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調査③ 真相

6日後


まだ何も起きていない。ルイン様はセレステの街から人を避難させた。そして、王都から連絡が来て、騎士団が派遣され、さらに先行部隊と調査協力者、それにメル姉と母上が向かってくれているようだ。


昨日に連絡要因として来たゼルから聞いた。派遣される部隊はリット副団長を将軍に10部隊、総勢1000人だ。それがセレステで待機する。辺境伯軍と合わせると10000名はいる。


俺らも何も見つけれてない。魔族が何かしたのは確定したが、何を使用するかの確証がなく、またどこで使用するかがわからなかった。母上を待つしかないのか?そう思っている。


第00小隊は今日から蜂の巣のあとに入る。結局、師匠の訓練がきつすぎて、2日損した。かなり強くなったが、2日程の位階酔いを繰り返して無駄にした。


「今日から魔獣が多い中心部に近づく。2日はかかる、気をつけろ」

「「「「はっ」」」」

「じゃあ、行こう」


俺らは蜂の巣に行く。このメンバーでは半日かけて進む。俺だけなら2時間もかからないくらいだが。前にサンゼルと行った時は2日かかったのを考えれば、皆は優秀だけどな。



そして、俺らは途中で休憩を挟んで蜂の巣に入る。俺らはまっすぐに魔獣操作の跡を見に行く。ミカさんが何かに気づくか、スキル『奇跡』で何かできればいいが。


魔族が魔獣操作をした場所に来た。しかし、何もなかった。どうにもできないかな。ミカさんは何も感じないようだ。魔族に対する対策は勇者が一番優れていると言われているが、それでもここで何があったか、何をしようとしたのかの痕跡は、俺が発見した魔獣操作の痕跡のみとなった。うーんなんだろう。何かを見逃しているのか?


「ミカさん、しょうがないよ。ここを出よう」

「はい」


ミカさんは何か思い悩んでいるようだ。そんなミカさんが急に足を止めた。苦しそうな顔をする。なんだ?

「ミカさん、大丈夫?」

「はい。ええっとここに何かあります」


「え?」

「わかったのか?」


「はい。声が聞こえました。神託だと思います」

「ここで?」

「はい」

なんなんだ。何が起きた?神託?どういう事?天神?天神がこのタイミングで神託するの?何故?


「何て?」

「はい。ここに何かある。月夜が何かをしたと」


「月夜神が?」

「天神なのか?あの神がそんな事をするのか?」


「師匠、俺もそこが気になります。天神ならば、気をつける必要が」

「違うと思います。私は召喚される時に声を聞きました。それが天神だと聞いています。しかし、先程の声とは違いました」


「じゃあ、なんだ?」

「ガイスさん、わかりません。一方的に話を聞きました」

「そうなのか?何だかよくわかんねえな」


「そうです。でもはっきり言えます。これは正しいと」

「そうか」

「掘ってみましょう。ダメでもともとです」


「ああ、そうするかあ」

「ええ」

そして掘り進めると、箱が出て来た。


「これは何だ?」

「わかりません。ただ、ここで開けない方がいいでしょう。母上が来たら見てもらいましょう」


「そうか。ああ、そうだな」

「出ましょう」

そして、巣を出て、森から街に戻る。巣へ出発してから2日が立って、セレステに戻ってきた。


「マルク、どうだい?」

「ルイン様、ミカ隊員のおかげでこれを発見しました」

「これは?」


「わかりません。母上が来たら開けてみるのがいいかと」

「そうか。そうだね。リネア姉様を待つ方がいいかな。姉様なら魔族やダークエルフのことなら何かと詳しい。それに結界もすごい」


「ええ。そう思います」

「とりあえず、原因と思われる物が見つかってよかったよ」

「はい」


「それと、エルナンデス卿から連絡があって、怪しい奴を発見したって。ゼルを向かわせたから、明日か明後日には捕まえられるかもしれないよ」

「そうですか。これで何か進展しますね」


「ああ、マルクの隊に来てもらってよかったよ。ガルド宰相閣下とラルク兄様には感謝だね」

「いいえ、私は何も。でも本当に良かったです」


「マルク、ルイン様よお。喜ぶのは早くねえか?原因はわかっても何もまだわかってねえし、それを取り除けたわけじゃねえ。まずはこれと、その怪しい奴をどうにかしねえとな。屁も出ねえ」

「そうですね」


「もう、ガイスさあ、良い事は言ってんだけど、もう少し言い方はないかい?初代様にも言われてたんでしょう?」

「ああ、ガイスはいつもこれでシズルとカズキに言われてたな。こいつは本当に変わらん」


「あ?てめえも同じような事を言われてたんじゃねえか?」

「あ?」

「あん?」


「まぁまぁ、師匠、ガッソさん」

「まぁまぁ、ガイスさん、師匠」



そして2日後


母上がそろそろ到着する。ゼルらも捕まえた頃かな。今日で多くのことが動き、状況がわかり、大きなことが起きないように間に合えば良いが。


「マルク、リネアが来た」

「はい」

そして母上の元へ


「母上、メル姉、こちらまでの長旅、お疲れ様です」

「ええ、大丈夫よ。久しぶりのドンナルナ領への旅は楽しかったわ」

「うん。久しぶりにライル君らに会える」


「ええ、メル姉、物事が解決したら、是非」

「ああ、リネア姉様もメルも、全て解決したら、我が領でのんびりしてってください」

「わかったわ。ルイン」


「ルイン様、ありがとうございます」

「挨拶はこれぐれえでいいんじゃねえか?」


「あら、ガイス。マルクがお世話になったわね。挨拶もないなんて?」

「いやあ、よお。まぁいいじゃねえか。それより、あれを見せろ。マルク」

「はい。師匠。母上、見てもらいたいものがあります」


「何かしら。何か発見したのね?」

「はい。こちらに」

そして、あの箱がある場所に母上を連れて行く。


「これは、なんでここにあるの?」

「リネア、それじゃあわかんねえぞ」


「あぁ、そうね。これはダークエルフが祀っている御神体が入っている箱よ」

「あ?御神体?」


「ええ、これは天神がこの世界に化現する際に入る御神体を入れた箱と言われるの?」

「おいおい、話がでけえ。なんで、それを魔族が?」


「多分、盗んだのね。確か、伝承では天神だけではなく、月夜神もこれに入れるはずよ」

「おい、まさか、魔族は月夜神を化現させる気か?」

「ええ、多分そうよ」


「おい、それを使ってどうすんだ?」

「伝承だと、『多くの人を供物にす時、神はこの世に現わるる』だったわ」


「おい、それって、まさか」

「辺境伯領の人を供物に?」

「多分そうよ。マルク、ガイス」

「おいおい」


「それはマズイな。我が領を」

「母上、どうすれば?」


「これを発動するために何かをするはずよ。ねえ、ガイス、あれはまだ森の中よね?」

「あ?ああ、お前、あれを使うっていうのか?」


「ええ、そうだと思うの。だとすると、マズイわ。あれの封印は私とシズルにしかできない。倒すのはカズキがしたのよ」

「な、魔族はバカか?あれは魔族も殺すぞ」


「それは月夜神に倒してもらうんじゃない?」

「そうか。くそ、何を考えてやがる」


そんな時にノックが

「ルイン様」

「ゼル、エルナンデス卿、捕まえて来たかい?」


「捕まえてきました。こやつです」

「そうか、エルナンデス卿、こいつは?」

「こいつは魔族です。これを?」


「ああ、立派な角だね。もしかして難民に紛れ込んでいたのかな?」

「ええ、その通りです」


「そうか、まずは話を聞こう」

「はい。おい、答えろ」


「ふん、お前ら下等種族に何を言えと?ふざけるな。後から生まれた種族が、劣等種族が!」

「おい、てめえ、殺されてえのか?」

「ふん、殺せ」


「ちょっと待って。これをあの子から預かって来たのよ」

「あの子?これ?」

「ええ、エルゼよ。これはダークエルフが使う、洗脳剤よ。言うことを聞くわ」

「「ひっ」」


「なんで、ガイスとガッソがビビってるのよ」

「おめえのこと知っている奴ならみんながビビるわ。おめえと薬は『まぜるな危険』ってよくカズキが言ってたぞ」


「そう、カズキは天国で会ったら折檻しましょう。貴方達は後でね」

「ひい」

よほど恐いらしい。母上がねえ?そうかな?



「じゃあ、飲ませるわ。ほら口を開けなさい」

「うぐふぐ、ぐぐぐ」

「はい、上手ね。よく飲めました」


「ぐう。言わんぞ。俺は言わんぞ」

「まあ、すぐに言うわ。かなりキツイ奴だから。ダークエルフが使っているのを有角族の協力でさらに強力にしたから」


「な、あいつらめ。・・・俺は」

「で、何をする気なの?」


「俺は、・・・・蠱毒の呪いと御神体でドラゴンを叩き起こし」

「な、やっぱりか」

「続けて」


「王国を火の海にして、供物に」

「そう、それが全貌?」


「ああ、それが終わったら、聖国を潰す。ダークエルフを根絶やしにする」

「そう。それは何故しないといけないの?」

「それは魔王様がそう言った」


「ドラゴンが魔王国に行くのはどうするの?」

「魔王様と月夜神様が倒していただける」

「てめえ」


「待ちなさい。ガイス。この子はまだ利用価値があるわ。もっと情報を引き出さないと」

「そうか」

「ねえ、もうドラゴンの封印を解いたの?」


「まだ、半分だ。本物の勇者の結界は厳しい」

「そう、半分ね。まだ間に合うわ。私が封印してくるわ」

「待て、てめえ死ぬ気か?」


「死ぬ気なんてないわ」

「嘘つけ。あれはてめえとシズルが2人でなんとかした代物だろう?それを一人で、しかも全盛期の半分もねえ力でなんて無理だろ」


「できるわ。まあ、残りの人生の半分以上は持ってかれるけど、でも結婚もしたし、子も持てて、孫も見たの。マルクの結婚を見れないかもしれないけど、1、2年くらいは生きれるわ。それで十分よ」

「てめえ、カッコつけんな。生き残ることをが最高だって言われただろう」


「しょうがないじゃない。シズルとの約束なの。この結界を守るって。そのために司書をして生きて来たのよ。それを果たす時が来たの」

「それは違うぞ。てめえを、シズルがいなくなった後に死なせねえためについた嘘だ。その嘘のおかげで生きて、結婚して、子供を産んで、その孫も見て幸せだろう?」


「う、そうだけど。私以外にできないの、あの魔法もマナ量も」

「母上、提案があります。私をマナのタンクとしてお使いください」

「何を言っているの?」


「ミリア先輩が作った理論です。足りないマナ量を複数人で補って、魔法を放つ方法があります。それに私なら母上よりマナが多いし、回復も早いです」

「何?そんな方法が?」


「ええ、私の魔法理論の影に隠れて、有名にならなかった理論ですが、この理論は有益なんです。どうですか?」

「確かに、マルクは私より遥かに多いわ。私の全盛期よりも。でもダメ。マルクだけでは足りないの。それに巻き込めないわ。子供をそんな危険な目には」


「お母様、私も手伝います」

「そんなメルまで」

「リネア様、私はダメでしょうか。これでも勇者です。先代に比べれば弱い偽物ですが、それでも私なら少しは助けになれるかと思います」

「ミカちゃん」


「4人ならいけます。俺の2倍以上マナ量になります。母上、どうですか?」

・・・

「もう、バカなんだから。わかったわ」


「よっしゃー。おいガッソ、サンゼル、ゼル、ケビン、リオル、ヤイ付いて来い。こいつらが封印したら俺らがこいつらを森から出す」

「わかった」

「「「「「わかりました」」」」」

「じゃあ、明日に出発でお願いします」

「ああ」


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