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冒険者 トラブル①

俺は学院を卒業してから、毎日、冒険者として頑張っている。朝に訓練をしてから、冒険者協会の会館に来て、そして、依頼書を見て、良い依頼書がなくても毎日、依頼を受けて、それを完了させて帰ってくる。


これを6ヶ月間月一回の休み以外は毎日、一日も休まず、行って来た。そして、Cランクに上がることができた。それからも頑張っている。冒険者協会会館では、冒険者協会の掃除屋と言われている。良い依頼でなくても、どんな依頼でも完了させてくるためだ。


そのため、冒険者協会の信頼は厚い。残ってしまいがちの依頼を俺が受け、完了させて帰ってくるからだ。


しかも、貴族の出にもかかわらず、態度が良いと冒険者協会の会長が褒めてくれる。王立冒険者協会の会長は王都の支部の支部長も兼ねている。


最近、一歳と少しになったアランが訓練を見学する。彼は訓練を見るのが楽しいようだ。俺はいつもどおりにゼルと訓練して、今日も冒険者協会の王都会館に行く。


「うーん。これか。うん?ゴブリンの巣らしきものがあり、それの討伐、ゴブリンの数およそ15匹。Cランク以上の5人パーティが2つ以上を希望する。かあ」

「よお、マルク、今日も掃除か?」


「ああ、ライアン。そうしたいがパーティー専用なんだ」

「あ、ああ。ゴブリンの巣らしきか。それ、俺らはパスしたぞ」


「そうか。ゴブリンの巣らしきじゃな。こういう依頼は受け付けでもっと調べないと誰も受けない。俺なら一人でも行けるけど、パーティーだからな」

「ああ、お前も組めよ。お前がリーダーならCランク登録できるだろう」


「ああ、シンディーからも誘われているが、いまいちピンと来ない」

「なんだかなぁ。俺はお前がここで一番強いと思うが、パーティー用の依頼をできないからCランクだぞ。早くAランクになれよ。新英雄。王都民は皆、待ってるぞ」


「おい、ライアン。新英雄はよしてくれ。学生時代の通り名は冒険者として言わないって決めてるんだ。それにまだ英雄と言われるには遠いよ」

「そうか?少なくとも、王都の周りの村にはお前に感謝しているところなんて、山ほどあるぞ。ここ半年で解決した依頼が200を超える冒険者なんてマルクぐらいだろう。しかもどれも放置されてしまうものだ。さすが掃除屋だよ」


ライアンと話して、受け付けに行く。ライアンは俺が仲良くしてもらっている先輩冒険者だ。先輩だが、敬語は嫌いとかで、あんな風に話している。たまに。パーティーに参加させてもらっている。パーティー名は王国の迅雷だ。リーダーが雷魔法好きの魔術師だから。ライアンは前衛で、サブリーダーだ。


「おはようございます、レネさん」

「おはようございます。マルクさん」


「これを受けたいけど、他のパーティーはどうですか?」

「ああ、疾風の戦士が受けてます。あと1つを探しているんです」


「ああ、リッキーのところか。それならリッキーに入れてもおうかな」

「わかりました。リッキーさんのところは7人ですので、2人借りて、サンゼルさんとヤイさんを誘われたらどうでしょう?」


「うん、そうします。サンゼルとヤイは?」

「あちらに」


「ありがとうございます。レネさん」

「はい」

レネは3歳年上の受け付けさん。歳が近いので、俺はレネさんを専用受け付けにしている。


「やあ、サンゼル、ヤイ」

「ああ、おはよう。マルク」


「あ!?ああ。マルクか。なんか用か?」

「サンゼルはいつも通りだね。うん。用だよ。これ受けたいけど、パーティーってのがね。だからサンゼルとヤイを誘って、リッキーのところが受けてるらしいから、10名になればいいかな?って寸法だよ。2人は依頼受けてる?」


「いや。まだだよ。マルク」

「ああ、いいのが無くてな。パーティーばっかだ。まあ、その依頼は少し不気味な感じもするが、マルクと一緒なら大丈夫だろう。いいぜ」


「そうか。サンゼル、いつも言ってるけど、朝の機嫌の悪さを直した方がいいよ。サンゼルはいい奴なのに、それで完全に損してる」

「そうだよね。マルクも言っているけど、サンゼルは治らないよ。」

「ああ?そんなにか?」

「「そんなに」」


そして3人でリッキーのところへ。リッキーは7人で動くパーティーで、4人がベテランで、3人が新人というパーティーだ。リッキーらが面倒見がよく、新人を入れて、教育している。


新人は育つとパーティーを卒業して、新たなパーティーを組む。そんなリッキーのところを卒業して組んだパーティーがさっきのライアンのところや、誘ってくれているシンディーのところだ。


「やあ、リッキー。この依頼を受けるんだって?」

「ああ、マルク、お前もうちに入って、受けるか?」


「ああ、で相談だけど、俺が今回の依頼を受けるために臨時パーティーの、王国の風をするんだけど、2人貸してくれない?」

「ああ、そういうことか、巣に着くまでか?」


「ああ、そう。巣ではそっちに戻っていいよ」

「で、そっちのメンバーはいつものサンゼルとヤイか」

「そう。どう?」

「ああ、いいぞ。3人とも腕が立つ。Cランクらしい強さを持つし、安心だ。それにその契約ならこっちも助かる」


ちなみに、こういう他のパーティーやソロの者らと組んで足りない人員を補うように臨時パーティとするのはギリギリで協会のルール内だ。臨時パーティーというルール、パーティーの参加、脱退の自由というルールの範囲内だ。


あくまで、冒険者協会がわざと見逃しているという感じだけだし、組む相手によるところもある。誰でもこんなことをするわけではない。他の全てのパーティーがソロを入れたり、臨時の嘘パーティーを組むのを了承するわけではない。相手の了承なしにはできない。


今回のようなこと以外にもポーターと呼ばれる運び屋を入れたりと皆色々としている。それでも信頼しているものだけ。今回もリッキーと俺やサンゼルらが信頼関係を作れているから成り立つ。


だから、今回の俺らのことを文句言う者は冒険者にはいない。そうじゃないとやりたくない仕事を指名される可能性もある。


協会も今回のようなことは見逃すのが通例だ。じゃないと依頼がたまるし、王都近辺の村が困る。


「じゃあ、登録してくるよ」

「ああ、じゃあ、登録したら、門で落ち合おう」

「わかった」


と、リッキーらと別れて、受け付けする。その後に門へ行く、その前に必要そうな、マナポーションだけはあるか調べておく。それと火をつけるランタンだ。巣はくらい。大丈夫か。うん、大丈夫だ。


「2人とも大丈夫?」

「ああ、ランタンもマナポーションも、武器も大丈夫だね」

「俺もな」


「そうか、じゃあ、門に行こうか」

「ああ」

そして門でリッキーたちと組んで依頼の村に行く。


村に着くと、こっちを見て門兵は呟く。

「なんだ、何の用だ?」

「依頼を受けに来た」


「ああ、冒険者か。盗賊崩れか旅人だと思ったぞ。そんな感じなら村に入れんぞ」

「ああ?」


怒るサンゼルをなだめ、ヤイが門番と話す。

「サンゼル。ええっと。その態度はそっちが断るって事でいいですか?その場合はキャンセル料を冒険者協会に支払うことになりますが」

「あ?」


「ちなみに彼はマルク・フィン・ドンナルナ、名誉騎士で一応貴族籍も持つ冒険者だよ。普通は貴族籍はなくすんだけど、彼は特別だよ。失礼があったら、処刑もあるよ。気をつけて」

「な、な。すみません。どうぞお入りください」


こういう対応は多い。冒険者の評判は特段に悪い。王都の冒険者はまだマシで。他の国や他の地域の冒険者は酷い。たまに来る地方の領地出身者や商業都市国家群の冒険者がだいたいは問題を起こす。


そのため、王都支部では先輩が新人を厳しくも優しく指導する。言葉遣いくらいは許されるが、依頼者と問題を起こすのはご法度となる。


今回のようにこちらに非がないのに不当な扱いを受けた場合は相手に言って、あっち側から解除させる。あっち側は既に払った着手金をキャンセル料として支払うことにする。


だが、それが二回以上続いた場合は冒険者にもペナルティーがつく。また、相手方にも弁明権がある。


今回は明らかに注意依頼のため、先程のヤイの言いようでも、問題ないと言われている。なぜなら、最初から問題あるかもしれないが引き受けたのは冒険者協会で、それをこちらが引き受けただけだ。


だから、俺らが現地で問題があり断った場合は冒険者協会や騎士団の調査が入り、調査して酷かった場合は冒険者協会は今後この村の依頼は受けないようになる。


王国、領主としては、冒険者がいる事で、軍の出動を減らせるし、今のように戦時を想定される場合は特に兵は出せないので、細かな日常の魔獣対策は冒険者に任せている。


故に、冒険者協会各支部が、酷い依頼を解決した又は依頼を受けないという状況になったら、村を調査するという一定の配慮を国や領主がしている。このため、冒険者が簡単には仕事を断らないし、王都に冒険者がいる。そのおかげで王都民や王領の日常が守られる。


まあ、それでも甘い依頼受けが最近目立つので、王都を離れるかと言っている冒険者も増えてきている。今回がいい例だ。協会長が忙しく、副支部長が運営をしているためだ。


「じゃあ、マルクと俺で村長に会って来る」

「ああ、わかった」


「サンゼルとヤイ、インゼ、レオ、街の調査は頼むな」

「「「「ああ」」」」


「じゃあ、マルク、行くぞ」

「ああ」


俺とリッキーは村長に会い、依頼内容と状況を確認する。戦時でなければ騎士団が出るかもしれない案件だ。


「入る。村長はいるか?」

「ええ、私が。冒険者の方らで?」


「ああ、王都から来た冒険者パーティーの王国の盾リーダーのリッキーだ。こっちは」

「王国の風リーダーのマルクです。どちらもcランク以上のパーティーです」


「そうですか。そちらはわかりますが、その若い方も?」

「ああ、お主も新英雄といえばわかるか?」


「ええ、ラルク・フィン・ドンナルナ様のお子様で、新たな英雄と言われるマルク・フィン・ドンナルナ様でしょう」

「彼は、そのマルクだ」


「あ、あ。申し訳ありません。マルク・フィン・ドンナルナ様」

「ああ、今は冒険者のマルクだから気にしないでください」

「ありがとうございます」


「で、依頼についてお聞きしたいのですが」

「ええ、実は先日、街道沿いの森でゴブリンの群れに村人が襲われました。数は8匹ほど。王都にお願いしたのですが、聞いてもらえず、で冒険者協会に出そうと」


「そうですか、数が15匹くらいとなっていますが、何故その数と?」

「はい、住処を見つけ、村人が監視しましたところ、数は15匹くらいとなりました。一日中見ていたので、あってるかと」


「そうですか。監視した村人にお会いできます?」

「はい、呼んで参ります」


その後に呼ばれた村人に聞いたところ、全く同じ話だった。きな臭い。じゃあ、なんで巣らしきものなんだ?あと、そんな位置にあるゴブリンの巣を騎士団を動かさないとは思えない。少なくとも騎士団が動くかもという話が聞こえてくるはず。おかしい。


「わかった。とりあえず、皆と相談し、どう巣を潰すか話し合う」

「お頼み申し上げます」


「マルク」

「ああ、あっちがどんな情報を得ているかだね」


「そうだな。しかし、何でこんな依頼を協会は受けているんだ?」

「ああ、副支部長だろうな。あいつはヤバイかもな」


そして、サンゼルたちと合流する。

「どうだ。サンゼル、インゼ」


「ああ、ヤバイ臭いが一杯する。ゴブリンの巣なんて見てないってやつがいたぜ」

「私も聞いたわ。何人かいるわ」

「怪我人について聞いたけど、いないって。おかしいね」


「ああやっぱりか。今回の話は街道沿いの森にゴブリンの巣があるって言っていた。しかも怪我人がいると。さらに村人で巣を監視したとよ。あり得ねえな」

「ああ、これは裏があるよ」


「ああ、ヤイ。サラ、新人共は大丈夫か?」

「ええ、問題ないわ。あそこでレオがまとめているわ」

「そうか、俺は諦めるべきだと思うが」


「ああ、そうだね。どう、ヤイ、サンゼル?」

「ああ、やめよう」

「うん。命あっての物種だよ」


「一応、帰りに街道だけは見ておこう」

「ああ、そうだな」

こうして、俺らは今回の依頼を諦めることにした。これはヤバイ。で、村長のところに行く。


「すまない。入る」

「はい。で、いつ頃、退治してくださりますか?」


「いや、すまない。今回は無理だ。こっちのスペックを超えている。俺らで王都の騎士団に説明して、来てもらおう。金は返ってくる」

「それは困ります。代官様に怒られるんですよ」

「は?」


「きゃー」

「くそ」

「リッキー。行くぞ」


「行かせませんよ。こっちは命がかかっているんですよ」

「そうかい。じゃあ、死ぬな」


「ここは行かせてもらいますよ」

「何を、この人数に」

1、2・・・。7人か。舐めてくれる。たった7人の村人で俺らを止める気か。


俺は短槍を持っている。最近は大きな場所ばかりでないためだ。一気に突く。そして一人が倒れる。そして次は切りおろしからの切り上げで、3人目を倒す。


そして、今度は突く。これで終わり。リッキーが3人を倒していた。リッキーは片手剣だからこういうところでは強い。


そして、村長宅を出て、広場に行く。村人と兵に囲まれているが、みんなが奮闘し、新人たちを守っている。


「マルク、行くぞ」

「ああ」

「よっしゃ、オラー」

「ああ、オラー」


敵は24人だ。俺とリッキーは一気に突っ込む。それで陣形が崩れたところにサンゼルとヤイが数人を倒す。そして、俺とリッキーは反対周りに倒して行く。


すぐに片付いた。ヤイは戦いに入ると人が変わる。本人は獣人とのクオーターだからと言っていた。獣人は脳筋が多めだが、多分ヤイが特殊だ。


帰るか、代官を調べるか?

「リッキー、どうする?」


「うーん。難しいなぁ。代官が敵となると、何かしてくるか?」

「ああ、まあ、なんなら、騎士団に行く?」


「ああ、それがいいか」

「そうだね」

そして、方針が決まった。帰ろう。


本日昼は3話を投稿します。

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