ランクアップ②
1ヶ月後
俺は今日、会館も訓練室にて、推薦の試合だ。相手はAランクの人らしい。俺の推薦はAランクということになった。王宮が動いたらしい。名誉騎士号はAランクが王宮的にいいようだ。
今日も訓練をして、会館に行く。受付で
「すみません。今日はAランクの試験というか、試合と聞いていますが、どちらに行けばいいでしょうか?」
「はい。まずは会議室に行ってください。そちらが今日の試験を受ける方の待機所となります。マルクさん」
「はい。レネさん。ありがとうございます」
会議室に行く。俺はすでに盗賊の討伐や護衛は何度もしている。また、先日はBランクの討伐も行った。技量の証明だ。Cランク時代からBランクの討伐はしていた。
猪の魔獣4匹にたまたま、サンゼルと2人で当たってしまったことがあった。最初は2匹と聞いていたら、実は4匹でしたという話だ。
猪は1匹でCランク、4匹からがBランクのパーティー仕様になる。俺とサンゼルは運悪くぶつかった。まあ、俺が2匹、サンゼルが2匹で余裕を持って倒したけど。サンゼルは俺の5つ上で、13歳から冒険者をしている。最初は有名なパーティーで1年間の見習いをして、その後から徐々にランクを上げ、16歳でDランクになり、パーティーを組み、ここからという時にパーティーメンバーを亡くし、パーティーを組まないようになったという人なんだ。
あんなぶっきらぼうで、言葉使いを敬語にすると嫌がるから、いつも楽に話しているがいつBに上がってもおかしくないほどの力の持ち主だ。18歳でCランクに上がってから、特定のパーティーを組まないため、上がれない組だ。
だが正直言えば、強い。ヨークスやケビンには勝てると思う。アレスやリオル先輩はいい勝負する。先日、アレスと久しぶりに模擬戦したら、かなり強くなっていた。勝ったけど。
「よお、マルク」
「やあ、サンゼル」
「マルクはAだってな」
「すまない。サンゼル、国の事情だ」
「まあ、しょうがないさ。それにマルクの魔法理論や魔道具には俺も世話になっている。まさか魔法が使えるようになるとは思わなかった。1人で活躍できるのも、マルクのおかげだ。問題ない。それにマルクは底が見えない。俺より強いとは知っている。というより、王都支部で文句言うバカはいない。マルクが強いのは実力ある冒険者ならみんな知っている」
そう、サンゼルに敬語じゃなくていいのも、魔法理論に感謝しているのと実力を認めてくれているから。
「ありがとう」
「ただ、ヤイが奢れと言ってくるだろうし、シンディーがうるさいぞ」
「ああ、ヤイはいいが、シンディーはな。そろそろ長期の依頼から戻ってくるだろう。面倒だな」
「ああ、あいつは本気でお前をパーティーに入れたがってたからな」
「ああ、でも女性だけのパーティーには入れないよ。これで1人でも問題なくなるのは嬉しいよ」
「俺も、これで指名依頼を受けれる。助かるな」
なお、ヤイは3つ上でCランクだが、今回は外れた。力はあるが経験がない。盗賊討伐なんかはしたがらない。人を殺すのに躊躇っているようだ。この前の村に襲われた時も最低限で終わらせる。戦いが始まると人が変わるけどね。
そうそう、Bからは指名依頼が入る。これはかなりデカイ。いい金になる。ちなみにサンゼル以外にもいる。見たことない者がいるから、他支部の人だろう。
「マルク、サンゼル、準備はいいか?今日はAランクと戦うんだ。武器なんかをしっかりと確認しとけ」
「ああ、リッキー。今日はリッキーとやるの?」
「いや、俺はサンゼルとだ」
「そうか。俺は誰だろう」
「ああ、普段は辺境伯領にいるゴンダルだ」
「ゴンダル。名前からしてパワー系っぽいね」
「ああ、そうだ。パワー系だ。あいつはドワーフの血が入ってるからな」
「そうなんだ」
この世界のドワーフは小さくない。男はヒゲモジャ大男、女性は毛が多めの筋肉質女性だ。まあ、前世の記憶にあるドワーフを大きくした感じだ。あと鍛治がうまい。
そして、訓練場に呼ばれる。
「新英雄殿、よろしくな。俺が今日やるゴンダルだ」
「ええ。よろしくお願いします」
握手をする。あ、くそ、力入れてきた。テンプレか!負けないけどな。
「う、強いな」
「ゴンダルさんも」
「ふふ。今日の試合は面白そうだ」
ゴンダルさんは脳筋のようだ。こういう人は戦いが激しくなるほど強くなるんだ。
そして、サンゼルとリッキーの模擬戦が終わり、俺の番になる。サンゼルはリッキーといい勝負をした。リッキーはAランクだ。まあ本人曰く、Aランクでは弱い方だと言うが、スキルが集団戦向きのスキルだからな。一度聞いたことがある。
「じゃあ、始めるか?マルク殿」
「ええ。殿はいりません」
「そうか、マルク、行くぞ」
そして戦いは始まった。いきなり戦斧で攻撃してきた。強い。完全なパワー型で斧を振り回す。一撃が重い。避けるけど地面に当たった時の衝撃がすごい。これがAランクか。気を抜いたら死ぬな。
どんどんと攻撃してくるが、俺は何度も避ける。もうタイミングはわかった。ここだ。柄返しをして、懐に入る。一気に突きを入れる。ゴンダルさんは一瞬斧で防ぐが遅い。吹っ飛ぶ。
だが、すぐ立ち上がってくる。まぁ、俺は体勢を戻す暇なんか与えないよ。一気に畳かけるように切り上げ、回転して、突き、そして切り落としと連撃をつなげて行く。俺が完全に主導権を握った。
そこから、一方的に攻めて、止めの合図が聞こえた。
「強いな。Aランクに上がるのも頷ける。負けたな」
「ふ、守りを捨てた戦いをなされて、よく言います。本気なら勝てたか。それに連撃は手を抜いて守りましたね」
「バレてるか。リッキーが底が見えないって言ってたが、本当だな」
「そんなことはないですが」
「ゼルさんの弟子だろう。槍術を見ればわかる」
「知っているのですか?」
「ああ、昔な。ちと世話になったことがある。俺より強えけどな」
「ゼルにはまだ遠く及びません」
「師匠に、さん付けなしはいただけねえな」
「あ、すみません。うちの家臣で、執事ですので」
「そうか、ドンナルナ家の執事をしているって聞いたな。忘れてたわ」
「いいですよ。ゼルを尊敬なされているのでしょう。そのゼルを俺みたいな若造が呼びつけでは納得できないところもありましょう」
「まあ、貴族の世界は疎くてな」
「大丈夫です」
「気軽な貴族で助かるわ」
「辺境伯領に行ったらよろしくお願いします」
「ああ」
俺は試験を終え、合格を言い渡され、というか戦えばそれでAランクになれるんだが・・・。
そんなでサンゼルらのところに行った。
「やあ、サンゼル、マルク、今日はどこで飯にしようか?」
「ほらな」
「まあ、予想通りの言葉が来たよ。裏切らないなあ、ヤイは」
「うん?何の話?」
「ああ、ヤイが終わったら絶対に奢れって言ってくる。まあ、奢ることは前提で、どこに行くかと聞いてくるあたりはすごいよ」
「奢ってくれるのは当たり前だよ。Bランクに、Aランクだよ。金持ちだよ」
「ははは。その言葉は予想通りだ。ヤイ」
俺とサンゼルがひとしきり笑った後、またうるさいのが集まってくる。
「おい、サンゼル、マルク、俺より先にランク上げやがって!」
「やあ、ライアン」
「ライアン、お先だ」
「くそ、サンゼルも、マルクもおめでとう。それにしてもAランクって!マルク、絶対にシンディーがうるさくなるぞ」
「ああ、嫌だな。長期の依頼を受けようかな」
「ははは。まあ、遅いけどな。明日らしいぞ」
「え?もう帰ってくるの?」
「ああ、明日には戻るって、うちのリリスに手紙が来たらしいぞ」
「ああ、面倒が降りかかって来た」
「ふふ。もう入れば」
「ヤイ。女性パーティーに男が入ったら面倒が予想されるだろう?」
「まあ、俺なら入らないね」
「そうだよ」
そして、ヤイとサンゼルとライアンと飯に行った。俺が3人分も払わされた。ライアンは関係ないよね。そして俺の祝いだよと思ったが、言うと面倒だから払った。
俺は今日はゆっくりするため、家に帰った。その後はアランと遊んで、訓練をし直し、
夕食をとり、研究のまとめをして寝た。




