでした。

やれ、魔獣を倒してもらったとか、魔法理論で回復魔法が使えるものが増えて助かったなど。ですからせめての感謝です。どうぞお受け取りください」


「ありがとうございます」

俺の事が国の要になっているか。ガルド様がおっしゃっていた時はどうにも信じられなかったが、こうして見ると、そうなのかもしれない。俺はもっと頑張らないとな。


そして、王都の見回りをして行く。特には問題はない。こうして任務は終わり、訓練をして、明日からの準備をして宿舎に帰った。


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