出発と古代遺跡
2週間後
俺はもう王都でしたいこともないし、王都を出ることを決めた。だが、またアランに泣かれた。まあ、しょうがない。心苦しいけど、俺の道を進まなければいけない。
俺は昨日、移動願いを出して、今朝から王都を出た。そして王都から北、ガリシアン領に居る。ここからさらに北上して、獣人族国家に行く。
マリアにもらった紹介状を使い、北から獣人族国家に入る。そして、獣人族国家の国都レオナルク・ガウランに行く。ガウランは獣人族の国王の族名で、同時に獣人族の独立をガウラン族が主導して、そしてレオナルク皇太子殿下であった王国初代陛下が協力したためにその名となったとのこと。
今日はガリシアン領の領都で休み、明日は国境付近の古代文明の遺跡近くの街で休む。ガリシアン領の領都か、凄いな。大きな図書館がある。それに大きな学院だ。さすが、軍師の領と呼ばれるガリシアン領だ。頭脳を鍛える事が重視されるんだな。
俺は宿に行き、そして図書館に行ってみる。王国民は入れるようだ。ただし、領民以外は入場料を払う。俺は入場料を払い。中に入る。凄い蔵書の数だ。これはどこに何があるのかわかるのだろうか?
「すみません。どんな本があるか知りたいのですが」
「どの様な本をご希望でしょうか?」
「はい。戦術学に関して、できれば上級の物を」
「では、ここから見て二つ右の棚の一番奥側の一番上の棚にあります」
「ありがとうございます」
司書の人は全てを知っているのだろうか。凄いな。
そして、俺は多くの本から戦術と戦略、ユウタ様の戦術を取った。ガリシアン家初代様の戦術か。勇者で、戦術に関する才能とスキルは凄まじいと噂のユウタ様か。
読み進めていくと、ユウタ様の戦術は前世の記憶に近しいが、こっちに合わせた戦術となっていた。これは凄い。そうか。そう使うのか。俺が戦術学の授業で使ったような戦術はなかった。近いのはあったが、こっちの戦力に合わせているから、全く違うものに見える。
はあ、凄いな。勉強になる。これを読んだ人はどれだけいるのだろう。さすがガリシアン領だ。
そして、翌日、俺はさらに北上して、獣人族国家との国境近くの街、そして王国にある一つの古代文明の遺跡近くの街でもある街サナロに着いた。俺はせっかくなので、明日一日をかけ遺跡を見ておきたい。その後はこの街で休み、明後日の朝に出発して獣人族国家に入る。
宿で泊まりの手続きをして、俺は酒場で情報収集をする。酒場で少し飲んで、周りの話を聞いていると、一人の方が来た。
「初めまして、マルク・フィン・ドンナルナ様、私は古代文明を調査しております。アンゼリーナと言います。カリウス君からマルク様がこちらに来ると伺っておりましたので、探しておりました」
「はあ、カリウスさんですか?どちらの?」
「エルナンデス家のです。ご存知でしょう?」
「さて」
「そんなはずはありません。学院でご存知ではないですか?」
「さあ?何かの間違いでは?」
「え、いや、そんなはずはない。カリウスと知り合いであるはず。サリエとも」
「知らないですね。どなたかと間違えられているのでは?」
「いや、カリウスは知り合いだ。そうでしょう?」
「うーん、何か因縁をつける気ならば、警備に出しますよ」
「な、私を誰だと思っている。アンゼリーナ・フィン・ケルアンザだぞ」
「知らない女性としか思ってませんね」
「な、お前、調子にのるな。アルス様を嵌めておいて」
こういう輩が出る可能性がある事は聞いていた。特にカリウス先輩が前に『貴族派の残りは必ずいる。俺の名前を使って来る可能性がある』と言ってた為に、今回は対応した。
そもそも、俺がどこに行くかは、今回は家族と以外にはほぼ知らせてない。それを知っている時点で怪しい。それに俺は少し変装している。最近は面倒が増えたからだ。有名になりすぎた。
そして、怒りに震え、襲って来たので、即座に対応して、警備に差し出した。すると警備は俺の名を聞き、すぐにこのバカを捕まえた。
俺は宿に戻り、休んだ。そして古代文明の遺跡に来た。もちろん、特別な資格なしには入れないので、周りを見て行く。途中に資料館があり、多くの物が展示されている。そうか。ここがこうなっているのか。
「マルク・フィン・ドンナルナ様でしょうか?」
はあ、また面倒かな。
「私はこちらの館長兼この遺跡の調査員の代表をしているラムダ・フィン・ルクレシアスと言います。従兄弟のガルド・フォン・ルクレシアス様からマルク様のことは聞いています。挨拶だけでも思い、お話しかけました。ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえ」
「では」
「あの、ガルド様からは何と?」
「ええ、もしマルク様が来ることがあれば遺跡を見せてやれと。もう一年以上前になるでしょうか?こちらに赴任する前に言われました」
「そうですか。ありがとうございます」
「もし、良ければ、遺跡に入れるようにいたしますが」
「そうですね。よろしくお願いします」
「はい」
そして、ラムダ様より入場許可証をもらう。
「こちらは粗方調べが終わっております。他の王国内の遺跡も同じです。獣人族国家側の遺跡はまだほとんどが調べておらず、そちらに王国の研究員の多くは獣人族国家の研究員と共に調査しております」
「そうですか。わかりました。一通り見ましたら、こちらに戻ってきます」
と挨拶して、中に入る。中は結構広い。ここは古代文明の都市だったと言われている。それ故に多くの魔道具や、研究文書などが出てきた。この遺跡から魔法文字が出てきたのか。俺の研究はここのおかげだ。
色々と歩いて行く。痛い。何かに足をぶつけた。この出っ張りは何だ?押せそうだが、押すと危険そうだな。それに勝手に遺跡をいじるのは良くない。やめておこう。地図だと。ここか。
その出っ張りを放置して、俺は遺跡を見て回る。かなり古いものばかりなので、脆い物が多い。ほとんど見て回ったので、俺は遺跡を後にした。途中で、本のような物を見つけたからは、ラムダ様に渡して、俺は宿に戻った。




