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挨拶回りと研究回

翌日


騎士学院や魔法学院に行った者たちと午後に会う。それまで暇になったので、訓練をした後で、カリム魔道具屋に顔を出す。

「おはよう、カリムさんはいらっしゃりますか?」


「あの〜、どちら様でしょうか?アポイントのない方は会わせるわけにはいきません」

「それは申し訳ありません。カリムさんにマルク・フィン・ドンナルナが来たとお伝えください。また後ほどお会いしに来ます」


そんな話をしたところに奥様がいらっしゃった。

「あ」

「ああ、マルク様、いつお戻りになられたのですか?」

「ああ、奥様、お久しぶりです。5日ほど前です」


「そうですか。こちらはマルク・フィン・ドンナルナ様で、当店の発展はもうマルク様なしにはありえない方です。覚えておいて。カリムは今出かけております。すぐ戻りますので、ゲストルームにてお待ちいただけますでしょうか?」


「ええ、ご丁寧に。ありがとうございます」

「いいえ。マルク様は私共には恩人です。いつでもご訪問いただいて結構です」

「ありがとうございます」


奥様は深々と礼をして、俺を奥へと案内してくれた。


そしてゲストルームで待っていると奥様が再度来た。

「ご盛況のようで」


「はい。マルク様のおかげです。先程は失礼しました」

「いえ、大丈夫です」


「そうですか。カリムはもうすぐ帰ってきます。お待ちください」

「はい」


少しして、カリムさんが戻ってくる。いつもより正装であるから、王宮にでも行っていたのだろう。

「マルク様、ご帰還なされたのですね。ご無事で何よりです」

「カリムさんもお元気そうで、お店も御繁盛され、いいですね」


「全てはマルク様のおかげです。マルク様のご提案の商品は今も売れております」

「そうですか。よかった」

「して、今日は?」


「ああ、帰ってきたから、挨拶周りをしているんだ。それに新たな魔道具を開発したいなと思っているけど、何がいいかなと思って」

「それは嬉しいことです。マルク様が王都にいる事は国の利益につながります。魔道具については多くの方々がマルクの新たな作品を待ち望んでいます」

「そうか。どうかな、ニーズは?」


「ニーズですか。そうですねえ。都市防衛はこのご時世です。必要かと。それと軍の強化、後は逃げる際の国民の不安を取り除けるような物でしょうか?」

「そうか、鍵あたりはいいかもね」

「鍵ですか?」


「個人のマナを読み取る魔道具とか面白いと思うんだけど。それを鍵にすれば」

「おお、大事な物を盗まれないですね」


「ああ登録した者しか空けれないようにしたら面白いよね」

「研究に必要な物は揃えますので、いくらでも言ってください」


「ああ、その時はよろしく」

「はい」


そして、アレスらに会いに行く。

「やあ、みんな」

「久しぶり。マルク」

「ああ、アレス」


「マルク、久しぶりね。もう、ちゃんと辺境伯領にいても手紙ぐらい出しなさいよ。心配したわ」

「ごめんよ。レオナ」


「もう、いいわ。無事に帰ってきたし。でも魔獣の氾濫を聞いた時は心配したんだからね」

「ああ、問題はなかったよ。ガイス師匠やガッソさんら伝説の人らがいたから」

「ちょっと待て、ガイスさんを師匠と言ったか?」


「ああ、そうだよ。ヨークスも師匠を知っている?」

「ああ、ガイスさんとガッソさんえ知らない武術家はいないぞ。伝説だ」

「そうか。師匠は有名だな」


「ガイスさんに師事したということは相当強くなったよな?」

「うん。強くはなったよ。父上やシグルソン教官と模擬戦をしたけど、勝ったし」

「く、ラルク様に、シグルソン教官にも」

「マルク、強くなりすぎだ」


「リオル先輩、今度模擬戦をしましょうか?まだこっちにいますから」

「ああ、勝てないだろうが、やってみたい」

「「「「「「ああ、俺も」」」」」」

俺らの馬鹿騒ぎを横目に女性陣が話し合っていた。


「ああ、始まったわね、戦闘馬鹿の実践戦闘研究会たち」

「そうですね。レオナ」


「はあ、先輩らは何故こうも戦闘を好むのでしょうか?」

「リルニア先輩、しょうがないです。実践戦闘研究会ですからね」


「リア、それもどうかな?」

「はは。そうだな。リンゼル」

「そうね。テオ」

「「「「「はははは」」」」


そして俺らはずっと話し合っていた。


翌日


今日も朝から訓練をして、その後に父上と王宮に行く。王宮で陛下らに挨拶に行くためだ。名目は辺境伯領の魔獣の氾濫の討伐の活躍を表彰という形だ。俺だけなのは申し訳ないが、あくまで名目で、大大的な表彰ではないというのが一応の話だ。まああくまで俺と会う為の名目だから何でもいいけど。


そして、俺と父上は陛下らがお待ちになっている執務室に入る。

「陛下、お待たせし、申し訳ありません」


「うむ。そう固くなるな。ここにはコーネリアスやガルドらしかいない」

「はっ」


「で、ガイス氏に師事したのか?」

「はっ、陛下。5ヶ月ほど師事しました。それは良い経験でした」

「そうか。それで魔獣の氾濫を抜けれたか」


陛下は喜び半分、心配半分といった表情で俺を見ている。


「ふむ。マルク、魔獣の氾濫についてはどうだった?」

「はい。ガルド様。数は1万を越すくらいかと。正確な数はルイン様にお聞きください。出てきた魔獣の内訳は、弱い魔獣が8000から9000ほど、虎の魔獣が30、蛇の魔獣が100、空を飛ぶ飛竜や大鳥が1000くらいでしょうか」


「な、過去最大級だな」

「そうですか。ガッソさんやガイスさんがいなければ厳しかったと思います」

「そうか。確かにそうかもしれん。マルクが辺境伯にいてよかったということか」

「たまたまです」


「そうか、お前はどのくらいを倒した?」

「はあ、数は正確にはわかりません。最初に広範囲魔法で1000、それから武術で1000くらい、その後も魔法で数百くらいは倒しましたので、魔法で2000、武術で1000くらいです」

「な、マルクも大活躍ではないか?」


「はっ。それなりに活躍したと思います」

「変わらないな。それだけ倒せば、誇ってもよいものを」

「ガイス師匠らがいっらしゃったおかげです」

「そうか」


「しかし、魔法で初めに1000とはどうやったのだ?」

「はい。トルネードです」

「あの禁術を使ったのか?」


「はい、詠唱は言ってないので、再現は難しいと思います」

「そうか。それならいい。そうか。敵を大量に倒すにはあれがいいか」


「やっぱり、あの禁術はすごいね。魔獣だから隊列を組まないけど、人族なら数千は死ぬかもね」

「そうかもな。コーネリアス、やはりあの術は禁術にするしかないな」


「ええ。ただ、使える者はそれほど多くはないでしょう。いくらマルク殿がマナ消費を抑えるように作ったとはいえ、あれほども魔法を簡単に撃てる者は数が多いとは思えませんね」

「そうか。とにかく他国にはバレぬようにしよう」


「そういうことなら、今、鍵をかける魔道具を考えております」

「鍵?」


「はい。個人のマナを認証する事で鍵とする物が作れないかと」

「な、それは早く作れ」


ガルド様が驚き、陛下が唸っている。コーネリアス様は嬉しそうだ。


「はぁ。ただ、まだ思考の段階でどれくらいで作れるかは未定です。そもそも作れるかも」

「そうか。作れたら、前代未聞だな」


「ええ、これはすごいですね。戦略的にも、防衛的にも、王宮の執務等にも、情報戦でも。使い所は多いですよ。マルク殿は本当に面白いことを考える」

「うむ。マルクが二人いればな」


「最近はルーナリア殿もすごいですがね」

「ああ、トルネストの。あの子もすごいな」


「魔道具界の女神などと言われておりますね」

そうか、ルーナは活躍しているんだ。


「そういえば、火龍も倒したと聞いたぞ」

「はい。陛下。そちらもガイス師匠と一緒に倒しました」


「火龍を倒すとはすごいな。ガルド、初代様とカズキ様方以外で竜を倒した者はいたか?」

「ガイス氏ら以外は聞いたことがないですね。多分、いないでしょう」

「そうか、それもすごいな」


「はい。マルクは今や王国一の強さかもしれません」

「それは、ガイス師匠や父上がいます」

「いや、先日、スキルなしでマルクに負けた」

「何?ラルクがか?」


「ああ、ゼルもな。スキルありの場合はもう勝てる見込みはない。既にこの国最強にいるだろう」

「ああ、ガイス氏らは厳密に言うと国民というのは違うからな」

「そうなのですか?」


「ああ、彼の方らはドワーフ国の国民と商業都市国家の国民になる。故に王国最強はマルクだな」

「あくまで、個の武力です。集団ではどうにもなりません」

「それもどうかな。マルクは既に数千人くらいは覆す力があるだろう」

「父上」


「まあ、そうでしょうね。トルネード一つで勝つでしょうね」

「そう思うか、コーネリアス」


「ガルド様、そう思います。マルク殿一人で戦術は覆せるのは軍師としては思うところもありますが、王国としては秘密兵器として、有難いですね」

「ふむ、そうか」

「ええ、陛下」


「マルクよ。一つ聞きたい」

「はっ、陛下」


「うむ。で、騎士になる気はあるか?」

「はい。ただ、今はもう少し冒険者として多くの事を経験したいと思っております」


「ふむ。そうか。それも良かろう。お主が歩いた道がスキルの壁を壊し、多くの者の道しるべとなろう」

「はっ、有難き御言葉」

「うむ。励め」


こうして、陛下との非公式な謁見は終わった。


俺は王宮魔法研究所に向かった。王宮は回復士研究所と魔術師研究所を一つにして王宮魔法研究所とした。研究所の所長にメル姉とエルカ姉様の二人を抜擢した。所長が二人いるのは回復士と魔術師の力関係を踏まえてだ。いずれは一本化する予定だとか。そもそも宮廷魔術師も宮廷回復士も一本化するらしい。魔法理論のおかげで両方できる者が多くいるためだとか。


「メル所長、エルカ所長、本日は研究所を使用させていただき、ありがとうございます」

「いいよ。マル君、固いよ」

「ん、やり直し」


「はぁあ。メル姉、エルカ姉様、本日はありがとうございます」

「うん」

「ん」


「皆さんの前ですが、メンツは気にしないのですか?」

「ここは、そんなの気にする暇があったら研究してっていう所だよ」

「ん。ここはそういう所」


「そうですか。皆さま、今日はお邪魔します」

「「「「「いいえ」」」」」」


研究員の皆さんが何だかそわそわしている

「みんな、マル君を尊敬してるからね。ここが、こんなに予算が付いているのは魔法理論ができたからだよ。だからマル君が来るのは皆嬉しいし、どう研究しているか見たいんだ」

「そうですか。まあ、見られても関係ないので、皆さん、どうぞ見てください」

「「「「「はい」」」」」」


俺は研究していく。ここに来たのは位階を調べる道具を調べに来た。ここにあるのは古代文明の遺跡で見つかったものをシズル様(ルクレシアスの勇者で、俺の先祖カズキ様の奥方でもある方。


なお、二人の子のうち、長男がドンナルナ家、次男がルクレシアス家となった)が複製したらしい。シズル様のスキルである解析以外ではわからないものが多かったとか。他の物は天神が作ったとされているが、多分、古代文明の物だろうというのが王国内の考えだ。


位階を調べる道具を調べていく。俺の予想では位階は個人の特有のマナみたいなものを調べているのではと思う。それの何かしらの違いから位階を調べているのではと思う。


そのため多くの人に位階を調べてもらう。結果は聞かない。個人情報保護だよ。その過程が重要なんだ。それによって、何が動くかを見たい。マナが動くと思っているので、その動きを見たい。俺自身は『飲み込む』の関係で個人のマナを識別できるがそのメカニズムはわからないので復元できない。


数人が使う様子を見て来たが、マナが動いているのは正しい。ただ、動き方の速さが少々違うようだ。それで調べているのかな?確かにマナの速さを運動エネルギーで調整するように詠唱ではしていた。それをこれでも使っているのかな?高度すぎて真似出来そうにないな。


どうしよう。反対に個人のマナ以外を外してみるか?結界で邪魔すればいいかな?そんな事を考えていると

「マルク?」

「あ、サリー先輩。ここに就職なされたんですか?」


「ええ。気づいてないかったのね。さっきも目があったけど」

「ああ、メル姉とエルカ姉様への挨拶と研究のことで頭の中が一杯でした」

「そう。まあ、メル様、エルカ様ならしょうがないかしら」

「申し訳ありません」


「ううん。みんな、マルクが何を考えて、位階を調べさせられたかを知りたいのよ」

「ああ、そうですか。簡単なことですが、位階を調べる際にこれが何を調べているかを知りたいと思ったのです。マナだと見当はつけていましたが、それをどう調べているか?どう引き出しているかを知りたいのです」

「はああ、すごい」


どっかから研究員の驚愕の声が聞こえた。


「ほら、皆がマルクって何を考えているのかな?って気になるの。それで何を作りたいの?」

「ああ、まだ何もできてないですが、個人のマナを認証して鍵になる魔道具を作れれば色々と便利かと思って」


「えっ。そんなの便利とかじゃなく、大発明よ」

「そうですよね。コーネリアス様やガルド様、陛下にも作れと言われました」


「陛下に。・・・そうね。それは王宮の者らならば是非欲しいわ。ここでも欲しいって言う人は多いわ」

「そうですよね。ここでも他国には知られたくない研究をしてらっしゃるでしょうから」

「ええ。全くその通りよ。ほら皆の目がすごいわ。でも作れるのかな?」


「ええ、それを調べた結果、無理だと思いました。さすがシズル様以外は解析できなかった道具です。何をしているかはわかっても、どういう仕組みかは全くわからないです」

「そう。ここの研究所で調べている者がいるけど、似たような事を言っていたわ」

「それは誰ですか?」


「呼ぶ?」

「はい。お願いします」

そして、その方が呼ばれた。カイン・サッケニアさんだ。


「マルク様、初めまして。お呼びとのこと。私はカインとお呼びください」

「はい。どうぞ、私もマルクで結構です」


「マルク様、マルク様は貴族様と等しい方です。私はここに勤め、そこそこの結果を出していますおかげで、準貴族扱いとなります。ですので、準貴族が貴族様を呼びつけなどできません」

「そうですか。ではカインさん、研究について情報交換させてください」


「はい。こちらも有益な情報をいただけるかと」

「はい。で、どのような研究でしょうか?」


「はい。簡単に言いますと複製を目指し、仕組みを探っています。ですが、何をしているかがわかりづらいです」

「そうですか。マナの動きは確認しましたか?」


「マナの動き?そうか。マナを見て調べていると?」

「先程から調べていると、マナが動くのは見えました」


「そうですか。ですと、ここがマナを感知してそれぞれの位階を調べているのでしょう?」

「ああ、この部分が?」


「ええ、そうです。仕組みとして、ここでチェックしているのはわかったのですが、何を調べているかをわからず、どう動くかがわからないでいました。マルク様はやはり一流の研究者だ。マルク様の研究はどれも目の付けどころが素晴らしい。ああ、神々よ。感謝します」

「天神教ですか?」


「ああ、いえ。自然教です」

「じゃあ、神々は自然の全て宿られていらっしゃるという」


「はい。ですから。今日という日に宿られる神に感謝を申し上げました」

「そうですか。自然教は素晴らしい考えです」


「ありがとうございます。マルク様にも幸運を」

「ありがとうございます。それで、話を戻しますが、この仕組みをどう調べていますか?」


「はい。多くの者に使ってもらいます。ただ、今まで何を調べているかがわからないので、壁に当たっていました。今日より調べ直します」

「そうですか。では結果を教えてもらっても?」

「ええ、もちろんです」


こうして、カインさんとの話を終え、帰った。


その後は家で訓練して、ゆっくりした。


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