ランクアップ
1週間後
今日も訓練をして、冒険者協会会館に行く。結局あの件は副支部長の更迭と処刑、ダンゼン親子は処刑となった。事件の概要はダンゼン親子が村を使って、冒険者を捉えて、そいつらの武器を奪い、帝国に奴隷として売る。副支部長がその冒険者を釣る依頼を出す。
そして冒険者にはなるべく邪魔な連中を狙ったらしい。今回が俺とリッキーを狙った。リッキーは新人の面倒を見ることで、冒険者の質を上げると共に協会に言いなりとならない冒険者を作る。
対して、俺は貴族でものを言うことができない。かつ王都支部に文句を言う。会長とも仲がいいということで邪魔だとなった。さらに、俺を恨む騎士のダンゼンが俺を嵌めたいと強く推した。
会館に着く。俺は依頼表を見る。おお、村に猪の魔獣が1匹出た。これはcランク以上の冒険者なら一人で受けれる。よし、取った。
「ああ、取られた。マルク、俺にくれよ」
「ああ、ヤイ、ダメだよ」
「くそー。遅かった。じゃあ俺はこっちのゴブリン5匹にしよう」
「ははは。早い者勝ちだよ」
サンゼルが近寄ってくる。
「おい、マルクか。騒いでると思ったら」
「ああ、サンゼル。いい依頼があってね」
「何?どれだ?」
「ああ、これだよ。猪の魔獣だよ」
「ああ、遅かったか」
「はは、早い者勝ち」
「すみません、騒ぐなら受付の前はやめてください」
「申し訳ありません。副支部長」
「ああ、恥ずかしいですね。まだ慣れません」
副支部長が新しくなった。半年後に支部長になるらしい。で、会長は会長の仕事に集中するとのことだ。
そして、俺は受付を済ませ、猪の魔獣を倒しに行く。村に向かう。俺は疾駆で走っていくと村まで2時間で着いた。
「すみません。冒険者でCランクです。今日はこちらに猪の魔獣が出たという依頼で倒しに来ました。村に入ってもいいですか?」
「ああ、聞いています。規則なので、冒険者カードを見せていただいても・・・・はい。大丈夫です。お入りください。マルク様」
「ああ、ごめんなさい。気を遣わせて」
「いえ、マルク様の魔法理論のおかげで回復魔法を使える者が村にいまして、そのおかげで怪我や病気の者が治りました。また今回も猪の魔獣で怪我人が出ましたが、それも軽かったので、回復魔法で治りました。マルク様には何度も感謝しております」
「そうですか。それはいいですね」
「はい。あ、どうぞお入りください」
「では」
「はっ」
そして、村長のところに行く。
「すみません、冒険者のマルクと言います。依頼を受けに来ました。入ってもよろしいですか?」
「はい。どうぞ」
「私はCランクの冒険者、マルクと言います。今日は猪の魔獣も依頼を受けさせていただきます。よろしくお願いします」
「はい、1つ聞いても?」
「はい」
「マルク・フィン・ドンナルナ様ですか?」
「ええ」
「やはり、マルク様のおかげで、村の者が多く助かりました。本当にありがとうございます」
「いえ。門でも警備の方に聞きました。村が救われたのは村人の努力でしょう。私は何もしていませんよ」
「そうですか。でも感謝をさせてください。魔法理論はこんな辺鄙な村に希望をくださりました。魔法が使える村人が増えたことで、警備も、回復も本当に良くなったのです。ありがとうございます」
「そうですか、依頼の件を聞いても?」
「あ、すみません。依頼は、猪の魔獣が南の畑に出ました。その猪は南の森に行きました。それを退治してほしいというものです。大丈夫ですか?」
「はい。わかりました。現地を見ても?」
「はい、畑までの案内を出します。おい」
「はい、父上」
「こちらはあのマルク様だ。今日は冒険者として猪の魔獣を倒してくれるとの事だ。畑まで案内しろ」
「はい」
そして、畑まで案内される。村人がすれ違う度に感謝してくる。申し訳ない。でも嬉しい。頑張ったことで誰かの幸せに繋がってる。それが嬉しい。自分のためにしたんだけどね。
「案内ありがとう」
「はい。マルク様、迷惑なのは分かっていますが、ありがとうございます」
「ああ、こっちこそありがとう」
そして、畑を見て、森に向けて、猪の足跡を追っていく。森のところまで来た。こっからは慎重に行こう。俺は警戒しながらどんどんと進む。ああ、近くに猪の魔獣の気配がする。近いな。
ああ、あそこか。よし、いるのは2匹、1匹多いが想定内。多分、番いだ。よし魔法で一気に攻めよう。ふう、よし、魔獣が少し離れた。サンダーチェインだ。いく。よし1匹が捕まった。よし、もう1匹だ。一気に突く。入った。
1匹が死んで、もう1匹が鎖に繋がれた状態だ。よし、もう1匹も、・・・両方とも死んだ。2匹の血を抜いて、解体して。よし、土で血を埋めて、火をつける。よし、次はもう燃えた。水をかけて消す。終わった。あとは子供がいないか探す。ない。よし、帰ろう。
そして2匹をマジックバックに入れて村に戻る。村には俺を心配して待っていた人たちがいる。村長も村の入り口にいる。
「無事、倒しました。2匹いたので両方とも討伐しました。ここで見せていいですか?」
「はい。お願いします。ここに置いてください」
「はい。こちらです。2匹は番だと思います。まだ子供は生まれている様子はありませんでした。これで大丈夫でしょうか?」
「「「「おおお」」」」
「はい。大丈夫です」
「では、こちらの依頼書に完了確認のサインをください」
「はい」
「依頼代はすでに払われてますか?」
「はい」
「では、そちらは冒険者協会から後程に受領書が来ます。そちらを確認ください」
「ありがとうございました」
「はい。また何かあればよろしくお願いします」
俺は村を出て、また疾駆で帰る。2時間かかった。もう夕方に近い。早く帰ろう。
「すみません。依頼を完了したので、完了書を提出します」
「はい。ああっと、はい大丈夫です。マルクさん」
「ありがとうございます。猪の魔獣2匹の買取をお願いしたいのですが、どちらに」
「はい。いつものところにお願いします」
「わかりました。ありがとうございます。レネさん」
「はい」
笑顔で見送ってくれる。
解体倉庫に着く。猪の魔獣の死骸を出す。
「あのー、魔獣の買取をお願いします」
「はい。ああ、マルクさん。今日は何を?」
「はい。猪の魔獣2匹です。解体はしましたので買取をお願いします」
「はい。いいですね。これなら高く売れます。これでどうでしょう?」
「はい。いい価格をつけてもらって嬉しいです」
「マルクさんの品は傷もなく、しっかりとした処理をして、かつマジックバックのおかげもあり、鮮度もいいのでこの値段です。それに毎回いいもので、商会からも人気が高いですね」
「ありがとうございます。では」
「はい」
そして、解体した魔獣売上げと今回の報酬をもらい帰るため、協会の出口に向かおうとした。すると。
「マルクさん、副支部長室で副支部長が呼んでおります」
「わかりました」
しかし、なんで呼ばれたのだろう?
副支部長の部屋に入る。この前来た時と違い、副支部長が変わり、部屋の中が質素な家具や調度品に変わった。
「失礼します。入っていいでしょうか?」
「ああ、マルクさん、来ていただいてありがとうございます」
「いえ、お話とは?」
「はい。マルクさんにはBランクに上がってもらいたいなと?」
「はあ、パーティーを悩んでまして。パーティーじゃないので、数が難しいですね」
「それについては特例を受けないかと思いまして」
「特例?」
「ええ、協会の特例で支部長と会長の推薦とAランク以上の冒険者の推薦でできます。ただ、皆に認められるため、Bランク以上の冒険者と戦ってもらいます」
「それでいいのですか?」
「ええ、で、私と会長、そしてゼルさんの推薦で大丈夫ですので、戦ってもらいますが、大丈夫ですか?」
「はい。皆さんが良ければ」
「はい、じゃあお願いします」
「わかりました」
「もう大丈夫です。お忙しいところ、お呼びして申し訳ありません」
「大丈夫です」
Bランクになることが決まった。
そして、家路につく。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい、マルク」
「母上、Bランクに上がることになりかもしれません」
「そう、凄いわね。早いんじゃないの?」
「ええ、登録から一年未満は早いんだと思います。まだ無理だと思っておりましたが、副支部長殿が推薦してくれるようです。ゼルも推薦してくれたようです」
「そう、ゼルはいるかしら、アイナ」
「呼んできます」
「ええ、お願い」
ゼルが来た。
「お呼びでしょうか?」
「ええ、ゼル、マルクをBランクに推薦してくれたんですって?」
「はい。マルク様も経験を積んだ様子で、もともと力はBランクの力はあります。マルク様の考えで地道に経験を積んでいくとおっしゃっていましたので、何も言いませんでしたが、推薦の話が来た時にはマルク様もBランクに上がることを望むくらい経験を積めたようですので、推薦しました。問題ありましたか?」
「いいえ。マルクも言いたそうだし、お礼を言おうと思ったの。ありがとうね」
「いえ」
「ゼル、ありがとう」
「はい、どういたしまして」
そして、俺は今日もアランと遊ぶ。
「まうふ。遊ぶ」
「ああ、アラン今日は何をしようか?」
「パカパカ」
「わかった。じゃあ騎士様、馬をしますのでお乗りください」
「パカパカ」
そして、俺は馬になり、アランを乗せ、家を歩いた。
「あら、アラン、マルク叔父さんに馬をしてもらっているのね」
「ばあば、まうふ、パカパカ。いく」
「ええ、色々と連れてってもらいなさい」
「うん」
「母上、行ってきます」
「ええ、マルク」
「マルク、ありがとうね」
「ユリア義姉上、大丈夫です。アランと遊んでる時は心を休めます」
「そうですか。ありがとうございます。アラン、マルク叔父さんが良くしてくれていいわね」
「ははうえ、まうふ、パカパカ」
「そうね。話しちゃダメね」
「うん」
「ヒヒーン」
こうして、家中を回った。アランは楽しそうだ。笑顔がいいね。




