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マリアの戦い

武闘会3日目


今日は王太子を決める試合がベスト8まで行く。マリアが出てくる。これで勝ち抜けばマリアは女王になる。この国では王は男と決まってない。強さが全てだ。


もともと、多くの民族がいるため、国ができた時にその民族同士が強さでトップを決めたことが始まりらしい。その時の主導者が独立の主導者でガウラン族の族長の者だった。その者は自分が独立を果たすために貢献したのに、この武闘会で勝った者が王となるとしたらしい。


これで勝ち抜いたガウラン族の族長で独立の主導者が初代王になり、その後は王の血筋がこの戦いを行い、王太子となり、王へとなって行ったとのことらしい。


現在の王ガウル陛下も20年前の王太子決定の武闘会を勝ち抜き、王になった。王太子決定の武闘会は王の最後の子が成人した年、騎士団長候補の武闘会は10年程度に一回開くらしい。


一回戦、マリアの相手は第6王子でガイザの実の弟だ。マリアとは異母兄弟となる。ここは多分、兄であるガイザのために嫌がらせをしてくるだろう。わかりきったことだ。こういう権力争いは大抵、そういうことをする者が出てくる。特にガイザはそういう者だろう。


ガイザがニヤニヤしている。まあ、こういう強かさも王には大事だが、これは違う。ここは王になる者自身の強さ、強かさを見せる場だ。


ここで、しょうもないことをすれば、王としての評価を受けない。民もついてこない。こういうことがわからないことがガイザのダメなところだろう。


そして、マリアはリングに上がるが、相手がなかなか来ない。かなり時間をかけてマリアをイライラさせる作戦だ。相手がリングに上がると、すぐに始まりの合図がなり、マリアは相手と対峙する。前のマリアなら、ここで熱くなり突っ込み、負けたかもしれない。強いが脆い。それがマリアと初めて会った時の印象だった。


しかし、今のマリアは違う。学院でもまれ、もともとの強さに心が付いてきた。それゆえ、相手は面を食らうと共に、自分が準備をできていないという馬鹿さ加減を見せる。その隙をマリアが見逃すはずもなく、瞬間で相手の懐に入り、腹に一発蹴りを入れた。


相手は吹っ飛び、ピクピクと痙攣している。怒ってはいたのか。まだまだだね。でも理性を失わなくなっただけでも成長した。


そして、マリアは二回戦、三回戦と勝ち進み、明日へと残った。


翌日


マリアは今日、準々決勝、準決勝と戦う。準々決勝はマリアの有利と戦前の予想だ。


マリアが出てきた。マリアは特に気負うことなく、準々決勝に臨むようだ。相手は第11王子だ。この人もガイザと仲がいいらしく。


ガイザよりも弱いので、ガイアのために何かするだろうと思われる。そうシエル会長殿が教えてくれた。王子のダメさが結構だなと心の中で呟いた。


試合は相手がちょこちょことズルをする。それを審判が見逃すというのが続く。最初は観客も気づかなかったが、何度もマリアがいきなりこけるシーンが頻発して、徐々に観客から第11王子とガイザに対するブーイングやヤジが飛ぶ。


「ガイザいい加減にしろ。腐れ王子」


このヤジにはガイザが睨んだ。どこから聞こえたかわからないのか、観客席全体を睨む。俺もイラッとしたので、ガイザだけに殺気を向けた。


すると、ガイザは急に顔を青くして、震え出した。この程度の殺気でビビる者が次の王を目指すのか?俺は気が済んだので殺気を止める。


「マルク殿、気はわかるがほどほどに頼む」

「申し訳ありません」


「ははは。謝る気があるのかねえ」

「シエル会長殿、申し訳ないと陛下には思っております」

「ははは。陛下にはね」


と、話していたら、マリアが勝った。嫌がらせに動じずに勝ちをしっかりと得たようだ。そしてマリアがリングから降り、ガイザとすれ違う瞬間に足を踏んでいた。


ガイザは一瞬、顔を歪めたが、マリアが完全に無視したため、怒りを表しながらリングに登った。上手いが、感情をコントロールしないとね。まあ、今回は俺も何も言えない。


その後は順当に進む。ガイザは優勝候補と呼ばれるだけはある。そこそこだ。マリアの方が圧倒的だが。


そして準決勝だ。ニヤニヤしたガイザがリングに上がる。そして、マリアに一言小さく耳元で呟いた。何かしたと思うが聞き取れない。武闘オーラを入れておけばよかった。


そして、試合が始まる。マリアは急に動きが悪くなる。ガイザはマリアを殴る。まあ観客も何かガイザがしたというのはわかったが、マリアが何をされたかわからない。


「陛下、マリア様の母上かケビンに何かあったかもしれません。お2人はどこに?」

「うん?マリアの母親も、ケビン君も、ん?いないか?おい、ケビン君とリシリアを探せ」

「はっ」


「俺も探してきます」

そして、ケビンを探しに来賓席を出る。色々のところの気配を探っていく。その中から、ケビンの気配を探す。あ、いた。何人かといるな。


ケビンの元へ行くと、ケビンは女性をかばいながら戦っている。マリアの母親の第17王妃リシリア様だろう。あいつら。しかし、ケビンはリシリア様を庇いながらも相手も攻撃を捌いている。いい動きだ。


俺はケビン達を囲んでいる数名を一瞬で倒す。

「リシリア様ですか?」

「ええ、リシリア・ガウランです」


「私はマルク・ドンナルナと言います。マリア王女殿下の学友です。大丈夫ですか?」

「はい、ケビン殿が助けてくれました」


「そうですか。それはよかった。ケビン、大丈夫か?」

「師匠の扱きに比べれば、どうってことなかったので、傷はありません」

「そうか、10人に囲まれて無傷なら十分だ」


「ありがとうございます。ですが、あのくらいは抜けなくてはいけません、目指す道は遠いです」

「ああ、まだ始まったばかりの道だ。これからさ。それより、上に行こう。マリアが2人のことで戦えない状況に追い込まれている。大丈夫なところを見せないと」

「「はい」」


そして、俺らは来賓席に戻り、ケビンはマリアを呼ぶ。


「マリア」


その声が聞こえたのか、マリアは振り返り笑顔になる。そこにガイザの拳がマリアを直撃する。


しかし、マリアは微動だにせずに、カウンターの蹴りをガイザの鳩尾に入れる。三日月と呼ばれるつま先を腹の急所たる鳩尾に入れる技だ。これは死んだかも。


ガイザは倒れる。そして悶絶していた。ああ、生きていた。よかったと思った瞬間にマリアがさらに追撃を入れる。そして蹴り上げられたガイザは宙を舞い、そして最後はマリアの拳がもう一度鳩尾に入った。マリアが勝った。


今日の試合は終わった。ガイザはあれはダメだな。王妃に害をなしたということが公になれば、獣人族国家を追われる。悪ければ処刑だ。実際に横にいらっしゃる陛下の顔が怒りに満ちていた。


その日の夜、ガイザが姿を消したらしい。ああ、こういうことか。面倒になりそうだな。


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