出発と別れ
リネアの真相告白から1週間後
俺は訓練して会館に行く。そして今日は受付に移動願いを受け取りに行く。冒険者は支部を移動する際に移動前の支部と移動した先の支部に移動願いを出す。これを出すことで、冒険者の場所を確認すると共に、何かの際に連絡をしやすくする。
そのため、俺も明日から出て行くために移動願いを受け取りに行く。三日前に出してあり、その時に遠征に関する壮行会をしてもらった。ヤイの何故かの涙があったが、皆、笑顔で壮行会をしてくれた。あと、シンディーの何故かの説教もあった。貴方は女心をわからないなど。
受付に着く。俺はレネさんに
「レネさん、移動願いを受け取りに来ました。もらえますか」
「はい、こちらになります。移動されること、残念です」
「まあ、半年もしたら戻ってきます。その時にまたよろしくお願いします」
「はい」
そして、俺は会館を出ようとした。
「よお、マルク、今日でおしまいか?」
「ああ、カット」
「よかった。今日だけはこっちに来させてもらったんだ。マルクの出発前に謝りたいし、感謝を伝えたい。リッキーから聞いた。俺のために色々とリッキーと動いてくれたんだろ?」
「まあね。カットは友達だからね」
「ああ、ありがとう。こんな俺を友達なんて。この恩は必ず返す。まずは自分の馬鹿さを償う。その後は頑張るから」
「ああ、戻ってきた時にカットは凄いって噂を聞けることを期待してるよ」
「ああ」
「じゃあね」
そして、俺は家に戻る。今度は父上らが休みのため、俺の出発を祝福してくれる。
「ただいま戻りました」
「マルク、みんな来てるから早く」
「はい、母上」
そして俺は中庭に行く。
父上、母上、メル姉、エルカ姉様、兄上、ユリア義姉上、アラン、ゼル、アイナ、リリア、そして友人たちのアレスら、他にもルクレシアス家の方々。
そして何故か来たコーネリアス様、ハンニバル様、そして陛下と殿下だ。陛下と殿下は変装までして来ている。
「マルク、挨拶しろ」
「はい。皆様、本日はお越しいただき、ありがとうございます。明日から王都を出て、多くの経験をして来ます。王都では感じれない事、見れない物を一つ一つ見て、経験して、人として、また武術家として大きく成長していくつもりです。半年ほど王都を留守にしますが、戻って来た時には皆様を驚かせられるよう、頑張ります。皆様もどうかご健康でいらっしゃる事を願っております。しばしの別れとなりますが、今日は存分に語り合えれば嬉しいです」
「うむ。いい挨拶じゃ」
と陛下がおっしゃっていただけた。嬉しい限りだ。たった半年の別れでこれだけの会をしてくれる家族や友人には感謝したい。俺もこれで家を旅立つということだろう。本当の意味で成人したと言えるか。
そして、多くの人から頑張れと言われる。
「マルク、頑張るんだぞ。お前の未来は王国の未来だ」
と陛下から。
そして殿下から
「マルク君、君が騎士になれるようにしておくから頑張ってね」
そして、今度はガルド様、
「マルクよ。頑張るのだ。お前が戻る時にはきっと皆が驚くような者になっておるだろう。それを期待しておる」
そして、コーネリアス様とハンニバル様も
「いやあ、マルク殿が王都を出ていくのはいい事であり、悪い事だね。もったいない。マルク殿が王宮で働けば、どれだけ王国の利益になるか。ああ騎士は嘆かわしい。まあ、私とラルク様で変えていくから期待してくださいね。そして何より成長して、英雄になってくださいね」
「兄上、話は長いし、プレッシャーをかけすぎです。マルク殿、どうか頑張ってください」
多くの人が励ましをくれる。本当にいい人たちに恵まれた。
そして、友人たちから
「やあ、マルク、会えなくなるね。辺境伯領の帰りにスピキアーズ領にも寄ってね。父上らも会いたがっているから」
「マルク、悲しくなるわ。もう、いいじゃない行かなくても。でも応援するわ。マルクが決めた事だし、マルクの夢だもんね。強くなって来なさいね」
「マルク、寂しくなります。頑張ってください。私も負けないように魔道具の研究や魔法の研究を頑張ります。マルクも頑張ってください」
「マルク、俺も頑張るからな。レオサード領にも来い。俺も夏には帰る。その時に会おう」
「マルク、帰ってきたら、模擬戦をしよう。お前が強くなった分、俺の剣はもっと重くなる。そして強くなるからな」
「マルク、俺は強くなるぜ。俺の未来予測は、俺の方が強くなるって見えたぜ。マルク頑張れよ」
「マルク、お前は俺より早く家を出るのか?姉貴も来たがってたが、今日は採用試験でな。王立学院の教員になる気だ。後で間に合えば来る。姉貴の分も応援する。俺も頑張るからな。お前も頑張れ」
「よお、マルク、姉貴共々来たぜ。俺は忙しいんだぜ。ガルド様とラルク様がよお、働かせる、働かせる。俺も冒険者になればよかったかな。頑張れよ、マルク」
「マルク、頑張ってね。凄い後輩を持ったわ。応援してるわ。貴方は私の可愛い後輩で恩人だもん。頑張ってね」
「マルク、頑張れよ。後輩の英雄伝を期待している」
「マルク、兄貴と共に応援している。頑張れ」
「ああ、弟と共に応援してる。頑張れ」
「ラックスとリックスはしょうがないなあ。頑張れよ、マルク。俺はお前を尊敬してるぜ」
「マルク、この前の騒動以来だね。もう、マルクは立派な大人だね。俺の尊敬する後輩は英雄になるんだ。みんな期待してる。プレッシャーかもしれないけど、頑張れ」
「マルク、お前の凄さは知ってる。俺の後輩は英雄マルクだってな、頑張れよ」
「マルク、ミリアが来れなくてすまんな。あいつも試験で頑張ってる。来年にはいい先生になるだろう。お前も頑張れ。俺も3ヶ月後には騎士だ。お前に負けずに頑張るからな」
アレス、レオナ、ルーナ、マーク、ヨークス、ルーイ、リオル先輩、カリウス先輩、サリー先輩、ジュライ先輩、ラックス先輩、ルックス先輩、ジンダ先輩、クリス先輩、マイル先輩、リック先輩の順で皆が応援をしてくれた。
そして家族
「マルク、頑張る」
「マル君、頑張ってね。寂しいけど、応援してるからね」
メル姉、エルカ姉様が応援をしてくれる。
「「マルク様、頑張ってください」」
とアイナとリリアが応援してくれた。
「マルク様、どうかお体にはお気をつけを。マルク様のご活躍を願っております」
とゼルが言ってくれる。
そして兄上とユリア義姉上が
「マルク、家のことは任せろ。そして、頑張って来い。お前の成長を期待している」
「マルク、体には気をつけてね」
そして父上と母上が
「マルク、お前のことだ。心配は要らんだろう。でもな、どんな事も慎重にな。お前は強い。王国でも対人ならばトップ10にいる。確かに強い。でも冒険者としてはまだ駆け出しだ。だから、気をつけて慎重に行く事だ。何事も慣れた時が一番恐い。わかったな。お前はドンナルナ家の誇りだ。どんな時も負けないマルクはドンナルナ家の太陽だ。だから健康で帰って来い」
「マルク、もう行っちゃうのね。なんだか寂しいわね。マルクも家を出る時なのね。本当に別れは慣れないわ。でも私は貴方をいつでも誇りに思ってます。だから辛い時はいつでも戻って来なさい。そして体に気をつけてね。いつまでも子供なの。心配だわ」
「はい」
姉上、アイナら、ゼル、兄上ら、そして父上と母上が祝ってくれた。
だが
「まうく、いっちゃ、だめ」
「アラン、マルクは帰って来る。でもな、マルクも行かなくちゃいけないんだ。見送ってやろうな」
「だめ」
「アラン、いい加減にしなさい」
「だめなの〜。うあわああん」
「アラン、ごめんよ。俺もいつかは出て行くんだ。でも一生の別れじゃない。半年後には戻って来るから、待っててくれ」
「やだ」
「アラン、頼むよ。また帰ってきたらいっぱい遊んであげるからな」
「・・・・」
「ほら、アラン、大好きマルクを笑顔で見送らないと嫌われるわよ」
「ばあば。まうく、ぼく、きらい?」
「いや、アランが大好きだよ。でも俺も行かなくちゃいけない。また会えるよ」
「ほんと?」
「ああ」
「やくそく」
「あら、そんな難しい言葉を覚えて」
「ああ、約束」
「うん」
そして皆で笑い合いながら今日という日を楽しんだ。会の終わりにミリア先輩とレア先生も来た。そして応援の言葉をくれた。そして会はお開きになった。




