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男子3日合わざれば刮目して見よ

翌日


俺は訓練をして、兄上と父上を待っている。2人は午後までかかると伝言が来た。これは襲撃者の口がかなり硬いなのだろう。それにやはり元第一王子は見つからないからなんだろうな。


俺はそれを気にせずにしっかりと訓練して行く。アランはまた訓練を見ている。そして槍の動きを真似している。可愛いな。


そして俺はゼルと模擬戦をする。ゼルといい勝負はするが、歯が立たない、惜しいところでいつも切り抜けられる。どうしても基礎には差がある。ここを詰める必要があるのか。


「マルク様、基礎はしっかりとできています。基礎を怠らない姿勢は素晴らしいですね。しかし、やはり経験不足、その言葉に尽きる。遠征で多くの経験を積む事がいいでしょう。そうすれば数年で私は抜かれます。その時を見れるのを期待しております」


「ああ、そうか。基礎はどこに行ってもやり続ける。そして、俺はいつかゼルに勝つよ。ゼルが自分よりすごい弟子を取ったと思えるように頑張る」

「ふふ。なかなか抜かせませんよ。魔法理論のおかげで、私も強くなっております」

「ああ、でも超える。父上とゼルを超えるのが俺の目標だからね」


「マルク様、その部分は変えずにいてください。マルク様の強さはまさに心です」

「ああ。心の強さを武器に頑張るよ」

「ええ」


俺はもうできないかもしれないゼルとの訓練を噛みしていた。


そして昼食を食べ、俺らは兄上を待っていた。すると

「ただいま戻りました」

「ただいま」


家族総出で迎える。

「父上、兄上、おかえりなさいませ」

「「ああ。ただいま」」

「おとさん」


アランが駆け寄っていき、兄上に抱きついた。兄上は嬉しそうにアランを抱き抱えて。

「アラン、ただいま。元気だったか?」


「うん。元気。おとさん、いない、かあさま、まもった」

「そうか、偉いな。アランは自慢の息子だ」

「うん」


「アルフ様、おかえりなさい」

「ああ、ユリア。ただいま。心配も、苦労もかけたな」

「いいえ、お義父様やお義母様、マルクやメルさん、エルカさんが支えてくれました。本当にお世話になりっぱなしです」


「そうか。マルクも面倒をかけたな」

「いえ、兄上、俺もアランやユリア義姉上のおかげで助けられました。アランは成長しましたよ」

「せいちょうした」


「そうか、アラン、頑張ったな。偉い」

「うん」


そして、メル姉やエルカ姉様も来て、みんなで楽しく、夕食に向かう。兄上は父上と共にアランと風呂に入った。アランの成長を楽しむかのように風呂から笑い声が聞こえる。


夕食時

「メル姉も、エルカ姉様もお疲れ様でした」

「うん。疲れたよ。マル君」

「ん、頑張った」


「ああ、メルとエリカも頑張ってくれた」

「そうですか、さすがメル姉とエルカ姉様です」

「そう?」

「ん」


「めう、えうか、カッコイイ」

「そう、アラン」

「ん、アラン」


メル姉とエルカ姉様の頬が緩む。


「2人とも、アランとマルクに褒められると嬉しそうにするんだから」

「ん、弟に、甥っ子。当たり前」

「そうね」


「はははは。メルも、エルカも変わんないな」

「アルフ兄、そんなに人は変わらないよ」

「そうか」


「兄上、有角族国家はどうでしたか?」


「ああ、空気はピリピリと緊張感があったが、全体的にはイイ関係を築けたから、上手く行ったぞ。人は形では変わらん。心が大事だ。それをちゃんと理解して接することができれば友好的にできる。それにランブルの連中はどうやら聖国に夢中でな。こっちはそれほどだ。小競り合い程度はあったがな」


「そうですか。それは良かった。このまま、聖国の勇者が頑張って、戦場が落ち着くとイイですね。ただ、聖国があんな事をしたので、気を抜けませんが」

「ああ、それで、有角族国家の軍を一度戻すことになりそうだ。父上や俺も探したが、アルスが見つからない以上、必ず反乱を起こす。あいつはそんな人間だ。反省する者じゃない」


「そうですか。わかりました。兄上、父上と相談があります。お疲れのところと思いますが、あとで、お時間をお願いします」

「わかった」

「ああ」


そして俺らは夕食を楽しんだ。久しぶりに家族が揃い、皆が嬉しそうだ。メイドやアイナ、リリア、ゼルも何だか嬉しそうで。食堂は賑やかだった。


メイドたちにアランがありがとうと言うと、兄上が驚きながら、嬉しそうに見ていた。まさに男子三日会わざれば刮目して見よという言葉を噛みしめているかのようにアランの成長を喜んでいる。そしてその様子を見て、ユリア義姉上やみんなが喜ぶ。


夕食後

「父上、兄上、私はそろそろ遠征で辺境伯領、そして商業都市国家群などを回ってこようと思っております」

「そうか。冒険者としての経験は王都では足りないだろう」

「ああ、俺が帰ってくるまで、待ってくれたのだろう。すまないなマルク」


「いいえ、兄上。アランのおかげで心を静かに成長できました。ですが、ここではもう限界にきており、経験を積む必要があります。ですので、外に向かいます」

「そうか。それが良かろう」


「ああ、父上の言う通り、それがいいと思う。当分はこっちにいる。アランやユリアは俺自身が守るし、母上らのことも任せろ」

「はい、兄上、ではバトンタッチです」

「ああ」


「そして、父上、カットのことですが」


「ああ、わかっている。あの者は操られておった。だから減刑はする。それに操られておった者は大した罪もする前に、騎士団で捕まえた。だから大丈夫だ。それに俺が来週から騎士団長になることが決まった。この時勢だ。英雄が騎士団長となることを国民が望んだのだろう。俺としては英雄などくそくらえだがな。英雄と俺とは程遠い」


「そうですか。英雄と言われるのは父上にとって心苦しいでしょうけど、時勢ですから、しょうがないのでしょう」

「ああ」


「気苦労は察します。兄上と共に辛いお役目を頑張ってください。お近くを離れますが、どうか、お体には気をつけてください」

「ああ」


「しかし、マルクも三日会わざれば刮目して見よだね」

「兄上もその言葉を知っているのですか?」


「ああ、母上に前に言われたよ」

「そうですか」

こうして、父上、兄上との話は終わった。


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