卒業
それから3ヶ月後
俺の卒業式の日だ。俺は制服に着替え、学院に行く。俺は答辞をしなくてはいけない。
俺は父上と母上と学院に来て、門で別れ、2年生の時の教室へ行く。三年生はクラスがないため、2年生の時のクラスを暫定的に使う。
「おはよう、レオナ、マーク、ルーナ、ルーイ、アレス」
「「「「「おはよう、マルク」」」」」
「今日で卒業だね。長いようで、短い学院生活だったよ」
「ええ、そうね。答辞、頑張ってね」
「ああ」
「はい皆さん。お久しぶりです。それでは卒業式会場に向かいます。誘導は1年生がしてくれます。そちらについて行ってください」
「「「「「「はい」」」」」」
俺らの先導はリンゼルだ。
「やあ、リンゼル、おはよう」
「おはようございます。マルク先輩」
「誘導よろしくね」
「はい」
そして、卒業式会場に入る。席に座り、式が始まった。その後、名前を呼ばれ1人1人が卒業証書を受け取って行く。
そして、リルニアが送辞を話した。ついで、答辞として俺の出番だ。
俺は席を立ち、壇上に向かう。ああ、入学式は成績はトップだが首席にはできないと言われたな。職員さんには申し訳なかった。
そして、その後は色々とあった。魔法学の先生と揉めたり、貴族派の嫌がらせにあったり、ルーナを救ってもらうように父上に頼んだり、シグルソン教官にしごかれたり、部活作ったり、サリー先輩と揉めたり、ああ、あれは卒業式だったな。
アレスの領に行ったり、辺境伯領に行ったり、カリウス先輩が戻って来たり、生徒会長にもなった。思い出すな。
「答辞。
私たちは本日、卒業いたします。多くの方に見送られて、この学院を卒業できること、心より感謝申し上げます。父、母、に見守られ、学院に入学した日が昨日のように思い出されます。
先輩方に教えを受け、先生方に支えられて、同期と競い、友として相談しあいながらここまでやって来ました。今日という日を迎えられたのは一人ではできませんでした。この王立学院で良き友、素晴らしい先輩、後輩、先生方がいらっしゃったからこそ、今日という日を迎えることができました。
私はこの答辞で言いたいことがあります。私たちがいる間に学院は大きく変わりました。しかし、それは決して一人の力ではありません。多くの学生が望み、変えようとして結果です。先輩方の努力、在校生の日々の積み重ねです。未来はそう変わりません。だからこそ皆が英雄になり変えるのです。一人一人が努力して全員が英雄となった時に未来は変わります。どうか皆さん努力を忘れないでください。そして積み重ねこそがこの学院の伝統です。それを忘れないでください。
もう一つ言いたいことがあります。私たちが今日、こうして無事に卒業できたのは両親に支えられて来たからこそと思います。この場をお借りして、両親に感謝を述べさせてください。今の私がいるのは全て父上と母上がいらっしゃったからです。本当にありがとうございます。
そして今日まで関わった全ての方に感謝を申し上げます。ありがとうございました。
卒業生総代 マルク ドンナルナ」
万雷の拍手が会場を包む。父上と母上が涙している。ああ、やっとスタートを切れる。
そして、俺は壇上を降り、席に着く。そして全てを終えて、俺ら卒業生は式場を出て行く。拍手鳴りやまぬ中、皆一同に笑顔で泣いている。これが卒業式か。卒業とは嬉しいが、寂しいなあ。涙が止まらない。
父上と母上の下へ
「父上、母上、今日までありがとうございました。これから私は大人として働くことになります。これまでは苦労をおかけし、心配ばかりをさせてしまいましたが、これからは一人の大人として頑張りますので、これからも暖かく見守りください」
「ああ」
「ええ」
「マルク様、立派になられて」
「ありがとう、ゼル」
ゼルの目にも涙。
そして父上らに挨拶を終えて、俺は部室に行く。
「「「「「「「先輩、卒業おめでとうございます」」」」」」」
ああ、また涙が。
「マルク、泣くの早いわ」
「ええ、早いです」
「レオナも、ルーナも泣いてるじゃないか」
そして、皆がお祝いの言葉をくれる。今日という日はきっと忘れられない日になるな。いつか、お爺さんになったら、笑ってみんなとこの日を思い出したい。
「じゃあ、みんないい?」
「ああ」
「先生方、これは俺らからの感謝の手紙です。先生方、ありがとうございました」
「「「「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」」」」
「後輩のみんな、これは俺らからの部への感謝のプレゼントだ。みんな、ありがとう」
「「「「「「「「「「「「「「ありがとう」」」」」」」」」」」」」」」
全員が涙した。シグルソン教官の目にも涙が。
「こんなにいいものをもらった卒業生は初めてです」
「ロドリス先生」
「マルク君、レオナさん、皆さん、卒業おめでとうございます」
「うん、なんて嬉しいプレゼントなの。先生になってよかったわ」
「レア先生」
「ルーナさん、マルク君、みんな、ありがとう。そして卒業おめでとう」
「ふむ。馬鹿者が。どうせマルクだろう。う、う」
「シグルソン教官」
「マルク、アレス、マーク、ヨークス、ルーイ、レオナ、ルーナ、お前らは俺の最高の教え子だ。俺はお前らに恥じぬ生き方をする。お前らも頑張れ。卒業おめでとう」
テオとルーナが涙で抱き合う。レオナとリルニアが涙で抱き合う。
「マルク先輩」
「ケビン、今日はありがとう」
「先輩、俺は強くなります。先輩に教えてもらったこと、導いてもらったことがありすぎて何も返せていませんが、強くなって、夢を叶えます。だから見ててください」
「ああ。ケビンはできるよ。頑張れよ」
「はい」
「マルク兄上、卒業おめでとうございます。居なくなるのは寂しいです。でもいつでも会えますよね?」
「ああ、王都にいるよ。いつでも会いに来てくれ」
「はい」
「マルク先輩」
「やあ、リンゼル」
「先輩のおかげで、間違えずにすみました。先輩から教わったことは多くて。本当にありがとうございました」
「リンゼル、間違えてもいい。でも気付いた時に立ち止まる勇気が必要だよ。俺は正しい道を歩きたいと思う人をいつでも応援する。何かあれば相談しろ」
「はい」
「先輩、生徒会は任せてください。私頑張ります」
「リルニア、大丈夫だよ。リルニアはちゃんとできてるし、これからもできる。信じられるからリルニアを推薦したんだ。肩肘はらずに、リルニアらしくね」
「はい」
「副部長」
「テオ、副部長はとっくに引退しているよ」
「そうでした。俺にとってはマルク副部長はいつでも副部長で。尊敬する人です。一生で最も尊敬する人です。変わらないでください。マルク先輩はいつでも俺の目標ですから」
「ああ、じゃあ、テオの目標で居られるよう頑張るよ」
「はい」
そして俺ら卒業生は訓練場を出る。ここには何度来ただろう。思い出は幾らでもある。忘れない。忘れられるはずない。ああ、ありがとうございました。
「マルク、この後はどうする?」
「ああ、アレス。あの店を予約しているよ」
「ああ、あそこ」
「ああ、シューガルドだ。一年の一学期の終わりに行った」
「ああ、懐かしいね」
「おい、シューガルドって予約取れているのか」
「大丈夫。ルーイ。俺を誰の息子だと思っているの?」
「そうか。リネア様の」
「そうだよ。ルーイ。ルーイも知っているのに。最初、マルクは知らなかったんだよ」
「嘘だろ。リネア様と言えばのエピソードだろ」
「そう、誰の息子だと思っているとか言っていたのに、本人は教えてもらうまで知らなかったんだ。それを教えて予約してもらって、行ったんだ」
「マルクらしいな」
「ヨークス、全くだよ」
「本当にあの時は呆れたわ」
「そうだろうな。リネア様の子なのに一番有名なエピソードを知らないとは」
「そう。言ってやってよ。マーク。この天然に」
「まあ。マルクだからな」
「本当にその言葉です。マーク」
「そうだなルーナ」
「ははは、マルクらしい。マルクだからしょうがない。ははは」
「ルーイ笑いすぎだ」
こうして、学院を出て、シューガルドでみんなで卒業祝いをして帰った。
学院編は終了して、冒険者編へ入ります。明日は投稿をお休みします。




