世界情勢
マルクが卒業直前に、世界情勢は大きく動いた。ついにランブルがリブルを倒し、魔族統一国家であるランブル魔王国となった。
それから3ヶ月後に勢いそのままに聖国へ侵攻を目指す。
しかし、聖国は異世界の人間を勇者召喚という手で呼び出し、これに対抗した。召喚した人数は5人。一人を除き、過去最強の勇者たちだと評判になる。
彼らは聖国と帝国が協力しながら密かに勇者として育成され、ランブルの侵攻に投入された。
勇者の力は凄まじく、まさに一騎当千。一人で戦場を覆す存在だった。スキルが凄まじいと聖国から流れてくる噂にはあった。この世界最強のスキルだと噂が世界の国々を駆け巡った。
戦況は小康状態に入り、睨みあいの様相を呈している。世界は今、緊張の時を迎えていた。
対して、王国内では、ランブルの戦争が聖国側に行ったことで国中が安堵しており、経済の好調さは引き続き、学院同士の交流や魔法賞の結果で新たな民間の魔法研究所や魔道具研究所などができ、技術改革真っ最中であった。
帝国や聖国はこのことにいちゃもんをつけるも、技術の独占状態の王国に国力で徐々に差をつけられて、世界の力バランスは確実に王国に傾いており、商業都市国家群や小国国家群などは王国側の態度を取り始めるようになった。このことで、帝国と聖国は確実に国の傾国へと進んでいた。
そんな中で勇者の存在が発表され、聖国側につくか、王国側につくかで世界が二分される形となったが、実際には王国側に流れるものが多い。その中でも帝国の皇弟の側による反乱が顕著で、対する皇帝側との溝はもう消せないほどとなり、帝国は騒乱へと進んでいった。
帝国が二つに割れる。そうだれもが思っていた。
魔国側でも有角族国家ラムオレに対するランブルの態度は厳しいものがあり、人族との戦争に参加せよと何度も通達があった。しかし、ラムオレはそれを拒み続けた。王国とは協力をでき、友好を育んでおり、同様に獣人族国家とも。
しかも、ランブルは、リブルがランブルに上から目線で命令してくるのが邪魔という理由で同族国家を攻めた。これには有角族を名乗り、民族が違うと言い、二国と離れたラムオレでもランブルに嫌悪感を示した。そのため、再三の要請という命令に首を振らずにラムオレとランブルの間には緊張感が走っている。
アルフら王国軍はラムオレの南西のレオサード領の都市の近くに要塞を築き、そこを拠点にラムオレ側にも要塞を築いて、駐留していた。軍には有角族への差別、暴力、掠奪を許さないという軍規が作られた。これに有角族は安堵と信頼を寄せ、軍は軍規を侵そうとした者を厳しく取り締まった。
同様に獣人族国家も王国が築いたラムオレ側の要塞に入り、いつでもランブルの侵略に対応できるように待機していた。ここでも獣人族国家軍、王国軍ともに私闘や差別を禁止したため、お互いに友好的に過ごしていた。このことが三国の同盟を強固なものへと変えた。
そんな中でマルクは冒険者になり、新たな道へ進んでいく。




