いろんな方に迷惑をかける
翌日
俺は体が辛いが、会館に行く。すると職員が来て、支部長室にくるよう言われた。俺は支部長室に行く。
「失礼します」
「はい。どうぞ」
「話があると言われたのですが」
「ええ、聞きたいことがあります。あと、報告がありますね」
「そうですか、なんでしょうか?体が辛いので、早めに本題に入っていただきたい」
「わかりました。ではお聞きします。まず、あの地竜は何でしょうか?」
しかめっ面の支部長殿が聞いてきたので、俺は何か問題でもという風に簡単に答える。
「何と言われても、デカイ地竜です。俺は名義上、地竜キングと呼んでます」
「そうですか。ではどこで見つけたのですか?」
「未開領域の奥にある砂嵐が舞うところに地竜の巣がありました。そこで地竜を14匹ほど狩ったら、そいつが出て来て、死闘になりました。最終的に魔法で何とか倒しました」
「そうですか。どんな魔法ですか?」
支部長殿は聞きたいだろうけど、それは答えられないので、ごまかす。
「王国の禁術なので話せません」
「なんで、禁術を使っているのです?」
「私が開発したので、使いところを間違えなければ使っていいと言われています」
「そうですか。では買取金額についてですが、上と相談して国に売ります。ですので、お時間をいただきたい。いいでしょうか?」
「いいですよ。当分はいるので」
「ありがとうございます」
「いえ」
俺は話を終えたかったが、支部長はちょっと待ったという顔で止めるように俺に質問をまた行う。
「一つ質問を追加しても?」
「いいですよ」
「はい。では、いつもこんなことをしてらっしゃるのですか?」
「いえ、たまにしている程度です。王国で師匠に火竜を倒させられたり、魔獣の群れに突っ込まされたりしてました」
「そうですか。・・・・ではこのクラスと戦ったことがあったのですね。それにしてはボロボロでしたね?」
「慣れてはいますが、今回は地中に引き込まれたのが厳しかったです」
「地中の中に?」
何を言っているのかという顔で俺を見る支部長。そんなに驚かなくてもと思う。
「ええ、地中であれに突進された時は死を覚悟しました。ですが、なんとか抜けて倒せました。もういいですか?」
「ええ、ありがとうございました」
こうして支部長の顔を歪ませて、俺は会館を出た。そして宿に戻る。訓練は出来そうにない。
2週間後
今日は訓練して会館に行く。体は3日休んで復活した。今まで最長期間だな。やっぱり、黄金闘気とトルネードのコンビはダメだ。完全に禁術にしよう。自傷行為にならない抜け方を考えよう。
まあ、経験をできたことがいいことだ。そう考えることにした。今日は支部でやっとあの地竜の買取金額がもらえる。騎士団と冒険者協会の本部の方が来るらしい。知り合いだと思う。
そして会館に行くと、俺は早速支部長室に呼ばれた。何人かの冒険者に話しかけられながら支部長室に向かう。俺がノックすると
「入ってください」
「はい」
「わざわざ、こちらまで来てもらいすみません」
「いえ」
そこには見知った顔がいる。
「まあ、自己紹介はいいでしょう。会長と騎士団の第五部隊隊長のガイアスさんです」
「3週間ぶりです。シエル会長殿、ガイアス隊長殿」
「マルク師匠、隊長殿はやめてください」
「ガイアス隊長殿、もう慣れなさい」
「シエル師匠まで」
会長殿は呆れ顔でガイアスに言う。俺も慣れろよと思う。
「まぁまぁ、では買取に関して決まりました。これが買取金額です。こちらは協会の口座に入れておきますか?」
「ああ、頼みます」
「わかりました」
「お2人から話を聞きたいそうです。ではよろしくお願いします」
支部長殿が促す。
「わかったよ。で、マルク殿、今回の地竜だけどね。どこで、どう倒したか、他にこのサイズはいなかったかを聞きたい。禁術の件は聞いたよ。王国には話していいという許可をもらったよ。教えてくれるかい?」
「わかりました。では、まずは許可をもらったので、未開領域に入りました。それで、数十キロ進んだところで砂嵐が舞う場所がありまして、その中数キロほど進んだところに地竜の巣を発見しました。15匹ほどいましたが、ちょうどいい訓練だと思い、入って全滅させたところまでは良かったのですが、1匹だけ逃しまして、その1匹が今回の地竜を呼んだみたいです」
「な、地竜の巣を壊滅?」
先日も驚いていたのにまた驚く、支部長殿だが、r俺も会長殿も正直まだ言う?と疑問だ。
「支部長、そんなところで驚いていたら、終わらないよ。私も驚いているけど、とりあえず静かにしな」
「はあ」
シエル会長の言葉に項垂れる支部長殿だ。まぁ、この中では常識の範疇にいる人だと思う。
「続けても?」
「ああ」
「はい。で、地竜を壊滅したので、そのままにしておいて、こちら側に強い魔獣が集まると獣人族国家に迷惑がかかるかと思い、片付けをしておりました。全ては持って帰れないので、1匹だけを持ち帰り、残りを燃やしていると、あのデカイ地竜が来ました。一旦隠れたのですが、奴は吠えるとその遠吠えの反響でこちらを見つけました。多分、地竜が地中の中から俺らを見つけるのも、この方法だと思います」
「な、それは」
「静かに」
また、驚き、会長殿に怒られる支部長殿。もう口にチャックしたらと思うよ。そりゃ怒られる。
「続けますね。そして見つかると奴はこっちに向けて突進して、そして地中に潜りました。俺は地中を穴だらけにされたら地中に埋まると思い、速度を上げ、地を蹴り、場所を移そうとしました。ある程度、巣から離れたところに来たのですが。運悪く奴が来た道だったようで、地中は穴だらけでした。それで足を取られて、地中に引きずり込まれました」
「はあ、聞いているだけで、汗が止まらないよ」
シエル会長殿まで驚くのはいらないと思う。
「そうですか。やられた方は死を覚悟しましたよ。それで、奴は地中の中で穴を開けながら、俺に突進してきました。穴はすぐに砂で埋まり、身動きがとれません。で、俺はどうせ死ぬなら足掻いてからだと思いまして、禁術のトルネードを自分を中心にかけました。それで砂を飛ばして、奴も一緒に、俺も一緒に吹っ飛んで、地中を出たのです。それで地中に出ると奴がボロボロになっていたので、とどめさして、片付けをして、一晩休み、こちらに向け戻ってきました」
「そうかい。壮絶な戦いだね。でトルネードというのはどんな魔法だい?」
「はい。他言無用でお願いします。トルネードは竜巻を作る魔法です。ある地点から風を渦巻くようにして、風を上へ登らせて竜巻にします。それがトルネードです」
「なんとも、すごい魔法だ。それをあんたが作ったのかい。すごいね。確認なんだが、もしかして、自分をそのトルネードの中心地点にしたのかい?」
「いえ、自分の足もと数メートル下です」
「それじゃあ、自爆じゃないか?」
「ええ、そうでもしないと周りの砂を取り除けないので」
「はぁ、なんて子だ。正気かい?」
「ええ。正気と思われないような方法でしか、あの状況を抜けれる方法はなかったです。あとは死ぬぐらいですかね」
「そうかい、聞きたいんだけど、トルネードっていう魔法はどれくらいの威力なんだい?」
「そうですね。人ならば数万人、魔獣なら数千匹を一瞬で無に帰す威力までできます。ただ今回はそこまではしていないですが。それでも咄嗟だったのでかなりの威力で撃ってしまいましたね」
「・・・よく生きていたよ」
「ええ、そう思います」
「淡々と話すのが恐いわ」
俺が肯定すると、シエル会長も顔が歪ませて言う。
「ふふふ、そうですか?」
「笑顔がもっと恐いよ。味方の国じゃなければ、ここで殺しているよ。多分無理だけどね」
「シエル師匠、多分、3人がかりでも、足元にも及ばないかと」
「ああ、そう思うよ。ガイアス、あんたは何で平気な顔しているんだい?」
「想像を超える話で現実味が感じないのと、マルク師匠ならまあ、しょうがないかなと」
「そうか。まあ、マルク殿ならね」
「あの〜、そこでなんでマルク殿ならねとなるのでしょう。英雄と王国で呼ばれているのは知っていますが」
「武闘会の優勝者を子供の相手をするかのように、相手する人だよ。あのグランドキングベアを倒す男だ。そして火竜も。それにガイスの弟子だよ。これだけ揃ってりゃ、それりゃね。人かどうか怪しいよ」
「ははは。シエル師匠、流石に人ですよ。人ですよね?」
な、ガイアスめ。こいつ。
「おい、ガイアス、尊敬はどこ行った?」
「いや、尊敬はしています。ですが、あまりにも先程の話が規格外すぎて」
「それはガイアスを責めるのは可愛そうだよ。さっきのは酷いね。あのデカさの地竜を魔法一発で倒すって、おかしい。そうなるわ」
こうしてだいたいの話し合いは終わり、もう少し続いたが、すぐに終わった。
俺は明日にはここを出て、国都で陛下に挨拶したら、国に戻り、そしてガイス師匠のところでもう一度、槍術の訓練をしてもらい、そして騎士になることにした。




