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冒険者 トラブル②

村を出ることを決めたと同時に兵が来た。ああ、間が悪い。代官だろうな。

「おい、お前らか、村で暴れているのは?」

「はあ、私たちは冒険者で、協会の依頼で来たのですが、村人に襲われまして」


「ふむ。嘘をつくな。こっちは村より報告で来た」

「そうですか、貴方様が代官様で?」

「ああ、そうだ。神妙に縄につけ」


「そうですか、代官邸は近いのですか?田舎者ですね」

「おい、マルク」


「お前、なんだと、遠いに決まっておるだろう。こんな田舎に住めるか?この私が?お前ごとき平民が準貴族たる儂を侮辱するのか?どうなるかわかっているのか?」


「そうですか、おかしいですね。私たちが襲われたのはまさに今です。それがなんで貴方様のところに報告が来て、こんなに早くに代官様がいらっしゃるのです?」

「ななな、それはあれだ。近くにいたからだ」


「そうですか?なんで近くに?」

「それは、ゴブリンの巣だ」


「ああ、騎士には相手にされなかったから冒険者協会にと聞いていますが?」

「それは」


「ところで、私の名を言っていませんでした。私は名誉騎士号を有する貴族、マルク・フィン・ドンナルナと言います。代官、お前の名と所属を言え」


「な、な、マルク・フィン・ドンナルナ、あの新英雄の」

「首を切るぞ。名を言え」

「シュミール・ダンゼンです」


「貴族でないもの、しかもお前は準貴族でもない。そんなものが、貴族にこんな失礼な態度をとったらどうなるかわかっているな?」

そうこいつはフィンがつかないから貴族ではない。そして、数カ所の村の代官程度では準貴族にはなれない。ちょっと各村をまとめる村長のまとめ役は貴族ではない。


この程度の代官なら騎士爵を持つ退官騎士などに任せる程度だ。大体、王宮の騎士団が治安警護はしており、この程度の地を治めるの者の仕事は税の徴収程度しか無い。それが騎士団の隊長や文官の役職者と同等の地位にするはずがない。


「な、な」

「そこの兵、こいつをしばれ」

「はっ」


俺はリッキーらと離れ、騎士団と話す。

「お前ら、この地を治める兵か?」

「いえ、私たちは王都の第4騎士団第21小隊で、シュミール様の父上ダンゼン様が小隊長です」

「ほう、それは誰の命令で来たのだ?」


「あ、ダンゼン小隊長の命令です」

「そうか、お前たちは今回の話をどこまで知っている?」


「はっ。ダンゼン小隊長から冒険者が面倒を起こすから、取り締まれと」

「そうか。お前たちはそれを王都で報告できるか?」

「う、今の騎士団では難しいです」


「そうか、わかった。では軍務大臣ガリシアン伯爵の前でなら言えるか?」

「はっ」


「そうか、じゃあ、そいつを捕まえて、王都に向かう。来い」

「はっ」

そして、王都に向かって行く。村人は数人を残し、後ほど取り調べが入る。


俺らは王都に着くと、リッキーたちは冒険者協会に報告に行く。俺はシュミールを連れ、第21小隊と王宮に行く。門で俺の家紋を見せ、ガルド様とコーネリアス様にお継ぎを頼む。


そして、小隊の者は広場に待機させ、俺はガルド様とコーネリアス様と会う。

「コーネリアス様、ガルド様、此度はお会いしていただき、ありがとうございます。

「ああ、マルク、前置きは良い。用を言え」


「ええ、用はなんでしょうか?私とガルド様をお呼びとは?」

「はい。実は・・・・」

今日、あったことを話して行く。


「な、そいつはいるのか?」

「はい」

「その第21小隊もいますね?」

「はい」


「よし、コーネリアス、騎士ダンゼンという者を呼んで来い。俺はシュミールという者の話を聞く。王領の代官がこんな事をするなど、何という失態だ。儂の責任だ。その小僧の懲罰は儂がやる」


ガルド様が怒っているので、俺は任せると伝える。

「はい、お願いします」


「任せろ。マルク」

「こっちも任せて。騎士がこんな事をするとか私の顔に泥を塗って。去年いじめたのに足りないんだね」

「はい。お願いします」

コーネリアス様は意気揚々と出て行った。ダンゼンとかいう騎士は死ぬな。


俺はガルド様と広場に戻る。すると、シュミールが父を呼べと叫んでいる。それを見たガルド様は怒りに震えている。

「おい、シュミールとかいうガキ。静かにしろ」


昔、父上に聞いた事がある。ガルド様がキレた時は最も恐いと。あいつは怒らせるなと。

「あ」

「喋るなと言ったぞ。クソガキ。お前のやった事は聞いた。違いないな?」

「それは」


「違うか、違わないかを聞いている」

「はい」

「おい、お前らはそこにいた騎士か?」

「はっ」


「お前たちはダンゼンという者に命令されたんだな?」

「はっ」

「それで、命令内容は冒険者が面倒を起こしているから、捕まえて来いと」

「はっ」


「おかしいと思わなかったのか?」

「はい。思いました。ですが上官の命令です」

「そうか」

そして、コーネリアス様が来た。


「ダンゼンはいません。どこかで遊んでるみたいです。見つけ次第、処刑ですかね?」

「ああ、今回は許せん。こいつも処刑だ。これは宰相権限で十分だ」

「そうでしょう。あとは騎士をいじめますか?」


「ああ、前から問題はあったが、今回はもうダメだ。改革が必要だな。上の無駄なバカを一掃しよう」

「わかりました。ガルド宰相」


「ああ、コーネリアス殿、改革案を頼む」

こうして、シュミールの件の裁定は決まり、俺は王宮を出て、冒険者協会に来た。


「やあ、サンゼル、ヤイ。こっちは問題は解決したけど、そっちはどうなった?」

「ああ、副支部長のやつが今回はこっちのミスだとか言い出しやがった」

「は?どういう事?」


「ああ、俺らは報告して、依頼に対する報酬をな」

「ああ、渋ったか」

「ああ、あれは完全に協会側に問題があったが、それをこっちの責任はないだの、お前たちのこじつけだの言い出した」


「そう、こじつけだと?」

「ああ」

「じゃあ、行ってこよう。こじつけと言い出したら、あっちから慰謝料を取るか、貴族に失礼な事を言ったとして、解任を会長に申し出よう」


「マルク、たまに恐いね。貴族としての顔をするよね」

「まあ、色々とあったから使い分けるよ」


そして、副支部長室に来た。もうリッキーがもめている。

「おい、どういう事だ。おかしいだろ。俺らのせいだ?」

「そうですかねえ。どう見ても間違いでしょう。騎士が村と組んでやる?馬鹿馬鹿しい」

よし、先に会長のところに行こう。そして、会長を呼び、副支部長のところに行く。


まだ言い争っているらしい。俺と会長はドアを開けて入るが副支部長とリッキーは話し合いがヒートアップしているから気付かない。

「だから、マルクが代官と騎士が村と組んで悪さをしたのを王宮に伝えに行ったんだ」

「そうですか、ダンゼン小隊長がそんな事するはずないでしょう?」


俺はドアを開けてすぐに副支部長に声をかける。

「なんで、ダンゼンを知っているんですか?」

「な、何を。マルクさん、貴方はどこから入ってきたのですか?」


副支部長は顔を歪める。会長は俺の後ろに隠れている。

「普通にドアからですよ。副支部長殿、会長を連れてきました」

「な、会長?」


「ああ、どういうことかな?私が聞いた報告にはダンゼンという名はないけど?」

「さっき聞いたのですよ。リッキーが言っていたのです」

「言ってねえ」


「言いました」

「ほう、そうか?」

「ええ、リッキーが言ったんですよ。会長」


会長はこっちを見る。

「そうですか、不思議ですね。副支部長殿、ダンゼン小隊長のことは王宮には言いましたが、あの場では騎士隊ということしか言ってないです。ですから、俺以外のあそこにいたメンバーはダンゼン小隊長の隊とは聞いてないですね。あくまで、騎士と代官と村人が組んで嵌めたと言いましたね」

「な、な、いや」


「そうかい、シオル君、じゃあ、どういうことかな?」

「ええっと」


「あ、ちなみに、ダンゼンの息子は処刑決定です。ダンゼンも処刑で決まりましたよ。副支部長殿」

「な、ありえない。だって騎士団に話が来たら、ダンゼンが解決すると」

「あら、自白ですか?」


「ああ、自白だね。マルク。どうするのかな?」

「ええ、リッキー、捕まえて。会長はどうします?王宮に説明に行くことをお勧めしますよ」

「そうしなきゃね。仕事がまた増えたよ」

「ご愁傷様です」


「簡単にいうね。忙しいのに」

「その忙しさにかまけた結果がこれでは?」


「あ、そうだね。一本取られた。しょうがないから、あの子を支部長にしようかな」

「誰を?」


「ああ、前にここにいた冒険者でね。他のところで協会職員をしているんだ。私の息子だよ」

「へえ、なんだか、嫉妬を受けそうですね」

「ああ、だから、他のところに出してたんだけどね。仕事はできるからね。まあ色々と言われるだろうけど、しょうがないかな」


「そうですか。じゃあ、王宮に行きましょうか?」

「ああ」

そして、もう一度王宮に行き、事情を話して、副支部長を渡した。会長は残り、王宮に説明をするので残り、俺は帰った。今日のキャンセルに伴う報酬は明日以降にもらえるようだ。



「ただいま戻りました」

「お帰りなさい、マルク。早いわね」

「ええ、色々とありまして」

「あら、何があったの?」

「はい・・・」


今日の出来事を説明した。母上は最初、あらと言っていたが、徐々に雰囲気が怒ってらっしゃるとわかる。

「それは酷いわね。ガルドがいい仕事をするわよ」

「だと思います」


そして、アランと遊ぶ。

「まうく、まうく」

「ああ、 アラン、遊ぼうか」

「ワンワン」


「ああ、ワンワンがいるね。ワンワンが好き?」

「うん。ワンワン。」

「そうか。ワンワンで遊ぼう」

と、犬のぬいぐるみで遊んだ。俺とアランは2つの犬のぬいぐるみで追いかけて遊んだ。



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