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調査②

翌日


俺らは今日も森に慣れてもらうために浅いところに入る。昨日と違い、だいぶ慣れた様子だ。だがこういう時が一番危険だ。気を引き締めさせよう。


「みんな、聞いて。今日は虎とまた戦う。昨日苦戦したと思うけど、リオルとヤイは今日は2、3匹戦うよ。ミカは余裕で1匹を確実に倒せるようにする。昨日より厳しいものになる。俺は数十匹、ケビンは4、5匹は余裕だ。それはここの戦いに慣れているのと魔獣を倒すのに慣れているから。ヤイも慣れているけど、レベルが違う。忘れないでね。本当に強いよ」


「「「ああ」」」

「そう、こういう時が一番危ないからね」

「「「ああ」」」

「じゃあ、連れてくる」


そして2匹の虎を連れてきた。サンゼルでさえ、最初は苦労した虎の魔獣が2匹だ。2人ともかなり鍛えたから倒せるレベルだが、それでもかなりきついはず。


まずはヤイだ。かなり苦戦している、怪我も負いながら、何とか倒した。ヤイは自分のスキル『危険察知』と最近得た硬化を使ったようだ。それで何とか倒した。


そして次はリオル先輩だ。リオル先輩は自分のスキルを全力で扱うが厳しいようだ。武闘オーラを全力で何とか倒したが、かなり危険だった。リオル先輩は身を守るスキルが武闘オーラしかない。それをこの場所で完璧に扱うのはかなり厳しい。マナも気も乱れた魔獣の森では。かなり命の危険を感じたのだろう。今までとはかなり違う顔をしている。


「リオル、わかった?これが命のやり取りだ。これを感じたものがどれだけ強くなるか、わかっただろう?」

「隊長、ここでしか伸ばせないものがあるな。命の危険を訓練から意識していたが、ここではもっと感じる。隊長に訓練をしてもらってなかったら、死んでた」


「そうだね。命のやり取りでしか学べないものもあるよ。頑張って。まあ位階酔いしたでしょう?ヤイも位階酔い中かな?」

「ああ」


「ああ、結構辛い」

「一旦出よう。ミカさんが終わったら、街に戻る。それまではケビンについててもらって、森の外にいて」


そして一旦、ヤイとリオル先輩を森の外に連れ出して、ケビンについててもらって、俺はミカさんを連れ、虎の魔獣のところに行く。そしてミカさんが魔獣の2匹目を倒したところで森を出て、ケビンに街に連れてってもらった。


俺は昨日、サンゼルに教えてもらった蜂の魔獣のところに行ってみる。蜂はたしかにいない。巣を見てみると、何だか気持ち悪い。ここの可能性がある。


だが、それらしきものはない。俺は人よりマナの操作や感じ方はうまいのに、何も感じれない。それでも気持ち悪さは感じる。この感じは何だろう?しょうがない。魔獣が来ないか待ってみよう。それで何かわかるかもしれない。


しかし、魔獣は来ない。蠱毒ならここで魔獣が共喰いをするかと思ったが、違うのか?よくわからない。カリウス義兄上と会うか?何かわかった場合には、冒険者協会の依頼を出せと言われたな。よし、そうしよう。


そして俺は調査を終え、ガッソさんらと情報交換をした。あっちも特に何もないようだ。多分、あの巣が何かあると思う。しかし、それらしいものはないという事を3人の中で結論づけた。


そして会館で依頼を頼む。『急募、猫探し』と。まあ。王都ならしょっちゅうある依頼だが、セレステでは珍しい。それでも一年に数回あるが、誰もやらない。そんな依頼だ。


そして、俺は宿に戻り。明日には師匠が戻ってくる。


翌日


俺らは今日も魔獣の森で訓練をして行く。みんな、完全に慣れたようだ。虎を2匹ずつ倒して、今日も終わる。俺は会館でカリウス義兄上に会うため、依頼がどうなったか聞いた。すると、依頼は支部長案件となっており、支部長にお会いすると伝言が伝えられえ、酒場に行くように教えられた。


俺は指定の時間に行くと、

「ここいいか?」

「はい」

「で、話は?」


「ええ、魔獣の氾濫の原因と思えるものが見えてきたので、話し合いたいと」

「わかった。夜に宿に行く」

「はい」


そして俺はカリウス先輩と別れ、酒場を出て、宿に戻る。


その後、宿で待っていると、師匠が来た。

「おう、マルク。調査はどうだ?」

「何かありそうなところはあるのですが、何があるかがわからないです」


「そうか、とりあえずルイン様には話して来たぞ。ルイン様も戦々恐々としていた。王都の騎士団にも派遣要請をかけた。状況は変わる。俺もリネアに協力を仰げないか聞いといた。リネアが蠱毒を一番知っているからな」

「そうですね。体調は心配ですが」


「ああ、あいつのマナ量は今や全盛期の半分以下だ。それほど力を使えねえ」

「知っていましたか?」


「ああ、古くからの友人だからな。まあエルフとドワーフは昔から仲が悪くてな。友人になるまで時間がかかっちまったけどな」

「ふふ。師匠らしいですね」


「うるせえ。それで、明日以降はどうする?」

「師匠に森で活動できるくらいにうちの部隊を鍛えてもらえないかと。どうも勇者の力が必要かもしれないので」


「勇者の力?誰が?」

「ミカさんです」


「ああ、あの子か。力があるなと見た感じで思ったが、そうか。召喚者か」

「ええ、ミカさんのスキル『奇跡』の力が必要かもしれません」


「わかった。俺が力をつけさせてやる。任せろ」

「はい。お願いします」

「じゃあな。俺は寝るぞ」

「はい」


そして、カリウス義兄上が来た。

「よぉ、入るぜ。早い連絡だったな」

「ええ、義兄上、少し問題が」

「なんだ?」


「今回の件は蠱毒を利用するためかもしれません」

「はっ?蠱毒だ?ここでか?」


「わかりませんが、可能性があります」

「なんでそうなる?」


「はい。魔獣の・・・・・・・・」

師匠らに説明したのと同じ説明をした。


「確かに、考えられるか。もしそうならかなりやばいぜ?王都の時はマルクが倒せるレベルだったが、それでももし発見がもっと遅かったら、王都もだいぶ被害が出ていたはず。それをこの魔獣の森でやられちゃ、その被害は想像を超える。辺境伯領が消える。最悪は国が消えるぞ」


「ええ。そう思って、ルイン様と王都には連絡を出しました」

「く。時間がかかるのが辛え。俺はどうした方がいい?」


「焦らずにお願いします。義兄上はそのまま、探りとガルド様に連絡を。あと、連絡要員をお願いしてください。この人数では無理がある」

「そうだな。わかった。すぐに要望の連絡を出す」


「ええ、お願いします」

こうしてカリウス義兄上との話は終わった。


翌日


俺はみんなに昨日のこと、これからのことを伝えた。皆も同意してくれ。俺は今日、ガッソさんらと合流する。


「ガッソさん、よろしくお願いします」

「ああ、今日はどうする?」


「はい。やはり、蜂の巣跡が気になります。あそこを重点的に調べましょう」

「何か発見したか?」


「いえ、ただ、何か気持ち悪さを感じます。なのに何もないのがおかしいですね」

「そうか。マルクが気持ち悪さを感じたなら、そうだろう。お前のマナの感じ方は俺やガイスはもちろん、リネアすら凌駕する可能性がある。それがマルクの強さだからな」


「そうか。それがマルクに敵わない理由か」

「サンゼル、間違えるな。お前とマルクの才能の違いだ」

「師匠」


「お前は剣術の才能はピカイチだ。剣術スキルもすごいところに来ただろう?マルクはそれがない。スキルがないが故に、そう早く槍術は極められん。対してお前は早くに、そこにたどり着く可能性がある。それがスキルだ。俺やガイスはないが、俺らは長い時間をかけて辿り着いた。長寿種族だからできることだ。

 しかし、お前は俺の剣術の技量に近づきつつある。そのうち、お前が最高の剣士になる。対してマルクが槍術を極めるのは時間がかかる。果たしてその生命がつきるまでにいけるか。それはわからん。エルフのクオーターと言えどもな。つまりは才能の違いだ。お前もわかるだろ。

 才能は言えば個性だ。違う強みという程度だ。どっちが強いかではない。その才能を、力を生かしきった方が強いということだ。忘れるな」


「ああ。師匠、わかった。すまない」

とサンゼルが納得したところで


「一つ質問ですが、ガッソさんはエルフですが、蠱毒についてはどのくらい知っていますか?」

「うむ。存在と簡単な方ならば作り方もわかるが、ダークエルフらが作っている方は知らない。リネアから聞いて初めて知ったぐらいだ」


「そうですか。すると、やはり母上を呼ぶしかないか」

「ああ、そうだろうな。それしかなかろう」


「わかりました。ガイス師匠が呼んだらしいので、大丈夫でしょう。あとは間に合えばいいですが」

「ああ。まあ、今は調べてみるしかなかろう。行くか」


そして、俺らは蜂の巣の跡に来た。やはり奇妙な感じがする。ここからは何かを感じるがそれがわからない。


「うむ。言われれば、ここはかなり奇妙だ。蜂がいなくなった痕跡がない。なぜいなくなったか理由が想像できん」

「うん?どういうことですか?」


「あ、ああ。蛇に食べられたなら、その痕跡が、単純に巣を変えたなら、それはそれで何か痕跡があるはずだ。その理由のな」

「なのに何もない。サンゼルが変といったのも」


「ああ、そうだ。何か痕跡があるはずがないのにいないのがな」

「そして、この奇妙なマナの感じ」


「うむ、ここで何かをしていたのは確かだろう」

「ええ、蠱毒を。蠱毒?」

「どうした?」


「蠱毒は虫に共喰いをさせる?」

「ああ、あ?待て、蜂の魔獣で蠱毒を作ったのか?」

「そうか。そしてそれを隠した?」


「証拠がないな。あと、蠱毒をどこに持っていったかもわからんぞ」

「ええ、待ってください。斥候の技術に人のマナの痕跡を見つけて、罠を捜索するものがあります。マナを探って何かしらの痕跡を見つけられれば、それが証拠になります」


「そうか。よしやってみよう。俺もできる。サンゼル、お前もそれくらいはできるな?」

「俺もできる」


「じゃあ、1時間後にここに戻ることにして、三方向に分かれて巣を探索しましょう?」

「わかった」


そして俺らは分かれて痕跡を探るために、それぞれが巣の中に潜って行く。俺は少しずつ、マナの痕跡を探る。一つ一つの壁や部屋に痕跡はないか?探っていく。なかなかに難しい。マナが乱れたところで、エルフの痕跡?


そうか、エルゼのマナの流れを思い出そう。それを探れば。よし、やってみよう。


・・・・・・


ない。ダークエルフではないのか。すると魔族か。有角族の人々のマナを思い出すか。嘘発見機を作った時に精神操作の魔法を習ったんだ。それで魔獣も人も操れると。魔獣を操る?そうか。もしかして、それか?精神操作の魔法を見つけよう。


そして俺は精神操作魔法の跡を探って行く。そして見つけた。ここだけ。これがそうだ。一旦戻ろう。


俺は巣から出ると2人もいた。

「遅かったな」

「すみません。探すのに時間がかかったので。ただギリギリで見つけました」


「なに?本当か?」

「はい。魔族の魔獣操作の跡を」

「魔族か。あいつら」

ガッソさんが怒りを見せる。エルフと魔族は特に仲が悪い。余計にガッソさんの顔が歪む。


「はい。魔族も蠱毒を使うと聞きました。これで蠱毒を魔族がここで使用か作成をしたというので確定かと」

「ああ、もし使用ならば、まだ使っていなかったら、これはやばいぞ」


「ええ、本当に厳しいかもしれません」

「ああ、だが、まずは戻ろう」

そして街に戻る。ちょうど帰りに師匠らと会う。


「師匠、どうですか?」

「ああ、こいつらはあと3日も鍛えればいけるぜ。昨日までで十分に慣れていたからな。それを今日は徹底的に扱きまくっといた」

「そうですか」

3人の顔がすごい。険しい顔をしている。これは師匠、やりすぎたな。


「そっちはどうだ?」

「はい。魔族が何かしていた痕跡を見つけました。それとここからは推測も入りますが、蠱毒を蜂の巣内で、蜂の魔獣でやったのではないかと?」


「な、お前、それはやべえだろ。ここでそれを使用されたら?」

「ええ、かなりまずいです」

「はあ、冗談にならねえ話だ。これは本当に勇者の力を必要とするかもな」

「ええ」


そうして話をして今日は終わった。


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