師匠と弟子の武器の旅②
翌々日から俺と師匠はルイン様に挨拶したあと、国境沿いの街を目指して進む。そしてその町で休み、次の日に今度はドワーフ領の一番最初の町に向かう。
ここからは山道になり、3日かけ、最初の町に着く。そこで休んで、次の日に目的地の町に向かう。町まで3日かかって、やって来た。オルガを出て1週間がかかった。普通なら3週間以上かかるらしい。
町は山中に作られた自然の要塞といったところだ。ここに師匠の弟さんがいるらしい。どうやら師匠も弟さんはガレスと言い、現代最高の名匠らしい。特に槍を作らせたらNO.1とのことだ。
そして、町に入ってから、どんどんと師匠は進んでいき、一軒の鍛治士の店に辿り着いた。ここがガレスさんの店か。
「おい、入るぞ」
「あ?ああ、兄貴か」
「おう、ガレス、客だ」
「あ?兄貴だろ」
「違う。こいつが客だ」
「ガキに売る武器はねえ。帰んな」
「おい、俺の弟子だぞ。しかも弟子に中で一番強え」
「あ?兄貴の弟子?こんなガキが?しかも一番強え?ゼルの坊やの方が強いだろ?」
「おめえの目は節穴か?それに元はゼルの弟子で、リネアの子だ。いいのか?」
「な、な、リネアさんのか?それはマズイな。なあ、この事はリネアさんには言わねえでくれ」
なんだか、母上の印象が変わる。よっぽど、この兄弟はいじめられたのだろう。骨身にまで恐怖が刷り込まれているようだ。
「大丈夫です」
「そうか。兄貴の事は言っていいからな。むしろ言ってくれ。それで怒りは全て兄貴に行く」
「おい、ガレス、てめぇ」
二人でじゃれている。仲がいい兄弟だ。確かに師匠と比べて弟さんは小さい。一般的なドワーフはでかい。師匠は規格外にでかいけど。にしても、一般のドワーフよりもはるかに小さいガレスさん。だが筋肉は凄そうだ。前世で想像されていたドワーフだ。
「で、武器か?兄貴の弟子って事は槍か。よっぽど強いのか?ええっと?」
「マルクです」
「ああ。マルクは強いのか?」
「ああ、俺に20回に1回は勝てるぐらいだ」
「おい、その年で?ゼルより早いんじゃねえか?」
「ああ、しかも師匠と違ってスキルなしだとよ」
「そうか。まあ、俺らドワーフはスキルなんかなくても最強の武器使いは一杯いるからな」
「ああ、まあ、剣はガッソのアホが世界一だがな」
「ああ、あれはアホじゃなきゃ、最強に近い部類だからな」
「ああ、全くだ」
似た兄弟だ。全く。
「ただな、兄貴、今は無理だ」
「あ?なんでだ?」
「ああ、火龍が出ちまった。鉱石場に」
「マジか。じゃあ、倒してくるか」
「あ?ボケたのか?火龍だぞ。若い火龍でも俺と兄貴で勝てるかだぞ?」
「いや、俺とマルクならいける。ガレス、言っとくが、こいつが本気出した場合に限れば俺より強い。ただ、その本気はそんなに回数は使えないがな」
「はっ?20回に1回じゃねえのか?」
「それはスキルなしだ」
「じゃあ、スキルありなら?」
「ああ、本気のスキルありなら反対になる。もうそのレベルだ。なんせ、黄金闘気を使う」
「は?黄金闘気ってカズキしか使えないやつだろ?」
「マルクはカズキの子孫だ。ドンナルナ家だよ」
「な、な、リネアさん、カズキの子孫と結婚したのか?」
「ああ」
「おいおい。また婆さんと結婚したな。そいつ」
「おめえ、死んだな」
「あ、マルク様、今のは言わないですよね?」
「口が滑らなければ」
「わかりました。防具はタダで作ります。武器も火龍を倒されたら、その火龍の素材でタダて作らせていただきます。いかがでしょうか?」
「のりました」
「よっしゃー」
「狡いな」
「はは。兄貴、持つべきは腕だ」
また兄弟でじゃれ合う。
そう、師匠に初めて勝った時にわかったが、黄金闘気をいつもは30%も使ってない。それをこの前、50%まで使ったら、俺はぶっ倒れそうになり死にそうになったが、師匠も殺しそうになった。たった一度だけ師匠に勝った。でも危うく殺すところだった。今の技術では人相手では30%以上は使えない。抑えないと。
そして、俺らは明日、火龍を倒しに行く。




