大会後
翌日
非公式で副騎士団長から試合を申し込まれ、戦った。俺は槍で戦い、それなりにいい試合だったが、俺は難なく勝った。まあ、俺の力は師匠にも認められたぐらいだ。ここでは負けない。
その後に、副騎士団長から聞いた。ガイアスが騎士団に入り、小隊長として入るようだ。その後に活躍すれば副騎士団長にするとのことだ。まあ、あれだけの結果を見せたんだ、それなりの結果を得るだろう。
俺はその後に、ケビンと陛下とマリアと話した。
「ケビンも戦えば?」
「いえ、俺はまだまだです。まずは戻って訓練に没頭します」
「そうか。あれ?そういえばケビンも祖父が獣人族の方だっけ?」
「ほう、どの氏族だ?」
「陛下、ガウランと聞いております」
「ほう、名前は?」
「ザイール・ガウランです」
「ザイール大叔父か?」
「祖父をご存知ですか?」
「ああ、我が祖父の弟に当たる方だ。私は小さい頃に会っただけだが、祖父は強さはザイール大叔父が一番だと言っていた。だが、王になりたくないと国を出た。その後、世界を渡り歩き、第一次レオアル戦争後に国に戻って来た時に会ったが、それっきりだ」
「そうですか?祖父は王家の方だったとは」
「ああ、そうか、じゃあ母親はミリエか?」
「はい。獣人族とのハーフになります」
「そうか、ミリエか。あの時のことは覚えている。ハーフだったミリエをガウラン氏族とするのを私の大祖母様や祖母が許さなかった。あの時は今以上にハーフには厳しい時代だ。30年以上も前だからな。それを悔しそうに見る大叔父や祖父を見て、世界はおかしいと思ったよ。それが今に繋がったと言える」
「そうですか。母上は8年前に亡くなりました。祖父は私が生まれる前に亡くなりましたが、母上は祖父だけが世界で味方だった。どんな時も母上の味方だった、とても優しい父だったといつも言ってました。そして祖父を亡くして、辛い時に父上と出会って、それからも幸せだったと言ってました」
「そうか。ミリエが。彼女が幸せならよかった。王族とは何と罪深いのか」
「そんなことはありません。母上は王家に入らない事で幸せだったと思います。父上と出会えましたから」
「そうか。ケビン、マリアと結婚する気か?」
「はい。いずれそうなりたいと思っています」
「そうか。マリアはどうだ?」
「はい」
「そうか、マリア、学院を卒業した後はマリアがしたいようにしなさい。それが私の願いだ。王太子はガンソがなった。後はマリアのしたい事を父親として応援したい」
「父上。ありがとうございます。私は王国にいたいです。ケビンのそばに」
「わかった。マリア、幸せになりなさい」
「はい」
そう喜ぶマリア。満面の笑みを浮かべる。その横にいらっしゃる陛下、そして妃殿下も嬉しそうだ。
「あらあら、許してくれたわね。マリア」
「お母様」
「ああ、もう。子供なんだから。マルクさん、先日はありがとうございます」
「いいえ、したい事をしただけです」
「そうですか。わかりました。ケビンさん、マリアをよろしくお願いします」
「はい。大事にします」
こうして、家族の団欒を見て、ほっこりして、俺は王宮を後にして宿に行った。
俺はもう一度、未開領域に行く。今度は1人だ。この前の街とは違う街から未開領域に行く。そして街に着くのは2日後の予定だ。
2日後
街に着くと、俺は宿に行き、そして冒険者協会支部会館で移動願いを提出して、ここに当分はいる手続きをした。そして、俺は未開領域を見に行く。依頼は受けずに、様子を見る。
多くの冒険者が未開領域との境目で魔獣を倒している。うーん、それほど強い魔獣はいないな。未開領域の奥にはかなり強い魔獣がいると、また魔獣の数が多いと言われ、どの国もそこには踏み込めない。
こういった未開領域は帝国の東や魔王国の西側などにあり、色々と強い魔獣の噂がある。王国にある未開領域は魔獣の森だ。ここ獣人族国家の南の未開領域も強い魔獣がいると言われているが、どうにも見たことがない。
俺は数人の冒険者がいるのを見て、それらが倒すのを遠目に見つつ、街に戻った。先日行った街より強い冒険者がいる。
俺は翌日から数日は未開領域の周りで魔物を狩り、その後に数日間の間、未開領域内で過ごすことにした。先日の地竜を倒した時に魔獣の森と変わらないと思ったからだ。強い魔獣と戦ってみたい。まあ、自惚れて死ぬのはごめんだから、まずは数日余裕のある探索で未開領域に入る。
翌日
俺は会館で未開領域に数日入る予定を伝える。ほとんどないケースだが、一応ルールはあり、数日入る場合は何日から何日まで入るか?何人で入るか?を伝え、探索は必要としない旨も契約書に署名することが必要だ。また、Aランク以上が1人はいることと決められている。
なお、1人で入ることはありえないとされ、普通は認められない。だが今回はシエル会長殿の許可、陛下の許可書があり、これを提出して許可をもらえた。ただ支部長室に呼ばれた。
「支部長のルックと言います」
「ルック支部長、これから数ヶ月よろしくお願いします」
「ええ。で、本題ですかね?1人で未開領域に入られるんですよね?」
「はい。シエル会長殿や陛下にご許可をいただきました。そちらはお読みで?」
「ええ、読みました。ただ、信じられないというのが本音です。私でも数十人で入るならば、行きますが、1人では行きません。なので、大丈夫かと」
「ええ。大丈夫です。実際に王国の未開領域である魔獣の森に5日間いて、グランドキングベアを倒しましたし、火竜も倒しましたよ」
「グランドキングベア・・・そうですか。それなら、ここでは火竜やグランドキングベアと同じクラスの魔獣は見られていませんしね。大丈夫でしょう」
「そうですか。残念です」
「え?」
「いえ、何でもないです」
「わかりました。許可します」
「ありがとうございます」
そして、俺は会館を後にして、ゆっくりと宿で休憩する。




