地獄の鍛錬
ガイスに負けた日の夜
あれ?俺は確か、ガイスと?
「おい、マルク、目が覚めたか?」
「あれ?サンゼル?」
「ああ、ガイスさんによ。お前のことを頼まれたんだ。しょうがないからマルクの泊まっている宿に連れてきたよ」
「そうか。俺は?」
「負けたんじゃねえか?ガイスさんは無傷だったぞ。あと、ゴンダルの野郎は詐欺野郎だった。あいつ、俺らみたいなルーキーを仲間に入れて鍛えるフリして武器を知り合いの店で買わせて、それが全く持ってガラクタっていう寸法らしい。危なかったな。俺もガイスさんに弟子入りしたよ。ここでやりたかったら、死ぬ気でやんねえといけねえからな」
「そうか」
「ああ、とりあえず飯を食いに行こう」
「ああ」
あの突きを避けるのか。ゼルの師匠はすごいな。そしてサンゼルと飯を食う。俺はその後に部屋に帰り、寝た。サンゼルには帰り側に、『明日は朝早くに会館に来いというのと、ゼルは悪くねえな』というガイス師匠の伝言を言われた。
翌日
俺は朝早くから会館に行く。今日からガイス師匠の扱きが始まる。
「よぉ、サンゼル」
「ああ、マルク」
「師匠は?」
「まだだ。あ、来た」
ガイス師匠が後ろから俺を小突いた。
「よぉ、マルク、サンゼル。行くぞ」
「「ああ」」
そして依頼も受けずに俺とサンゼルと師匠は森に行く。そして師匠はいきなり虎の魔獣を3匹見つけ、俺らの前に連れて来て、
「おい、ガキンチョ共、あいつらを倒して来い。サンゼル、お前は1匹、マルクが2匹だ。行け」
と言いだす。虎の魔獣は師匠に怒らされたのか、気が立っている。
俺らは俺が2匹と、サンゼルが1匹と対峙する。2匹は連携しながら俺を狙う。俺はヤバイと思い、いきなりスキルをフルで倒しに行く。だが連携にやられ、なかなか近づけない。1匹でも一昨日にやられそうになったのに今日は2匹だ。
これはかなりヤバイ。俺の危機察知がかなりなっている。
「おい、ガキ共、何やってんだ。行けと言っただろう。死なねえよ。最悪俺が殺すから行け」
と師匠に嗾けられ、行く。俺はアクセラレーションと疾駆で避けながら攻撃する。一昨日のは弱い方の虎だった。こいつらは右も左も関係なく、速い。
しかも番いだろう。連携する。これはヤバイ。
何度か奴らの爪が頭を掠める。当たれば致命傷だ。今度は殺す気でやる。攻撃をする前に一匹から爪の切り裂きが来る。それを避けて、一撃を入れようとした瞬間に今度はもう一匹から爪が来る。
くそ。両方とも避けながら攻撃するのか?辛いな。死もあり得る。
俺は硬化で体を固め、一気に間合いを詰めて、1匹の眉間に突きを疾駆とアクセラレーションで入れる。入ったと思ったところで、もう1匹から一撃を食らった。
痛え。くそ、胸にいい一撃を食らった。硬化をかけてなければ死んでた。だが1匹は致命傷を与えた。だが死んでない。気を抜けば致命傷を与えた方からも一撃を食らう。これは死ぬか生きるかの生存競争だ。
俺は、今度は致命傷を与えた方を狙いながら、もう1匹の動きも気配を探り、間合いを詰めて行く。そして一気に突きを疾駆と硬化をかけながら、さっきのに一撃眉間と見せかけて、首に入れる。
入った。やっと完全に死んだ。だが槍がなかなか抜けない。
するともう1匹から一撃が来る。俺は一回槍を棄て、避ける。
そしてもう一度、さっきの虎魔獣に近づき、槍を抜き、今度はもう1匹と対峙する。
奴は一気に来た。俺はそれを避けて一気に突く。疾駆もアクセラレーションもあの技もかけて。虎の眉間を貫いた。そして虎は死んだ。
だが俺は一撃を入れる瞬間に爪の一撃を食らっていた。致命傷は避けたが結構なダメージだ。回復魔法をかける。なんとか治療はできた。
「おい、マルク、おめえは回復魔法まで出来んのか?便利だな。おいサンゼルにもかけてやれ。こいつは虎1匹と相打ちだ。なんとか致命傷は避けたみたいだがな」
俺は自分の治療を終え、すぐにサンゼルに魔法をかける。かなり重症だ。まあ回復が間に合った。サンゼルは気を失っている。
「おい、マルク、おめえは続けるぞ。まだいけるだろ」
「ああ」
俺は強がった。本当は結構厳しい。だが師匠は次に蛇を2匹連れて来た。
俺は対峙する。今度は蛇2匹だ。こいつらは噛みつきと尻尾の攻撃だ。それと毒を吐いて来る。一番ヤバイのは毒だ。これを避けながら、噛みつかれないように近づき、尻尾を避けて首を落とす。これを狙う。防御力は弱いが、攻撃はえぐい。だから苦労する。
俺は2匹からの毒を一つ一つ避けて行く。そして1匹を俺の間合いに入れる。
しかし、今度はもう1匹が嚙みつこうとする。ヤバイ。はあ、何とか右に避けた。まだ1匹の蛇は俺の間合いにいる。一気に結界でガードを固めて疾駆でスピードを上げて近づく。そして一気に切り上げで首を切り落とす。何とか1匹は倒せた。
もう1匹が今度は毒で攻撃して来た。相方が死んだことでお構い無しと毒を散々と吐いてくる。俺はそれを避けながら一気につ近づき、切り上げに入ろうかとした時に頭が来のでしゃがんで避け、次に尻尾が来たから、俺は何とかそれを飛んで避け、一気にその飛んだ勢いで切り下げをして、首を切り落としで落とした。
もう無理だ。死ぬ。そして気を失った。
それからは聞いた話だが、街には師匠に担がれて戻って来て、そして宿に連れて帰られ、死んだように寝ていた。先にサンゼルが目を覚ましたらしく、起きたら、サンゼルが飯を食いに行こうと誘って来た。
それから1ヶ月、俺らは毎日、師匠の死ぬような扱きの訓練を続け、毎日街まで担がれて帰って来るという日々を過ごした。この街セレステの名物となった。
街や支部の会館で俺らの通り名が自殺志願者たちとなった。父上と同じ通り名になった。嬉しくない。
そんな毎日を過ごしているせいで、森から強力な魔獣が減ったという噂がある。実際に依頼で虎や蛇の強力な魔獣の討伐依頼が減った。
これらの依頼はセレステでもかなりキツイ部類に入るので、街の住民も冒険者も喜んでいる。俺は最初、虎の魔獣はここセレステの支部では喜び、皆が取りあって依頼を受けていると思ったが、ほとんどは師匠がやっていたようだ。
それを俺とサンゼルが今はしている状態だ。もともと、セレステは冒険者の出す魔獣の素材で儲けている街だが、辺境伯であるルイン様の家臣が治める街でもある。そのために魔獣が減ることは代官も大歓迎であり、住民もそうだ。俺らが出す強い魔獣の素材と安全性が増したおかげでセレステの街は好景気である。
一度、代官がお礼を言いにきたが、師匠が適当に相手をした。俺とサンゼルは正直どうでもよかった。そんなことより、毎日生き残る事に必死だ。
実際に俺もサンゼルも死にかけたことは何度もあった。俺は虎の魔獣4匹と戦い、虎のかなりヤバイ一撃を胸にくらい、息ができなくなりかけた。
しかし、何とか食らう前に硬化をかけ、さらに槍で少しだけ軌道を変えたために生き残った。対してサンゼルは蛇の魔獣4匹と対峙した時に、蛇の毒を受け、朦朧とした中で、何とか蛇を倒して生を得た。
その後は俺もサンゼルも何とか師匠が回復薬や解毒薬をかけて一命を取り留め、俺の回復魔法で死を回避した。もちろん、その後はふらふらになり、担がれて街に戻った。何とか気を失わなかっただけ、すごい方だ。
昨日はアップせずにすみません。ちょっと忙しくて




