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閑話 ラルクと陛下と宰相

腐れ縁の友人たちの話

レオナルク王国、王宮内の王の執務室。

レオナルク王国国王、ラインバッハ・ティン・レオナルクは今日も執務に励むため、執務室にいる。

「陛下、ラルク・フィン・ドンナルナ、本日も近衛隊を代表して、陛下の守衛として職務に励みます。よろしくお願いします。」

「うむ。よしなに」


こうして、貴族の子の10のお祝いの翌日もラルクは近衛隊副隊長としての職務に勤めている。

国王であるラインバッハの元には、多くの者が来る。

宰相、軍務大臣、財務大臣など。


それらの訪問が終わり、会議へと向かう。

「陛下、足元をお気をつけください。私が先に行きます。後ろは部下がついて参りますので、私が進み安全を確認しましたら、陛下はお進みください」

「うむ」

ラルクの部下も、国王ラインバッハもいつも以上に固い態度に訝しむ。


「ラルクよ。今日はどうしたのだ?」

「どうもこうも無いと思いますが。いつも通りに陛下の安全をお守りする。これが私の任務です」

「ふむ、口調が固いぞ」

「そうでございましょうか?家臣たるもの、当たり前です」

「ふむ。会議の後に何かあったか聞くぞ」


こうして会議室に入った。ラインバッハはいつも通りに会議に臨み、内容は先ほど執務室を訪問してきた者らから聞いた通りに決議していく。会議が終わると又執務室に戻る。


「レイル、お前は執務室の前で控えていろ。ラルクと話がある。誰も入れるでないぞ」

「陛下、私を通さずに、部下に命令を下さないでください。陛下の安全をお守りできません」

「ふん。お主と話さなくてはいけぬことがある。いいから言う通りにせよ」

「はあ」


2人は執務室にて、向かい合う。

「で、何があった?明らかに不機嫌であろう?」

「いえ、そんなことはありません」

「2人の時は友人であろう」

「いえ、家臣にてございます。これからは」


「なに?」

「不思議なことでしょうか?」

「不思議に決まっておる。何があったのだ」


「陛下の子である殿下が、我が息子を、初めて会ったにも関わらず、公式の場で無能扱いされましてね。陛下とはもう家臣以外の関係は無理だと感じた次第でございます」

「ぬ。あやつが?昨日の謁見か?儂と話をした後か?」


「ええ。マルクに、騎士にはなれぬとか、文官ぐらいならなれるだろうとか、学問くらいは頑張れとか、兄を辱めるな、などとほざきよったのです。私の前で」

「何?公式の場でか。あのバカが」

「ええ、本当にバカですね。どういう教育をしているのか。そもそも学院の成績も大したことのない者が人に学問に励めだ。いい加減にしろという話だ。武術もダメな者が。たかだか王家の長男として生まれただけの者が偉そうに。」


「待て待て。言い過ぎじゃ。儂もそう思うが。主は家臣だろう?」

「ええ。ですから、これからは全て飲み込むために家臣としての関係のみになります」

「待て、あやつにはしっかり言っておく。これからも関係を変えぬよう頼む」

「言っただけでは変わらぬでしょう。王太子を次男のエドワード様にされては?その方が王国にとって良き将来がありましょう」


「む。そこまでか」

「ええ。家臣の大事さも知らぬ王など無能を通り越し害悪です。神輿にもならない」

「ちょっと待て、宰相を呼ぶ。あやつにも聞こう」


宰相が呼ばれた。

「はて、私が呼ばれたのは何故でしょうか?」

「ふむ。アルスに関してだ」


「王太子殿下ですか?」

「ガルド、ここは学院時代からの友人として話せ」

「はあ、まぁいいが、何があったのだ?ライン。まぁどうせ、ラルクが怒っているとかか?昨日の謁見の際のアルスの態度か?」


「ああ。友人として聞きたい。ラルクはアルスが無能を通り越し、有害だと言うが、お主もそう思うか?」

「まあ、有能じゃないのは明らかだな。はっきり言えば、無能だな」

「ぬっ。儂は子の可愛さに目がくらんでおったか?」

「ああ。ラルクにもどうせキツイことを言われたであろう。エドの方がいいと」

「ああ」

「やはり、そうか。まぁ、その通りだ」


「じゃあ。何故に言わぬ」

「ふむ、まぁ王の後継問題は揉めるからな。無能でもなんとか出来る家臣を育てる方が良いと思ったのだ。お主とてアルスが可愛いだろう。それに第1王妃や貴族派の連中がうるさくなる。良いことが少ないかとな。まぁあくまで、酷いことになるようでなければな。それより、ラルクよ。アルスは何を言ったのだ。従者から、お主が明らかに怒って、祝賀途中で帰ったと聞いたが」


「ふん、俺の息子をバカにしよったわ」

「アルフを?いや、マルクか?」

「ああ。マルクに騎士にはなれぬとか、文官ぐらいならとか、学問くらいは頑張れとか無能扱いしよって」


「はあ。バカはダメだな。やっぱりあれはないか。英雄ラルクと英雄リネアを怒らすなど、ありえないな」

「ああ。やはりか。ガルド、お主は王立学院時代からの友人だろう。どうにかならぬか。ラルクが怒って、友人ではなく家臣としてしか付き合わぬと言い出したのだ」


「はあ、腐れ縁は面倒だ。これだから王立学院一の天才と問題児は?」

「ガルド、お前が一番の天才にして問題児だろう」

「ラルクよ。何を言う。お前の問題児ぶりは思い返せばどれだけあるか?誰だ。入学式直前に最高学年の先輩をボコボコにして親を入学式後に呼び出されたバカは?にも関わらず、最初の週の授業で教師を実践授業でボコボコにして怒られた問題児は?」


「う。それは弱いくせに調子に乗った、奴らが悪い」

「だからと言って、限度があるわ。問題児が」

「懐かしいの」


「陛下、貴方も問題児でしたからね」

「女性関係でな」

「ラルクよ。王太子であるから、手は出しておらぬぞ。婚約が決まってからは特に何もしておらぬ」

「手はな。あと婚約するまではひどかったな」


「ええ。ラインの女癖の悪さは、王太子をやめさせようとも話が出たほどでしたからね」

「ぬ。そんなことを前宰相は言っておったのか?」

「ええ。本気で先王と話をしていたようです」

「血筋か?あれもな」


「アルスは、ラインとは異なり無能でもありますから。やはり王太子はエドがいいですかね」

「む。考えさせてくれ」

「ああ。陛下、いい返事を待ってる」

「ええ、ライン、よく考えてください」


こうして、悪友三人の話は終わった。


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