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事件の本当の狙い

翌日


俺は今日も訓練して、会館に行く。俺は依頼表を見る。最近は依頼がなくなった。凄く平和になり、なんだか冒険者も減った。どうしようかなと思う。特に緊急の依頼はない。俺は訓練場に入って、リッキーらがいるから、訓練をする。常時依頼以外がない。迷子もない。


急に依頼がなくなったんだ。迷子も戻って来たらしい。なんだかよくわからない。本当にエルゼらの狙いがわからない。


「ふう、やっぱり、マルクは強いな。俺より強いな」

「まあ、リッキーは集団戦が強いからね」


「まあな。確かに俺のスキルも、戦い方も集団向きだ」

「だから、一対一は勝つよ」

「そうだな。最近、カットを見たか?」


「やっぱり、リッキーも見てないか。俺も見てない。昨日も来なかったしね」

「ああ、だからな。エルゼはどうなんだ?」


「ああ、怪しいよ。でも何をしているかが全くわからないんだ。カットのことも何をしているかがわからない。何が狙いだろう?それはわかんないから何もできないんだ」

「そうか。クソ、あのバカ」

「ああ。カットは」


「すまんな。マルク。心配かけて」

そんな話をして、今日は帰った。常時依頼を皆がすれば、ゴブリンは見つからない。こういう時もある。しょうがない。


俺は家に帰るとアランと遊ぶ。

「アラン、今日は何をする?」

「まうく、ボール、遊ぶ」


「わかった。じゃあ、ボールで遊ぼうか」

「うん」


そして、ボールでピンを倒すゲームをする。前世のボーリングだ。この世界にはないが、これが面白いだろうとピンを作って、遊んでいる。最近のアランの中でのブームだ。リリアも一緒にやる。


「よし、アランからだな」

「うん。いっぱい、たおす」


「そうか。よし、アラン選手の第一投です。アラン選手何本倒すのか」

アランが投げた。するとピンは五本倒れた。


「アラン選手、絶好調だ。五本を倒しました。すごい。続いてリリア選手です。最近のアラン選手との対戦成績は1勝2敗と負け越しているリリア選手、今日はどうでしょうか?」

リリアが投げる。リリアは4本と惜しい。


「おおっと、リリア選手は4本といい勝負だ」

「いい、しゅうぶ」


「さあ、アラン選手の番です。今度は残り五本を倒せるか」

アランが投げる。2本倒れる。


「おおっと、ここでアラン選手はまさかの二本だ。大ブレーキ。勝負はまだわからない」

俺は2人の実況役をする。リリアの番。


「さあ、リリア選手が投げる番です。あと1ターンですから、ここはできる限り倒しておきたい」

リリアが投げる。3本が倒れる。


「リリア選手は手堅く三本を倒して、アラン選手に追いつく。試合はわからなくなって来ました。さあ、今度はアラン選手の番です。ここでどれだけ倒せるか?」

「がんばう」

「さあ、第三投目は?」


アランが投げる。すると、8本を倒す。

「これは好記録だ〜。ここでリリア選手食いついていけるか?」


リリアが投げる。3本を倒す。

「ああっと、リリア選手がここで3本と痛いミスだ。アラン選手はここで一気に差をつけれるか?後二本を倒せば、負けはない」


そしてアランは惜しくも一本だけを倒す。

「惜しい。アラン選手が一本を倒す。それでもリリア選手に大きなプレッシャーをかけた。これは厳しい状況のリリア選手が第四投目を投げる」


リリアは5本を倒す。

「ああ、リリア選手、5本です。後一本及ばず、アラン選手に負けました。アラン選手が勝ちました。さあ、アラン選手にインタビューです」


ピンを持ち、マイクのようにして、アランに向ける。

「アラン選手、勝ちましためね。嬉しいですか?」

「うえしい」


「そうですか、リリア選手との戦いは楽しいですか?」

「たのしい。また、やる」


「リリア選手、今日はアラン選手に負けましたが如何ですか?」

「悔しいです。次は勝ちたいです」


「素晴らしい一戦でした。見事にアラン選手が勝ちました。皆さん拍手を」

パチパチ。見ていたメイドやアイナ、ゼルが拍手をする。アランは手を挙げて、拍手に答える。これはアランに俺が教えた。そこに母上とユリア義姉上が来た。


「ふふ。アラン、楽しそうね?」

「うん。ばあば、たのしい」


「マルク叔父さんとリリアに遊んでもらっていいわね。アラン」

「うん、おかあさん。りいあ、まうく。やさしい」


「そう。よかったわね。アラン」

「うん」

こうしてアランと遊び、その後は俺は研究をして、瞑想と訓練をして、夕食を食べ寝た。


1週間後


今日は兄上が帰ってくる。そして、奴らがきっと何かを仕掛けてくる。それはわかっている。だけど何をしてくるかがイマイチ掴めなかった。


予想では迷子になった者とカットを使い、市井に混乱を招き、その隙に陛下と殿下を狙うだが、そうなるかがわからない。どうするのか。


なお、騎士学院の生徒は見つかった。どうやら誘拐されていたようだ。デュクラス家は誘拐されたことを隠していた。女性ということもあり、誘拐されたという事が彼女に大きな問題として、これからの人生にのしかかるのを嫌ったためだ。


なので、今回は王宮もそれを隠しておくことになった。これも奴らを直接逮捕できない理由だった。本当に彼奴等がやった証拠がこれぐらいしかない状況で、それを使えないというのは痛かった。


そして、俺は兄上らを迎えるために家族で広場に行く。ゼルにはアランとユリア義姉上をしっかりと守るように伝えてある。


もし、狙いが俺の場合、弱い2人をということはあり得る。違うと思うが一応、警戒していた。前に聖国は俺を渡せと言ってきた事があったからだ。


コーネリアス様から、そこを狙う可能性があると言伝をもらったためだ。「自分ならマルク殿を狙う。王国の最も重要な者は今やマルク殿だ。素晴らしい研究を数々行なっており、これからもなされる。

それが帝国との国力差を作り出している」と言われた。


そんな事あるか?とも思うが、念のためゼルには警戒させた。アランやユリア義姉上を守るのは兄上との約束だ。


もう少しで、兄上らが帰ってくる。

「アラン、肩車するぞ。兄上を見ないとな。兄上が見えたら、手を振って、気づいてもらえ」

「うん」


兄上が来た。

「ほら」

「おとさん」

「兄上」

と大きな声で兄上を呼ぶ。兄上はこっちを見た。そしてアランは大きく手を振る。兄上はにこやかに笑う。まるで、アランと会えて幸せだというのを表すように。


しかし、ここで観客席に悲鳴が起きる。急に騒ぎが起きた。あいつらが動いたんだな。やっぱりか。父上やコーネリアス様が動くはず。観客席の騒ぎに騎士たちがいく。徐々に騒ぎが収まっていく。さすが父上とコーネリアス様だ。


陛下たちにもかなり警備が付いている。大丈夫だ。俺は母上やメル姉、エルカ姉様とユリア義姉上、アランを守る。ゼルも周りを警戒している。


アランは俺の肩の上で、ユリア義姉上を守ろうと手に力を込めて、俺の顔にしがみついている。しっかりと育っている。アランは強い子になる。


そして、今度は観客とは別のところで騒ぎが起きる。あ、カットだ。あのバカ、やっぱり操られていた。バカが。


と考えていたら、リッキーだ。リッキーが近づいて、カットを殴った。そして押さえつける。いい動きだ。直前に見つけたのかも。


今度はまた陛下の近くにいる観客が騒ぎ出した。やっぱり陛下が狙いか?だけど、すぐに巡回してた騎士が取り押さえる。何か変だ。騒ぎが大した事がない。普通、これだけ念入りに用意してたら、もっとできるはず。あいつらはバカなのか?それとも何か狙いが。それに奴らも姿を見せない。



何をしようとしている?あ、



ドーン。ドーーーーン。ものすごい爆音が聞こえた。王宮で爆発?なんで、陛下も、王妃も、殿下らも今は王都の広場にいる。王宮を狙う理由がわからない。何が狙いだ?


「おい、王宮が爆発したぞ。あれは塔じゃない?東の?」

と言う声が聞こえる。


東の塔?あれ、あそこって確か、そうか。

「おい、王宮のどこで爆発だ?確認してこい」

父上の声が響く。


そうか、それが狙いか。あのバカ王子の奪還、そして、血の正当性とか言い出して、王国内で反乱を起こす気か?クソ。半分近い兵が有角族国家に行っている。このタイミングでか。


それに気づいたのだろう。コーネリアス様や父上らが慌ただしく動き、帰還の出迎えは終わった。しかし、エルゼだけは捕まった。陛下も狙ったようだ。


兄上が気づき、兄上が陛下に近付こうとしたエルゼを一突きした。戦場から帰ってきて、さらに大きくなったのかもしれない。


その後、皆は解散となり、俺らは家に帰った。兄上と父上はエルゼや騒ぎを起こした者らを捕まえ、王宮での取り調べや、壊れた塔の捜索などをするために、本日は帰れないようだ。


「アラン、兄上は犯人を捕まえた。すごいなぁ」

「すごい」


「そうだな。アランのお父さんはカッコいいな」

「うん。かっこいい」


「ああ、カッコいいお父さんだ」

俺らは明日には帰ってくるだろう兄上らを迎えるために、明日の準備をして、ゆっくりとした。俺はアランが心配なため、一緒に遊ぶ。

「アラン、遊ぼうか?」

「ううん。おとさん、しごと、がんばってる」

「そうか、疲れても頑張るお父さんが心配か」

「うん」


「そうだな。でもアランが元気なかったら、お父さんはもっと悲しむぞ」

「かなしむ?」


「そう、アランが元気なのが一番、お父さんは嬉しいと思うぞ」

「そう?」

「ああ」


「じゃあ、あそぶ。おとさん、げんきにする」

「そうだな。お父さんにこんな事も出来るようになったと見せよう。キャッチボールするか?」

「うん」


2人でキャッチボールをする。アランは元気を振り絞り、遊ぶ。その後はアランは遊び疲れ、早めにご就寝コースだ。俺と母上やユリア義姉上と話す。メル姉とエルカ姉様は王宮に呼ばれ、王宮に向かった。


「アランもうちの子ね」

「ええ、しっかりと兄上の血を引いて、勇敢な男の子です」


「そうですね。アルフ様の血をしっかりと受け継いでいい子に育ってます。それにこの一年、マルクが色々とアランに教えてくれたのも大きいです。きっとアルフ様は驚くと思います。アランの成長に」

「ええ、そうね。男子三日会わざれば刮目して見よね」


「お義母様、それは何でしょうか?」

「ああ、そうね。知らないわね。男の子は三日は会わないと、その間に大きく成長するって事よ。まぁ知らぬ間に子は育つってことね。聖国の言葉かしらね」

「そうですか。いい言葉です」

やはり、母上はこの世界の言葉ではなく、あの世界の言葉を知っている。もしかしたら。


「母上、ユリア義姉上、しかし、兄上も成長なされたように見えました。なんだか、さらに大きくなったようです。役職が兄上を大きくしたのでしょうかね?」

「ええ、私もそう見えました。アルフ様が英雄に」


「ふふ。まあ、大きく成長したようね。周りがよく見えるようになったのかしら」

「そうでしょう。きっと大きく成長できるような環境であったのでしょう。その分、気苦労も多いと思いますが、きっと苦労したのでしょう」


「そうね。多分そうよ。マルク、貴方もそろそろ遠征で外に行くのよね?」

「はい、兄上も戻ってきたので、そろそろ遠征で王都外で活動してみようと思います。まずは辺境伯領に行き、そして、商業都市国家群や小国家国家群を見てきます。それで一度帰ったら、今度は獣人族国家や有角族国家に行ってみようかと」


「そう。寂しくなるわ。その前に話さなくちゃね。アルフとラルクが帰ってきたら、私の過去をみんなに話すわ。2人も聞いてちょうだい。アランには早いかしらね」

「わかりました」

「はい、お義母様」

「そう、今日は疲れたし、寝ましょうか?」

「はい」「ええ」


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