特務 辺境伯領へ行け
3ヶ月後
俺はリオル先輩らと訓練をして、任務を聞くためにガルド様と父上が待つ騎士団長室に行く。
「騎士団長閣下、失礼します」
「うむ。マルク、辺境伯領でまた魔獣の氾濫があったのは知っているな?」
「はい。小さいもので、ガイス師匠ら冒険者と辺境伯領軍で対応したと聞いてます」
「うむ。ただ、2年も立たずに氾濫というのはおかしい。それでマルクの隊に魔獣の森を調査してもらいたい。辺境伯領軍も先日の氾濫でちと被害を受けた」
「わかりました。騎士団長閣下」
「うむ」
ガルド様からも今回の件の説明が入る。
「で、儂の方も調べたいのでな、カリウスを派遣する。結婚したばかりのあやつを使うのは忍びないが、あやつをよろしく頼む」
「はっ」
「うむ。カリウスと協力して調べてくれ。ルインには言ってある」
「ガルド様、承知しました」
そして、俺は隊に戻り、さっきのことを報告して準備をさせる。そして、だいたい3〜4ヶ月になる任務だから2日も休みを与えた。出発は3日後になる。
そしてカリウス義兄上と話す。
「義兄上、この度は合同での任務、よろしくお願いします」
「ああ、こっちこそ、よろしくお願いする。俺は文官として行くから、護衛をよろしく」
「わかりました。辺境伯領に着いた後は、それぞれの行動ということで」
「ああ、俺は一度消える。よろしくな」
「わかりました。その後は合流して情報を集めるということですね?」
「ああ、そうなる」
「わかりました。結婚したばかりで大変ですが、よろしくお願いします」
「まだ、妊娠してなくてよかったよ」
「そうですね。そうでしたら心配でしたね」
「ああ」
そして、俺はカリウス先輩と別れ、実家に行く。
「母上、ただいま」
「お帰りなさい。今日はどうしたの?」
「はい。任務で辺境伯領に数ヶ月間行くことになりましたので、報告に来ました」
「そう。いつ出発するの?」
「3日後になります。今日は泊まっていきます」
「わかったわ。アイナ、よろしね」
「はい、リネア様」
俺はメル姉の事を頼んでおこう。
「あと、カリウス義兄上も一緒に行くことになります。メル姉に一時的にこっちへ住むよう勧めてはいかがでしょう」
「そうね。1人だと、何かと心配でしょう。そうするわ」
「ええ。まぁ、メル姉は家事は一人で何でも出来ますが、それでも心配になるでしょうから」
「そうね」
そう、メル姉は家事を何でもできる。一方でエルカ姉様は・・・できない。そういった意味では王妃になれるのは良いことだと思う。あ、一瞬だけ寒気がした。これ以上は考える事はやめよう。何か恐い。
そして、それから兄上の家を訪ねて、アランとユリア義姉上に辺境伯へ行くことを伝えた。するとアランが泣きそうな顔で
「また、行くの?」
と訪ねてきたので
「仕事でね。すぐ帰ってくるよ」
「戻ってくる?」
「うん。戻ってくるよ」
「待ってる」
と、話して、兄上の家を出て、帰った。それから家でのんびりして過ごした。翌日ものんびりしてから買い物に行き、宿舎で帰って、次の日は出発の準備をした。
出発当日
俺らは王宮の馬車の待機所にて待ち合わせ、皆が揃ったので出発する。
「では、本日から一緒に行動するカリウス・フォン・エルナンデス殿です。知っている人もいると思います。ちなみに俺の義理の兄になります」
「おい、マルク、最後の余計じゃねえ?」
「ははは。何か緊張しているから、少し巫山戯ました」
「そうか。まぁ、いいや。俺は文官として色々と調査する。よろしくな」
「はい。カリウス先輩」
「おい、ケビン、公式なところではエルナンデス卿か、カリウス様と呼べ。一応俺は貴族だ。お前が罰される。今は誰もいない馬車の上だからいいがな」
「なるほど」
「ふははは。ケビン、ちゃんとエルナンデス卿と呼ぶんだ」
「おい、操縦者がうるさいぞ。ちゃんと前を見ろ。リオル」
「はははは」
「マルク、笑いすぎだ」
行者はリオル先輩とヤイがしている。ヤイは警戒、操縦者としてのリオル先輩だ。
そんな風に自己紹介をして、1週間かけて進んで行く。俺たちはその間も、野営時に訓練をしているとカリウス義兄上が
「お前ら、頭がおかしいのか?」
「何がです?」
「いや、辺境伯領に行く途中だぞ。俺の護衛だぞ。途中で盗賊が出るかもだぞ?」
「それくらいなら、俺かヤイで十分対応できます。それより、訓練を減らす方がダメですね。辺境伯領では、魔獣の森に入りますからね」
「まあ、魔獣の森に入るから訓練が必要というのはわかる。でもな、着いてからではダメなのか?」
「日々の訓練が物を言うのです」
「そうか」
「カリウス、お前だけがそう思っているのではない。俺らもそう思っている」
「ああ、エルナンデス卿がそう思ってらっしゃるのと同じくらいにそう思っています」
「俺は別に何とも」
「私は早く強くなりたいので、しょうがないと」
「ケビンとミカちゃんはダメだな。マルクの考えに侵されてる。こいつは少しおかしいから気をつけろ。お前らも常識がなくなるぞ。英雄なんて大体がおかしい奴だからな」
「義兄上、酷くないですか。メル姉に聞いた話だと・・うあn・・・」
「ちょっと喋るのやめようか、マルク」
カリウス義兄上に口元を押さえられて喋れない。
こうして、進んで行く。カリウス義兄上は最近、ものすごく鍛錬をしているようだ。俺にボロボロにされるリオル先輩を見たからだとか。あと、メル姉を一人にしたくないという理由らしい。
そして、辺境伯領の領都オルガに着く。そして俺らは宿に入り、カリウス義兄上と俺はルイン様に挨拶に行く。
「ルイン様、今回はよろしくお願いします」
「ああ、よろしくね。マルク、迷惑をかけるね」
「いいえ、魔獣の森の中の調査は大変でしょうからしょうがない事です」
「ルイン様、結婚式以来ですが、よろしくお願いします」
「エルナンデス卿、ああ、久しぶりだね。今回はよろしくね。メルとはどうかな?」
「はい、メルとはうまくいっています。ただ、婚姻してすぐに出張で大変ですが」
「ああ、それは悪いね」
「いえ、すみません」
「いや、いいよ。そうか上手く行っているところにか、ガルド様も他の人にすればいいのに、よっぽど信頼されているんだね。メルはいい人を夫にできたんだね」
「そう言っていただき、助かります」
「そうだね」
それから少し話して本題に入る。
「今回の魔獣の氾濫は小さかったとか?」
「マルク、そうなんだよ。2年前のと比べて小さいけど、時期がねえ」
「この前の前はいつだったのですか?」
「20年前だね。その前は41年前だよ。だから大体20年前後だね。それに合わせてか小さいね」
「そうですか。人為的な感じがしますか?」
「ああ、そうなんだ。今回のは無理矢理な感じがするけど、原因がわからないからね。困っているよ。何が引き起こしたか?誰が引き起こしたかを調べて欲しいんだ。アカードが怪我してね」
「アカードさんが?重いのですか?」
「ああ、元には戻れるんだけど、2ヶ月くらいかかる予定だね」
「そうですか。それは解決しないとまずいですね」
「ああ、今はルドルフが指揮しているよ」
「ルドルフが」
「ルドルフは文官学院から軍師学院に途中で移籍して、戦術をかなり学んで、兵を動かせるようになったからね」
「そうですか。頑張ったんですね」
「ああ、マルクに良い影響を受けたみたいだよ。ありがとうね」
「そうですか。それは良かった」
「ああ、だけど、まだ経験不足だよ。だから頼むね。今魔獣の氾濫が起きたら、辺境伯領はどうしようもないね」
「わかりました。頑張ります」
そして挨拶を終えて宿に戻り、俺らは情報を共有して、宿でゆっくりした。ここでカリウス義兄上とは別れ、カリウス義兄上は独自の調査をしてもらう。俺らはセレステに出発する。




