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騎士としての日々

翌日


朝から訓練をして、王宮の会議室にいく。今日は母上とミカさんが話す日だ。2人は定期的に話をしている。これはミカさんが持つ情報を吸い上げながら、ミカさんが嘘をついてないかを調べるためだと。母上は聖国のこと、ダークエルフ、勇者のことについては詳しいため、その話は王国にしている。


ただし、200年くらい前の話だ。だから現状を知らないので、王国も聖国の状況や戦争の状況を知るためにミカさんから話を聞きたい。そして、その役に聖国や勇者に詳しい母上を選んだということ。ミカさんも前の勇者の話を聞いて、考えたいことがあるので、数回に分け、色々と話している。


「母上、ミカさんを連れて来ました」

「ええ、ありがとう、マルク」

「ありがとうございます。マルク様」

「では、お二人で。私は部屋の隅にいます」

「はい」

「わかったわ。。マルク」


そして2人は話し始める。2人はここまで何度かの話し合いで、勇者が来た世界のことや前の勇者がどう過ごしたかなどを話して来た。そして今日は聖国がどんな状況で、どのように勇者を召喚したかを話すようだ。


「そう、聖国はかなり苦しいのね」

「ええ、民にはかなり不満が溜まっているようです」

「そう、まぁ、ダークエルフたちが人族のことなんて考えているはずがないわ」


「そうですか。他の勇者も自分勝手ですから」

「そうね。それで民に人気の貴方を神託や戦うスキルがないからって手放すなんてね。本当に救いようがないわ」

「はい」

二人の話は続く。俺はそれを聞いてメモを取っていく。


「召喚された時は教会の中のかしら?」

「はい。教会の召喚の間というところにいました」


「召喚の間ね。知らないわね。どんな部屋だったかしら?」

「ええっと。広い部屋で、枢機卿が一段高いところで大きな椅子に座ってました」


「そう、他には誰がいたのかしら?」

「ええ、数人の司教らしき方と、今思えば、ダークエルフが数名いました」


「そう、絵はあったかしら?」

「あ、ありました。神でしょうか?白い服を来た髪の長い男性の絵でした。私の世界の神に似ていました」


「そう。じゃあ、あの部屋ね。足下に何かなかった?」

「うーん。・・・あっ、あったと思います。円状に描かれたマークというのか、魔法の魔術式?魔方陣?とでも言うのか。そう言ったものがありました」


「ああ、やっぱりそうなのね。私が200年前に作ったものだわ。ごめんなさい。あの時、壊しておけば、貴方を苦しめなくてよかったのに」

「いいえ。こっちに来て、素晴らしい方にも出会えました。最初は苦しみましたが、今はそれほど辛くないです。助けてくれる人も多いです。元の世界には家族もいませんし」


「そう。それなら、救われるわ」

「そうですか。よかったです。マルク様にはお世話になっております。リネア様を責めるのはお門違いかと思います。ですから、辛い思いをしないのならば、それがいいです」


「そう、貴方は優しい子ね」

「いえ、結構自分勝手です」

「そうかしら」


召喚の話はやはり母上が作った魔法陣が使われたようだ。あれは使うと中途半端な召喚になるから、強い勇者は召喚できないと母上はおっしゃっていたが、俺はミカさんが弱い勇者とは思わない。スキルが天神教ではわからないだけではないかと思う。


俺の時もそうだが、最近、天神教のスキルチェックではスキル内容がわからないスキルが出始めているらしい。巷では天神が世界を見捨てたとか、俺のように英雄と成り得るものが出てきたとか言われている。


基本的にスキルはスキルチェック時にスキル内容を啓示されている。しかし、俺のスキルを始め、ミカさんのスキルなど、啓示がないスキルは強力な気がする。まだ、ミカさんのスキルは内容がわからないが、スキル名を見るに強力なスキルだろう。奇跡と祈願は凄そうなスキル名だ。


「そうですか。マルク様はそんな子だったのですね」

「そう、変わった子だったわ」


「ふふ。今も変なところがありますね」

「そうね。真っ直ぐな子なんだけど、それがね」


「はい。ちょっと真っ直ぐすぎて、女の子の気持ちがわからないようです」

「そう。そこが問題なのよ。今もあっちで考え事をしているとは思うわ」

「ふふ。そうですね」


「そう、ミカさんも大変だと思うけど、よろしくね」

「ええ、マルク様はいい人なので」

「そう。ありがとう」

「いいえ」

いつのまにか俺の話をしている。何故?


「あのぉ、なんで急に俺の話に?」

「ああ、色々と話していたらそうなったのよ」


「母上、色々が気になります」

「ふふ。いいじゃない。マルク、男なら気にしないの」


「母上、それは違うかと」

考え事していたら、俺の話になっていた。しかもよくわからない。俺は女性の気持ちはわかるし、優しくしていると思うけどな。


「マルク、だいたい終わったわ。今日もいい話ができたわ。あとはガルドと話して報告しとくわ。あとでガルドから話があると思うけど、よろしくね」

「はい」


そして、俺とミカさんは会議室を出て食堂でご飯を食べたあと、俺はミカさんと別れ、ガルド様と話しに行く。ミカさんにはヤイが付いて行く。


ガルド様の執務室にて

「マルク、よく来た」

「はい。ガルド様」

「うむ、確認して行く。リネアからも聞いたが、・・・・」

母上とミカさんの話がちゃんと来た通りか、そして聞いていた時に使った嘘発見機がちゃんと機能したかを確認して行く。


「そうか、じゃあ問題はないな。ミカ殿について監視が必要ないかもな」

「ええ、監視してても、特に何かをする様子はありません。むしろ積極的に王国に馴染もうと、王国のために何かしようとしているように思えます」


「そうか、もう少ししたら、監視はやめるか?」

「そうですね。それがいいと思います」


「わかった。ラルクやコーネリアスらと話をして、陛下の承認のもと、遠くない日に監視をやめる。ただ、聖国が心配だがな」

「ええ、奴らが何をするかでしょう。今のところ、王国に入って来た怪しいものはいないのですか?」


「ああ、カリウスが調べているが、特にはそういった者はいない」

「そうですか。わかりました」

「ふむ、もう少しだけ、そういった者がいないか気をつけていろ」

「はっ」


そして俺はガルド様の部屋を出て、ヤイに合流するため、学院に向かう。特に学院周りは問題なく、ヤイに合流した。そしてヤイから問題ないという報告を受け、そのまま外を確認して行く。学院を一回りして、問題ないことを確認してから、帰り道を確認していき、そして学院に戻る。すると、ヤイとミカさんが出てきた。授業は終わったようだ。


「授業お疲れ様」

「ありがとうございます」

「特に問題ないよ」

「そうか、じゃあ、行こうか」

「はい」

俺らは宿舎に戻る。そして宿舎で別れ、俺とヤイは訓練をして、今日は終わった。


翌日


俺は朝から訓練をして、そしてミカさんが買い物に行きたいというので、付いて行く。カリム魔道具屋だ。帝国や聖国では魔道具はあまり売られていないようだ。


「いらっしゃいませ。あ、お兄ちゃん、マルク様」

「ああ、リル、ちゃんと働いているね?」


「当たり前だよ。お兄ちゃん。マルク様、兄が迷惑をかけてませんか?」

「いいや。ヤイはよくやってくれてるよ」


「そうですか。よかった。カリム様を呼んでまいります」

「いや、リルちゃん、いいよ。今日は俺じゃなく、こちらのミカさんがお客様だよ」


「そうですか。ミカ様、いつも兄がお世話になっております」

「こっちこそ、いつもお世話になっています。リルちゃん、商品を見せてもらいたいの」


「はい。わかりました。こちらへ」

「うん」


「どのような商品をお求めですか?」

「うん。自分の身を守るような物かな」


「そうですか。ですと、こちらの解毒や防御付与の結界の魔道具はいかがでしょう。天才マルク様と当店の共同開発品をさらに改良した最高傑作です。最近やっと一般の方にもお売り始めたところです」

「結構な値段がするね」


カリムさんが来た。

「それならば、マルク様のお知り合いですので、安くします」

「あ、カリムさん」


「お久しぶりです。マルク様、ヤイ様。そして初めまして、ミカ様」

「初めまして、カリム様」


「カリム様、妹がお世話になっております。ご迷惑はおかけしてませんか?」

「いいえ、リルさんはいい接客をしてらっしゃるので、当店でも評判の店員です。いずれは魔道具を作る職人にと、勉強も頑張っておられます」


「そうですか。よかった」

「ふふ。仲のよろしいご兄弟で」

「いやあ、いつも喧嘩ばっかりです」

とそんな話をして、ミカさんはもう少し見たいと言って、色々と店の中を見て行く。それに、ヤイとリルちゃんが付いていった。


「マルク様、騎士はいかがでしょうか?」

「ああ、頑張っているよ。それにたまに研究もしているから」

「そうですか。それは嬉しいです」


「うん、まあ、最近、ルーナと商品開発を頑張っているってね?」

「はい、かなりいい品を開発していただき、当店も魔道具協会も潤っています」

「そうか。いいね」

「はい」


「あの魔道具の改良をしたの?」

「はい、宮廷魔法研究所と協力して、さらに改良しました。改良版はまず、王宮と友好国の王宮や行政庁に卸しました」


「そうか。どう変えたの?」

「今までの物を両方とも適応できるようにしたのです」


「解毒と結界の両方か。それはすごいね」

「ええ、かなり好評で、今や当店の人気No.1です」


俺も新たな研究をしている。それは風による飛ぶ魔法だ。そしてそれを付与した魔道具だ。それで飛ぶ事をできるようにしたい。飛行機の話から揚力を使おうと思う。それまでも考えてたのは重力を下げる事だが、今回は揚力を作り出したいと思っている。


ミカさんは結局、解毒のみの魔道具を買っていった。そこまでまだお金がないらしい。まあ、いずれ金は入ってくるだろうと思うけど。


この後は授業を受けるミカさんを見守り、終わった後は宿舎に戻り、ミカさんと訓練を一緒にして今日は終わった。


翌日


今日も朝から訓練をして、その後にミカさんと合流して、王宮魔術研究所に行く。ミカさんは日本の知識を使って、魔法の改良に協力している。それで、細かなところが改良でき始めている。


これがミカさんの収入源だ。成果が出始めたら結構な金額が入ると思う。王宮魔術研究所は現在人気の就職先になっている。賞がある事、研究が成功すれば、インテンシブで契約を結べるということになり、かなり儲かる。


正直言えば、領地経営より儲かることもある。実際にルーナは伯爵くらいの収入があると思う。俺は多分伯爵以上かも。


で、ミカさんもインテンシブ契約を結んでおり、まだ成果が金になってないが、各研究員の研究をかなり進めているので、そのうち爆発的な大ヒットを生み、儲かると思う。


ちなみに作った賞だが、俺が1回、ルーナが1回となっているため、まだ他の人の受賞はない。噂だと、カインさんがスキルチェッカーを完成させそうらしい。これができれば、始めての俺とルーナ以外の受賞は間違いないと言われている。ただ、今年の賞は12月なので、間に合わないだろうと思う。


研究所に着く。ミカさんは研究所員と話す。俺は所長のメル姉と話す。

「結婚の準備はどうですか?」

「カリウス君が頑張っているよ。もう少しかな」


「来年の春ですからね。メル姉も緊張とかします?」

「うーん、緊張はないよ。少し不思議な感じかな。でもカリウス君が優しいから」


「ふふふ。メル姉も惚気をするんですね」

姉の結婚惚気はニヤニヤしてしまう。


「そうね。もう、そのニヤニヤはやめて、マル君」

「ふ。すみません」

「もう、謝る気ないでしょ?」

「その気はありますが、見慣れないメル姉の惚気が面白くて」

「もう」


そして、俺も研究をして行く。監視はヤイがする。

「うーん」

「どうしたんですか?」


「ああ、ミカさん。飛行機の話を聞いてから、空を飛ぶ魔法はできないかと思っているんだけど、揚力というのがイマイチわからないのと、それを生み出す羽をどうしようかなと」

「揚力は風が動き続ける時にできる力です。そうじゃないという浮力になります」


「浮力?揚力とは違うのですか?」

「そうですね。水の中で浮くのと、風で飛ぶのが違う感じでしょうか?」

「水の中で浮くか?それが浮力?つまり、空中の場合、体は浮き上がるのと、風を受けて飛ぶのとは違うという感じ?」

「そうです。よく理解できますね?」


「現象はね。でも、それを引き起こす原因は理解ができない」

「なんだか、私の世界の人のような考え方ですね?」

「そうなの?この国では珍しい考え方かもしれないけど、ミカさんの国はすごいね」

「そうですか。マルク様はすごいです」


「そうかな?」

「ええ」

「そうか。そういえば、ミカさんは終わったの?」

「ええ」

「じゃあ、帰ろうか?」


そして研究をやめ、俺らは帰る。そして昼食後は学院に向かい、ミカさんはシグルソン教官に師事する。俺はそれを見ながら、後輩たちと基礎訓練をして行く。そのあとは指導をしていく。そして、ミカさんの指導が終わり、俺らは宿舎に帰る。その後はミカさんと別れ、ヤイと訓練をする。


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