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出立と疑惑

2日後


俺は国都についた。そして宿で風呂に入り、着替えをして、王宮に向かう。王宮につき、陛下の執務室に来た。

「失礼します」

「ああ、マルク殿、帰るのか?」


「はい。ここでしたいことはできました。多くの事を学べました。ありがとうございます」

「そうか。また来てくれ。マルク殿なら、いつでも大歓迎だ」

「ありがとうございます」

感謝の礼をすると、陛下がこちらを見て頼むように言う。


「ふむ。マリアとケビン君のことを気にしてくれると助かる」

「ええ、大事な後輩ですから」

「そうか。それは嬉しいことだ」


「ふむ、また会える日を楽しみにしている。これはすまぬな。大事に使わせてもらう」

「はい」

この後も、何気ない話で盛り上がり、話は終わった。俺は王宮を出て、宿に戻った。



そして翌日、俺は国都を出て、王国に戻ろうとした。しかし、国都は警備の騎士が走り回り、騒がしかった。国都の門に着くと、人だかりがあった。


「今日は出られません。警備強化のためになります」

「おい、俺は早く村に帰らねえといけねえんだ。開けろ」

「そうだ。通せ」

「「「「そうだ」」」」

何故か、王都の門では警備の騎士が出立しようとする者らを止めている。


「何があったのですか?」

俺はそこらにいる人に聞いた。

「あ?わかんねえ。何故か、警備が門を通さねえんだ」

「うーん、今日は出れないですかね。困りました」


「ああ、同じだ。くそ。早く出たいんだが」

「そうですか」

俺はしょうがないので、一度戻る。会館で噂を聞いてみよう。それでダメなら会長殿にでも聞いてみよう。


会館に着くと

「おい、今日の依頼にいけねえ。これじゃあ、食いっぱぐれる。どうすんだ?」

「「「「「そうだ」」」」」

ここも混乱中のようだ。何があったんだ?


「うるさいねえ。しょうがないだろう。国都中が混乱してんだ。黙りな」

あ、会長殿だ。シエル会長殿もどうやらこの混乱を収めるために出てきたようだ。


「あ?ばばあ、『しょうがないだろう』じゃねえだろ。俺は飯が食えねえ。どうすんだ?」

「あ?誰だ?ばばあって言った奴は?」

「いいから王都から出れるようにしろ」

ああ、大混乱だ。これはここにいてもしょうがない。宿に戻ろう。


俺は宿に戻った。宿はなんとか確保できたので、部屋でのんびりする。すると

「すみません。マルク・フィン・ドンナルナ様はいますか?」

と誰か訪ねて来た。


「はい、います。今開けます」

「私は騎士団第3部隊のケザルと言います。この度はマルク殿に容疑がかかっており、ご同行願います」


「容疑?」

「はい」

「何のですか?」


「はい、こちらでは言えません。どうか王宮までご同行ください」

「はあ、少しお待ちください。着替えます」

「はっ」

そして着替え、王宮に同行した。


王宮に入ると、狭く、暗い、窓の無い部屋に入れられた。

「マルク・フィン・ドンナルナ様を連れてまいりました」

「うむ。ご苦労」

「あの、何の容疑で呼ばれたのでしょうか?」

「マルク・ドンナルナよ、白ばくれるな」

責任者らしき者が偉そうに言葉を吐いた。こいつ、真相がわかった時は死ぬな。


「何がでしょう?」

「ガイザ様より、お前が王宮で陛下に毒を盛ったと嫌疑を申し出られた」

「はっ?」

カイザ様ねえ。罪人を様付けで。


「だから、陛下にお前が毒を盛ったと嫌疑がかかっておる」

「私が?陛下に?」

「そうだ」

確信したような表情だ。


「陛下が毒を盛られたのですか?」

「ああ」

「いつ?」

「であるから、それを聞いている」

「知らないので、こちらも聞いています。陛下はいつ毒を盛られたのですか?」

「だから、こちらが聞いている」

顔をしかめて聞いてくる。ていうかお前誰だよ。名乗れよ。


「では、質問を変えます。ガイザ様はいつだとおっしゃっているのですか?」

「それは」

「私が知らないことを何故知っているのですか?」

「お前が嘘を言っているからだろう?」

「では、嘘かどうか知るために、ガイザ様はいつとおっしゃっているのですか?」

「それは、お前が陛下と会った時だ」

はぁ、あの時?そもそもその時は元気だったし、部屋に戻ったぞ。


「あの時は元気でしたが?それに、何に、毒が入っていたのですか?」

「それはお前が知っているだろう?」

「知りません。知らないからガイザ様は知っているのでしょう?」

「それは」

「知っているのですね。では教えてください」

「ああ、お茶だ。陛下が愛用してらっしゃるお茶だ」

自白したか。お茶ねえ。


「そうですか。では侍従長をお呼びください」

「何故だ?」

「証人が必要です」


「は?証人?」

「呼べないのですか?ガイザが嘘をついているからですか?」

「な、ガイザ様と呼べ」


「犯罪者に様はいりませんよ」

「なんだと?」


「さあ、侍従長を呼んでください」

「私が呼んで来ます」

「おい」

俺を連れて来た騎士が侍従長を呼びに行く。



そして彼は騎士団長と侍従長を連れて来た。

「侍従長を呼んで参りました。騎士団長もいらしていただけるとおっしゃってますので、来ていただきました」

「ああ。何で、第3部隊長、君はマルク殿を呼んだのかな?」

「ある人からマルク・ドンナルナが犯人だと申し出があったからだ」

「そう、それは誰だい?」


「それは」

「ガイザですよね?」

「な」

「先程、おっしゃっていたじゃないですか?」

「はい。私も隊長が言っていたのを聞きました」

第3隊隊長殿が震え始めた。バカだな。震えるのもどうでもいい。お前はもうダメだよ。


「そう。そういえば、侍従長が呼ばれたんだよね。どうしたのかな?」

「ガイザがお茶に毒が盛られたと言ってたと第3部隊隊長殿が言っていたので、侍従長に私が陛下と会っていた際のことをお聞きしようと思って」

「そう」


侍従長が不思議そうだ。

「はい、侍従長にお聞きしても?」

「ええ、どうぞ」

「ではお聞きします。侍従長殿、私が陛下にお会いした際に、陛下はお茶をお召しになられていましたか?」

「いいえ。仕事もないからと、ワインをお飲みになっていました」

第3隊隊長殿が青ざめる。



「そうですか。私もワインをいただきました。ワインから毒が出ましたか?騎士団長」

「いいえ。何から毒が出たかまだわかっておりませんが、ワインは違いました」


「そうですか。では陛下がお召しになられたお茶を調べてみてください。そこの方がお茶に毒が入っていたとガイザに聞いたそうです」

「おい。お茶を調べろ」

さっきの隊員が出て行った。


「侍従長、陛下がお召しになられたお茶は侍従長がご用意されたのですか?」

「いいえ。陛下はマルク様とお会いになられた後は、お部屋にてのんびりなされるとのことでしたので、私は陛下が御用が何かある際にと、待機所にて待機した後、私は役目を代わりました」


「誰に?」

「ええ、副侍従長に」


「そうですか。副侍従長とガイザとそこの隊長が怪しいですね」

「ええ、マルク殿の言う通り、侍従長の行動は裏が取れております。故にワインは調べました。ですが、我々がわからないのに、第3隊隊長、何故貴方とガイザは知っているのでしょう?」


「違う。私はガイザ様に言われたのだ」

「何を?」


「マルク・ドンナルナが犯人だと。陛下を殺し、この国を王国は乗っ取ると」

「それを真に受けてこうしたと?我が国の恩人に?来賓に?」

「いや、それは」


「お前の職を解き、逮捕する。ひっ捕らえよ」

「な、俺は」

「すみません。マルク殿」

「いいえ、陛下は?」

「マルク様が開発された解毒の魔道具をお召しになっておられたので、大事はありません」


そう、大会後に陛下にお渡していた。

「そうですか。それは良かった」

「何度もこの国を救っていただきました。何とお礼をすればいいか」

「いえ、お礼はいりません。それより、ガイザを捕まえましょう」

「ええ」


それから、お茶から毒が出た。そして、副侍従長が実行犯だとわかった。おれが今日知れてのはここまでだった。


翌日


「マルク殿、この度は我が国の問題に巻き込み、申し訳ない」

「いえ、陛下。ご無事で何よりです」

「ああ、マルク殿の魔道具をいただき、助かった」

俺は最後の謁見の時に献上品として陛下に解毒の結界の魔道具を渡した。それが功を奏した。


そして、ガイザが連れて来られる。

「ガイザよ。お前は王家から外し、処刑となる。何か言うことはあるか?」

「な、何で俺が処刑される。俺じゃなく、そこの人族だろう?」


「ふむ。お前の罪は明らかになった。もう全て解っている」

「な、俺じゃない。親父、俺はやってない」

「嘘をつくな」

「違う。あいつらが勝手にしたんだ」


「そうか、ではあいつらも道連れにしよう」

「な、俺は王家だ」

こういう連中は皆、同じことを言う。王家は罰せられないと思っているのだろう。そんなことはありえない。だったら法律はいらはい。



そして、ガイザに協力した者、ガイザと計画を企てた者は皆、処刑された。当たり前だ。陛下を殺そうとしたんだ。アルス元王子の時は陛下を無理矢理に脅して蟄居させようとして、塔にて一生幽閉だ。今回の裁定は当然の結果だ。


そして、ガイザ派の者らはこの後、悉くを罰して行くようだ。俺は明日にこの国を出るので、そこまでは関わらない。



出発当日


「マルク殿、この度はお世話になりました。良き御旅を」

「騎士団長殿、こちらも助かりました。ありがとうございます」

「いえ、当たり前のこと。むしろご迷惑をおかけし申し訳ありません」

「いえ」


今度はガッソ殿下と陛下ががいらっしゃった

「此度は申し訳ない。マルク殿、御旅をお気をつけさい」

「ガッソ殿下。ありがとうございます。こちらこそ、ご迷惑をおかけしました。何卒これからもよろしくお願いします」

「ええ」


「うむ、マルク殿、此度は感謝する。本当に助かった」

「いえ、友好国の貴族として当たり前のこと」

「そうか。それでも世話になった。ありがとう」

「いえ、こちらこそお世話になりました。陛下。ありがとうございました」


シエル冒険者協会長も

「マルク殿、大変だったね。今回は陛下を救ってくれてありがとう」

「シエル会長殿。当たり前のこと。此度はお世話になり、ありがとうございました」

「いや、こちらこそ」


ついで、ガイアスが挨拶にきた。

「師匠。此度はありがとうございました。師匠のおかげで自分の夢を一歩進められました。どうかお元気で」

「ああ、ガイアスも元気で」

「はい」


こうして、俺は獣人族国家でお世話になった方々と挨拶して、獣人族国家の国都レオナルクガウランを出た。それから、2週間かけ、王都に戻ってきた。


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