騎士の休日
翌日
俺は休みのため、家に帰る。
「ただいま」
「お帰りなさい。マルク」
「おかえり、マルク」
「母上、父上、今日もお世話になります」
「自分の家なんだから気を使わないの」
「はい」
「うむ。マルク、今週も真面目に仕事をしているようだな。ガルドからも話を聞いている」
俺の第00小隊は現在の仕事内容はガルド様預かりとなっている。そもそも、俺の隊は特殊任務の為の隊であり、作戦の外で遊撃をする部隊だから、少し特殊な権限を与えられている。父上の管轄を出たり、入ったりする予定だ。
今は騎士団だが、管轄はガルド様の直轄だ。そのうちコーネリアス様の管轄になったり、もしくは父上や兄上の管轄になったりする。
「はい。父上。仕事は特殊ですが、もうそろそろ終わる予定です」
「そうなの。じゃあ、ミカさんの監視はなくなるのね」
「もう少し、警備の関係から続きますが、それが終われば、そうなる予定です」
「いつ頃かしら?」
「まだ未定です」
「そう。監視が外れたら、マルクなしで会えると思っていたのに、残念」
「俺なしで、会ってどうするのです?」
「女性には女性同士だから話せる事もあるの」
「そうですか」
「そう」
そして、家でのんびりしているとメル姉とエルカ姉様、あとカリウス先輩が来た。流石にエドワード殿下は来なかったが、婚姻の話をするとのことだ。
そして、メル姉とカリウス先輩が来た。
「メル姉、カリウス義兄上、この度はおめでとうございます」
「ふふ。マル君、恥ずかしいわ」
「マルク、義弟になるが、その義兄上は辞めてくれ。なんだか気恥ずかしい」
「そんな、カリウス義兄上、これからは義兄弟になるのです。それくらい慣れてください」
「お前、楽しんでんだろ?」
「ええ。楽しんでおります」
「あ、マルク、お前」
「義兄上、奥さんの家族の前でその態度は減点です」
「な、マルク」
「ふふ。メル姉の夫として、足りないですね。もう少し、頑張ってください」
「マル君、そのくらいにしなさい」
「はい。メル姉。今日はこのくらいに」
「マルク」
カリウス義兄上が歯痒そうにこちらを睨む。
「マル君、それ以上やるなら、マル君の恥ずかしい話をしちゃうよ」
「さすがメルさん。それを教えてくれ」
「メル姉、辞めたので、それくらいで」
「しょうがないな」
と楽しんでいると、エルカ姉も来てた。
「ん。マルク、調子に乗りすぎ」
「エルカ姉様、おはようございます。儀式の準備はいかがですか?」
「だいたい整った」
「そうですか。お妃様になる準備は大変ですか?」
「ん。大変。普段とは違う話し方をする。公式では無理」
「話し方を変えているのですね。大変ですね」
「ん」
そして兄上らも来た。
「お久しぶりです。ユリア義姉上」
「お久しぶり。マルク」
「はい」
「マルク。久しぶり」
「アラン、久しぶりだね。元気かな?」
「うん。元気」
「そうか。アランの叔父さんが増えるよ。こっちがカリウス叔父さん」
「カリウス叔父さん」
「そう」
「アラン、よろしくな」
「カリウス叔父さん。よろしく」
そして俺らは食堂で話し合う。アランがつまらなそうなので、俺はアランと遊ぶ。
「アラン、何をする?」
「本を読んで。じいじの本」
「あぁ。父上の英雄伝か?いいよ。読んであげる。どの辺まで読んだ?」
「一回全部読んだ」
「そうなんだ。じゃあ、始めから?」
「うん」
と、本を読んでいく。
そうすると、大人たちでは
「しかし、アランはマルクに懐いてますね。義兄上」
「そうなんだよ。俺よりマルクに懐いた時は正直泣きそうだったよ」
「ああ、あったね。アルフ兄が出征する前だったっけ?」
「ああ、あの時は悲しかった」
「ふふ。マルクは何故か、子供の扱い方がうまいのよ」
「そうなんですか?」
「そう、カリウスも見習いなさい。メルとの子供をあやす事になるから」
「はい」
「ふむ。カリウス、メルよ。困ったら我が家を頼れ」
「ありがとうございます。姉も領に戻ったので、頼れるのはドンナルナ家とガルド様のみですから、そう言ってもらえて嬉しいです」
「うむ」
「そうね。いつでも頼ってちょうだい。マルクも手を離れたし、暇だわ」
「ありがとうございます」
「お母様、ありがとう」
と、話をしていた。それを横目に俺はアランに本を読んでいく。
そして、本を読みきる。父上の英雄伝の本は三巻で書かれていて、一巻が短いのですぐに読み切る。なので、読み終わると。
「マルク、読んでくれてありがとう」
「ああ、アラン、ちゃんとお礼を言えて偉いね」
「うん。ねえ、ドラゴンの話」
「ああ、火龍の事?いいよ。火龍はね。黒い竜で、口から火の玉を噴くんだ。何個も、何個も。火の玉はね、早くて、早くて、こっちに来るんだ。それを避けるんだよ」
「火の玉は大きい?」
「そう、大きいよ。俺より大きい」
「そんなに?」
「そう、それが向かって来るんだ」
「怖かった?」
「うーん、そうだね。恐いと言えば恐い。でもそんなに恐くないよ。それよりは口がでかくて、それで噛まれたらねえ」
「火竜も大きい?」
「そう、それはもうこの家と同じくらい」
「そんなに?」
「そう、それがこう口を開けて、ガブって」
「うわあああ」
「ガブ」
「うわああ」
「ガブ、ガブ、ガブ」
「うわああああ」
「はっははは」
「もう、マルク嫌い」
「ごめんよ。アラン」
「うん」
こうして俺とアランが遊んでいるうちに、婚姻の話が終わったらしい。俺とアランは呼ばれて、食事に行く。




