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師匠と弟子の武器の旅

そしてサンゼルがこの街を出て行ってから1ヶ月後


俺は今日も訓練して、会館でガイス師匠に扱かれ、泥に顔をつけ、何度も何度も向かっていった。最近のセレステの名物に俺の泥まみれの顔が追加されて、俺も呼び名は泥まみれの熊殺しと呼ばれる。


そんな、扱きが終わると。

「おい、マルク、移動届けを書け。おめえの武器を買いに俺の故郷に行く。俺は武器にこだわるバカは嫌いだが、おめえの場合はもう普通の武器じゃ、もたねえ。毎日壊すんじゃもったいないし、ここぞという時に本気になれねぇんじゃ不安だ。んで、俺の弟のところで武器と防具を買う。まあ、良し悪しは俺が太鼓判を押す。大丈夫だ」


「はあ?」

「なんだ。師匠のすることに不満か?」


「いえ、師匠の弟さんもでかいのかと思うと、細かいことができるのかなと?」

「ああ、それは大丈夫だ。あいつは俺よりかなり小さい。だが、槌を使わせたら、世界でトップの力持ちだ。あの体のどこにそんな力があるのかと思うがな」


「そうですか?」

「ああ、だから大丈夫だ」

と言われて、俺は受付に移動願いを出す。


「移動ですか?ガイスさんとマルクさんが?それは」

「大丈夫だ。1ヶ月ほどで戻ってくる。たかが武器と防具を作るだけだ。それにマルクはルイン様の甥っ子?か」


「いえ、従兄弟になります」

「だそうだ。それを冒険者協会の支部ごときが文句をつけると、怖えぞ」

「は、は、はい。わかりました」


「ああ、それとな、ルイン様には世話になってるから、途中で会いに行く。伝言も頼む」

「はい」

そして、俺と師匠は明日の準備の為、今日は宿に戻り、ご飯を食べて寝た。


翌日


俺は訓練をして、師匠と会館で移動届けをもらい、街を出る。普通は馬車だが、師匠に

「走ってくぞ。オルガとの間にある、温泉の宿場町までなら、俺とお前なら走れば1日で着く。これも訓練だ。行くぞ」


と言われた。この爺さんはどれだけ元気なんだ。この人はいつかは死ぬのだろうか?本当にそんなことがあり得るのかと疑いたくなる。人とは思えない。


そう思っていると、さらにスピードが上がる。師匠は心を読むスキルでも持っているのかと思うが、ドワーフなので、そんなスキルはない。


そして宿場町に着いた。魔獣は寄ってこなかった。いや近づけないスピードで俺らが走っていた。宿場町に着くと師匠は宿に行き、すぐに温泉に入りにいった。多分、温泉に入りながら酒を飲むんだろう。師匠も例にもれず、ドワーフの特徴である酒好きだ。


そして、俺は久しぶりに来た温泉の宿場町、今は宿場街マルクというらしい。俺の作った魔法でできた町だからとか。そのマルクでのんびりと町を観光した。こんな日々はこっちに来てから初めてだ。特に師匠と出会ってから、担がれて宿に入るか、訓練場で息を吹き返して重い足取りで帰るかしかしてない。


「こちらは実践戦闘研究会御用達の饅頭だ。どうだい、兄さん?うまいぜ」

「ああ、もらう」

「まいど」


こんなのを御用達にした覚えはないので、ケビン達が美味しいと言ったのだろうか?俺が卒業した翌年もここに合宿に来たようだ。俺はその頃は冒険者として王都で毎日依頼をしていたため、行けてない。


今年も無理そうだ。そして俺も温泉に入りに行く。師匠はまだ、温泉で酒をやっているみたいだ。茹で上がるんじゃないか?


と、俺はその後、ゆっくりと温泉に入って、のんびりして寝た。


翌日


「おい、今日中に領都オルガに着くぞ、俺は明日、墓参りに行きてえんだ」

「そうか。わかった」

「よし、行くぞ」


そして出発する。今日も馬車は使わない。ここから歩いて二日の距離を半日で行く。街道を行くと皆の邪魔になるので、道なき道を行く。


そして昼過ぎに街に着き、門では貴族の方に並ぶ。貴族らには変な顔で睨まれたが、俺は貴族だし、それに親戚、そしてガイス師匠は顔パスらしい。門でルイン様に夕方頃に会いに行く旨を伝え、宿に入り、風呂を浴びて着替えて、師匠と一緒に辺境伯邸に行く。


辺境伯邸に着くと、使用人が俺らを呼びにきた。

「マルク様、ガイス様、御当主ルイン様がお待ちです」

「ああ」

と、師匠が答え、ルイン様の待つ客間に行く。


「やあ、マルク、久しぶり」

「久しぶりです。ルイン叔父上」


「本当に久しぶりだよ。こっちに来たんだからもっと早く挨拶に来てよ。待ちわびたよ」

「すみません。師匠の扱きに会っていたので」


「そうか。ガイス、リネア姉様には言ったのかな?マルクを弟子にしてるって」

「いや」


「ああ、恐いぞ。殺しそうなことをしていると姉様が知ったら」

「バカ。言うなよ」


「あのルイン様、王都には行かれますか?」

「ああ、来月にね」


「それなら、もう少しこっちにいると父上らにお伝え願えますか?」

「おめえ、マルク、今の話を聞いてたか?」


「はい。ですが、半年と言ってたので、それより遅くなると心配をかけるので、伝言を頼みたいのです」

「あははは。それはしょうがないね。ちゃんと伝えておくよ。ガイスに扱かれてもう少し遅くなるって」


師匠の顔が歪む。

「おい。ああ、俺、もう少ししたら死ぬな」

「ははは。少なくとも恐い目にあうね。昔からガイスが唯一恐がってるのがリネア姉様だもんね。初代様の時からなんでしょ」

「ああ」


「あの〜。ルイン様も初代ドンナルナ家当主のことを知っているんですか?」

「ああ、リネア姉様から聞いたかな?うちは当主としてその話を代々聞くんだ」

「そうなのですか」


「ああ、だからリネア姉様の事も知っているよ」

「母上とガイス師匠は知り合いなのですか?」

「そうだよ。ガイス、ちゃんと師匠やってるの?なんで勇者様と共にガイスも独立戦争で活躍したって言ってないの?」


「ああ、忘れてたわ。そうか、ゴンダルに言った時、マルクは気を失っていたか?」

「ああ、初日ですか?」

「そうだ」


「ガイスはもうダメだなあ。そう、初代様ら勇者様とガイスとリネア様と商業都市国家にいるガッソともう一人が独立戦争で活躍してくれたから今の辺境伯領があるし、王国があるんだ」


「まあな。そうそう、マルクも多分、そのレベルにいけるぜ。俺に10戦に一戦はいい攻撃をするようになった。20回に一回ぐらいは負けるかもな」

「え?マルク、人をやめつつあるね」


「え?」

「だって、ガイスとガッソは人をやめてるからね。まあドワーフとエルフだけど」

「はっはは。ガッソはエルフをやめてるな」


「ああ、そのガイスに一回でも勝てるって事は人の領域を超えつつあるよ」

「そんなにですか。まあ、死にそうになりましたから」

「あ、おめえ」


「もう少し、死にそうな話を聞きたいな」

俺は死にそうになった経験を話した。


「ああ、リネア姉様は怒るよ。私は知らない」

「ちょっと、ルイン様よ。助けてくれよ。俺とルイン様の中だろ。何度も魔獣の氾濫から領を救ったじゃねえか」


「これは無理だよ。死にたくないもん」

「ああ、やべえ。マジでやべえ」


そんなに母上は恐いのだろうか。優しくていい母親だが。


「おめえの母親は優しいのは家族だけだ。俺は恐い以外の言葉は知らねえ」

「ははは。特別に、ガッソとガイスには厳しいからね」


「ああ、俺の苦手なケオル草を何度飲まされて死にそうになったのか、何度実験に付き合わされて死にそうになったのか。シズルとリネアは最悪だったんだよ。もう会いたくない」

「ああ、ガイス、昔の話し方に戻ってるよ」


「ああ、そうだ。とにかく、おめえの母親は優しくねえ」

そんな話を和やかにして、ルイン様のの邸宅で夕食をいただいてから帰った。そして宿に戻り、すぐに寝た


翌日は一日中オフだった。師匠が墓参りに行った。なんでも、ドンナルナ家の初代様とその奥方と、もう一人の墓だそうだ。


翌々日から俺と師匠はルイン様に挨拶したあと、国境沿いの街を目指して進む。そしてその町で休み、次の日に今度はドワーフ領の一番最初の町に向かう。ここからは山道になり、3日かけ、最初の町に着く。そこで休んで、次の日に目的地の町に向かう。町まで3日かかって、やって来た。オルガを出て1週間がかかった。普通なら3週間以上かかるらしい。


町は山中に作られた自然の要塞といったところだ。ここに師匠の弟さんがいるらしい。どうやら師匠も弟さんはガレスと言い、現代最高の名匠らしい。特に槍を作らせたらNO.1とのことだ。


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