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学院対抗戦

今話は長い話です。すみません。


6日後


俺は朝から、学院対抗戦のために闘技場に来ている。そして、各学院の生徒会長である。マイル先輩とサリー先輩と打ち合わせをして、そして他の学院の生徒会と打ち合わせをして、そして陛下らをお迎えして、始まる。


リーゼのアナウンスが

「本日お越しいただいた皆様、これより、学院対抗戦を始めます。まずは、陛下のご登場となります。お立ちいただき、礼をお願いします」

「陛下、御成〜」


「うむ、頭を上げよ」

「「「「「はっ」」」」」」

「頭を上げよ。今日は多くの国民が見る会じゃ。無礼講である」

「「「「はっ」」」」」


「それでは開会に伴い、まずは陛下より御言葉を頂きます」

「うむ、儂は今日という日を楽しみにしておった。今年より、王立学院生徒会長マルク・ドンナルナの提案で、学院対抗戦を行うと聞き、各学院の垣根を取り、お互いに刺激を得て、各学院生がより成長できる機会ができたと思う。このような機会を作った騎士学院、魔法学院、そして王立学院の各生徒会長には褒めてつかわす。誠に見事」

「「「はっ」」」


「そして、参加してくれた生徒よ。各学院の誇りと、各学院の生徒の努力を多くの者に見せるために今日は全力で頑張れ。今日のお主らを見て、多くの者に未来を明るいと思わせ、そしてまだ学院に行かぬ子供らに夢を与えよ」


「「「「「はっ」」」」」

「うむ。期待しておる」


「陛下、素晴らしき御言葉をありがとうございます。では続きまして、生徒会長を代表して、この度の対抗戦を提案した王立学院生徒会長、マルク・ドンナルナさんに始まりの挨拶をもらいます。では、マルク王立学院生徒会長よろしくお願いします」


「ただいま、ご紹介頂きましたマルク・ドンナルナです。本日は魔法学院、騎士学院、王立学院の三校で対抗試合をします。各学院の強さの種類は異なるかもしれません。ですが、それぞれが自身の成長を、学院の努力を多く方に見せることができれば、陛下がおっしゃられた通り、きっとこの暗い情勢で多くの方の希望となりましょう。どうか皆様、頑張ってください」

「「「「「はい」」」」」」


そして、学院対抗戦が始まる。最高、計15戦となる試合数は数時間に及ぶ。騎士学院は二連戦となるが、そこはハンデと認めてもらえた。


最初の試合は騎士学院対魔法学院の対決だ。騎士学院は先鋒がジュライ先輩、次鋒がジンダ先輩、中堅がリック先輩、副将がクリス先輩、大将がリオル先輩だ。魔法学院は知らない先輩だが、勝負になればいいが。勝負が始まると魔法学院はかなり善戦した。


騎士学院が4勝1敗だった。明らかに不利な条件を受け入れてくれたと思ったら、スキルを完璧に使った魔法の使い方が上手かった。しかも、魔法理論とのハイブリッドだ。驚いた。それでも魔術師の対人の弱さで負けた。陛下は機嫌が良かった。


魔法学院は完全に不利なため、全敗というのが戦前の予想だけに今回の魔法学院の結果は皆を驚かせると共に、感動させた。


そして、騎士学院対王立学院の試合だ。

「マルク、騎士学院は強いぞ。言っておくがこのまま勝負を決める」

「ええ、強いですね。それどころか、魔法学院も強い。正直言えば、上位学院の壁は高いですね」


「ああ、ここ数年の上位学院はレベルが高い。それは王立学院に負けられるかというのが理由だ。まあマルクのおかげだ」

「そうですかね?」

「ふふ。そうなのよ。魔法学院なんか、魔法だから、もうそれは影響受けているわ。だから王立学院には負けたくないってね」

「そうですか、厳しいなあ」


「まぁあ、これは俺たちにも、魔法学院の生徒にも、そして王立学院にもいい機会になるし、それ以外にもこれを機会にもっと交流しようとなる」

「そうですね」

「ふむ、いいのお。全学院に影響があれば、国は安泰だ」

「「「陛下」」」


「うむ、楽にせい。魔法学院生徒会長のサリエよ。魔法学院は素晴らしい。この不利な状況で良く頑張った。儂は嬉しいぞ。王国に魔法学院ありだな」

「はっ、ありがたきお言葉」


「そして、マイル、マルクの2人よ。この対抗戦が契機に学院制度が良くなるだろう。そうなればお主らの功績も大きい。よく頑張った。これからの試合期待しておる」

「「はっ。ありがたき御言葉」」

「うむ」



そして、少しの休憩後に試合が始まる。

まずは先鋒戦、騎士学院はジュライ先輩、王立学院はマークだ。ここもよくやり合っていた前衛の重戦士型の戦いだ。攻守両方に優れた非常にバランスの良い前衛型だ。パワー対パワーだ。


試合が始まるとお互いのパワーが拮抗した。お互いのパワーがぶつかり合う。好試合となった。ジュライ先輩も硬化で守備を強くし、守りながら、一撃必殺を狙う。さらにあれは剛力か。すごい力で一気に攻撃する。


うわ、地面が凹む。そしてまた狙う。マークは力で対抗するために、さらに技量で勝負に出る。


うまく相手の攻撃をいなし、スキルを使わせてカウンターを狙う。徐々にハマり出してきた。ただジュライ先輩には一撃で終わらせる力がある。巧さか一発かだ。


何度も攻撃しては一撃を避ける。マークも一撃は身体強化とそれの進化で得た剛力を加える。今のマークは剛力、硬化、疾駆だ。


マークの技量が少しずつジュライ先輩を上回り、徐々に押していく。ジュライ先輩はパワーにこだわりすぎている。少し自分の道にこだわったかな。結局はマークの技量がジュライ先輩の力を超え、勝負はマークの勝利となった。



次鋒はジンダ先輩対ヨークスだ。どちらも前衛だが、タイプが違う。ジンダ先輩はタンク型、硬化を使い、とにかく攻撃を凌ぐ事に強みがある。そしてジンダ先輩には剛力だ。ヨークスが巧い攻撃で攻略するか、ジンダ先輩がその硬さと重みで耐えきり、剛力でカウンターを決めるか。攻めか守りかだ。


試合が始まるとヨークスが攻める。鋭い攻めで一気に攻める。しかし、ジンダ先輩は硬い守りで守る。その戦いは一見すると一方的に見えるが、中身は一進一退だ。どちらも強みを生かし、勝負する。


ヨークスは右に、左に。またスピードを変え、ジンダ先輩の隙を見つけて打つ。しかし、ジンダ先輩はその隙を即座に消し、防ぐ。攻撃はヒットしているようで、軽い。これが続く。


試合は長い試合となった。お互い一歩も引かない甲乙つけがたい渋い一戦は精も根も尽きるまで続いた、結局はジンダ先輩が耐えきった。ヨークスは打ち負けした。



そして、中堅戦だ。これはリック先輩対ケビンだ。去年の学院祭の再戦だ。リック先輩は無拍子で有名になりつつあり、最近は音なき戦士と呼ばれ始めているとか。騎士学院は時たま、王都民の前でランク戦をするため、通り名がつきやすい。


ケビンは魔闘による速さを中心に、巧さを兼ね備える。スピード型の巧者だ。力が発揮できる状況ならば、学院武闘会ベスト4の力は十分にあるし、マークにも勝った強さを持つ。冷静に勝負を運ぶことができるか。経験で負けるだけに冷静さを欠かないようにしたい。


試合が始まる。ケビンはゆっくりと間合いを詰めるタイミングを狙う。何せ無拍子はリック先輩以外ではほぼ見たことないスキルで、タイミングが全く掴めない。カウンターなどで向かい打つには相当な技量やスピードを要する。去年もケビンが無拍子で負けている。


ケビンが間合いを詰めようとすると、リック先輩が無拍子を出そうとする。ケビンは飛び込めない。しかし、リック先輩も飛び込めばケビンの魔闘のスピードの乗った突きが来る。間合いが遠いとスピード勝負で負ける。簡単には飛び込めない。


間合いの取り合いは激しさを増す。動かない、動けない両者、一瞬の時に勝負は決まるな。冷静さを失くした方が負ける。焦れて突っ込めば負ける。だが、両者共に強者だ。そんな簡単なことはしない。


悠久の時が流れるかに見えた。しかし、その時は来る。咳払いを観客がする。その音が一瞬の間を作る。その瞬間に両者が動く。ケビンは魔闘を足と手に覆い、動く。リック先輩はスピードを上げる。何かスキルを使う。


そして、リック先輩は前に行くと見せかけて、後ろに下がった。そして、それに吊られたケビンが突きをするのを見て、間合いを完全に測り、無拍子で迎え撃つ。


ケビンは突っ込むも避けられる。そして無拍子の攻撃が来る。しかし、ケビンは腕に纏わせた魔闘で防ぐ。巧い。これが魔闘を腕に纏わせた理由か。


しかし、リック先輩はそこから連撃に入る。ケビンは完全に間合いを外されているため、守りに徹する。状況が最悪だ。それでも守る。観客は応援をこれでもかと声を上げ始める。


攻めるリック先輩、耐えるケビン、ケビンが巧く連撃を抜け、間合いを取る。よく抜けたな、ケビン。観客も息を吸う。その瞬間だったリック先輩が間合いをもう一度詰めて、無拍子による攻撃をした。これにケビンは対応できずに負けた。


勝利は一瞬で動いてしまった。経験の差が出た。瞬間的に勝負所を見抜いたリック先輩と呼吸をして間を置いてしまったケビン。その差だ。相手が悪い。


リック先輩と相性が悪い。巧者のリック先輩よりジンダ先輩やジュライ先輩なら勝てると思う。ケビンがリック先輩に勝つには経験が必要だ。技量や速さではない。



そして、副将戦だ。クリス先輩とルーイだ。今年ケビンと共に最も伸びた1人がルーイだ。今までは俺らの代で5番手と言われ続けた。それでも諦めずに自身の強さとスキルと向き合い続けたのがルーイだ。


未来予測はとにかく最強のスキルだよ。さすが、入試ではヨークスのグラビティソードと首席を争ったスキル、アクセラレーションだ。


その進化系である、未来予測はルーイ曰く、頭の回転を加速させ、数多ある可能性を知り、その中で最も高い可能性の手を知るスキルだ。思考加速と言える。アクセラレーションの進化と言われても変ではない。


対するクリス先輩は今、そのイケメンから、また万能さから万能の貴公子と言われる。とにかく万能さで騎士学院ランク2位に登りつめ、リック先輩と並んでいるとか。すごいと思う。


クリス先輩が自身で言っていたが、最初はジュライ先輩やジンダ先輩、ラックス、リックス先輩よりも弱いと言われていた。


それが長く厳しい努力で、逆転し、その世代ナンバー2まできた。リオル先輩を抜けば、一位だ。凄いことだよ。今や服を脱ぐと、その体は鍛え抜かれた、余計なもの全てを削った最高の体をしている。それは努力以外では作れない体だ。


そんな2人の戦いだよ。最高のスキルを持ったが、世代の壁でもがいた男ルーイと、最弱と言われながら、這い上がってきた男クリス先輩だ。この2人の戦いは心を熱くする。実践戦闘研究会の面々は応援に熱がこもる。そして騎士学院の面々も野太い声でクリス先輩を応援する。



戦いが始まる。試合はスピード型のルーイには珍しいゆっくりとした始まりだ。クリス先輩は緩急、虚実を上手く使うタイプだからわかる。スキルは鷹の目だけだが、それがかなり厄介なんだ。


ルーイが仕掛けようとするが、止める。クリス先輩に手を読まれている事が未来予測で見えているのだろう。鷹の目の凄さはとにかく視野の広さ。それがクリス先輩の戦いと相まって兎角厄介なんだ。見極めが巧い。


なかなかに進まない戦い。クリス先輩唯一の弱点が攻撃の手の少なさ。これを克服していたら、ルーイには勝機はない。どちらも相手の手を読める。しかもカウンターはうまい。


それだけにどっちが上手く攻略するかにかかる。両者共に、シンプルな戦いもできるが、より高度な戦いほど力を発揮するタイプだけに動けない。


また、悠久の時が進むかというくらいに睨み合いだ。どちらも相手の手を読むかのようにお互いを見つめ、相手の動きを観察する。


そして、クリス先輩が少しだが、右に動いて行く。あ、ルーイ、気をつけろ。そこにはさっきジュライ先輩が作った穴がある。見えているだろうか。ルーイは少しずつ左に動き始める。


クリス先輩と常に対峙するかのように。そしてクリス先輩が動いた。クリス先輩は剣を、自身の左に傾け攻撃する。ルーイは受けるように自身の左側から剣を出し、ぶつける。


ルーイがこけると俺も観客も思った。クリス先輩の勝ちだ。そう思ったが、ルーイは急に完全停止からの超加速で剣を避けて、クリス先輩の懐に潜る。


そして、クリス先輩の足を引っ掛けて、体勢を崩させる。クリス先輩は急なことに慌てて、体勢を整えようと右足を出す。しかし、そこにはジュライ先輩も作った穴があり、さらに体勢を崩す。


ルーイはその瞬間を見逃さずに一気に超加速で攻撃してクリス先輩を吹っ飛ばす。足元がおぼつかない上に超加速による攻撃でクリス先輩はリングアウトした。


クリス先輩は戦術を学ぶことをやめなかったようだ。環境を使うことをもっと生かしているようだ。しかし、相手が悪かった。未来予測はそれの最高スキルと言える。


ルーイ相手に戦術戦は厳しい。読まれる。未来予測を知らなかったのだろう。対してルーイはクリス先輩のスキルや戦い方を知っていた。それが故にルーイに勝敗は傾いた。



ここまで二勝二敗とイーブンだ。次の大将戦で学院同士の勝敗が決まる。大将戦はアレス対リオル先輩だ。この2人も勝敗は見えない。スピード型のアレスと巧者のリオル先輩だ。2人の戦いは予想しづらい。どっちが勝ってもおかしくない。




試合が始まる。するとアレスがいつも通りにスピードで翻弄しようとする。しかしリオル先輩がついて行く。うん?武闘オーラだ。気功を武闘オーラにまで上げたのか。凄い。


しかし、アレスがさらにスピードを上げるとリオル先輩はついて行くのをやめた。まるで、中途半端なスピードならやるぞと言うかのように。


これは、凄い戦いになりそうだ。もうアレスのスピードは王国最速だ。兄上でも速さというところでは勝てない。まあ兄上の場合は経験や巧さ、強かさなど、他の強さを持つが。


同じように巧さや強かさで絶対の強みを持つだけに、ある程度のスピードを身につけたとなるとリオル先輩は厄介だ。


アレスは速さでどんどんと加速して攻める。しかし武闘オーラの凝で見えているのだろう。ことごとくを守る。巧い戦いだ。リオル先輩は速さと巧さを磨いたのだろう。


アレスのスピードはもう一段階あるが、そこをいつ出すかが問題だな。あの凝はマナと集中力がいる。それが尽きる瞬間をアレスは狙いたい。それができれば勝てる。


動きまくるアレス、静止し見るリオル先輩だ。これは凄い試合だ。観客は息を飲む。ケビンの時のようにそれで試合が決まらないように。


アレスの体力はいつまで持つだろうか?リオル先輩の集中力はいつまで続くだろうか?それを待つ。ひたすらに動くアレス、そして止まり待つリオル先輩。


その戦いは終わりが見えそうだった。お互いに限界は近い。そしてアレスが動く。リオル先輩もギリギリ反応する。お互いの動きは噛み合う。アレスはスピードを一段階上げた。リオル先輩も武闘オーラを纏う。それは全身全霊の一撃同士、どっちが当たるか。


そして勝敗は、アレスの一撃が先にリオル先輩にあたる。衝撃が会場を突き抜ける。しかし、リオル先輩は同時に、アレスの腹に一撃を入れる。


相打ちだ。両方が倒れる。同時だ。審判が悩む。


俺らを見るので引き分けという判断を伝える。


リオル先輩はアレスの一撃を武闘オーラで何とか耐え、一撃を入れた。その一撃は大した威力ではないが、マッハ3にもなるスピード域ではそれが意識を刈り取るのは簡単だ。


対して、武闘オーラを全て当たる位置に持ってきても、マッハ3の攻撃が止まっている相手に当たれば、スピードが凶器となる、それが武闘オーラを超え体の中を衝撃として入った。


前世の中国拳法のクンフーだ。体の外は無傷でも中には気を失うほどの衝撃が当たった。回復士の方が駆け寄り、2人は待機所に連れて行かれた。


そして、騎士学院対王立学院は引き分けだ。王立学院が魔法学院に全勝すれば勝ちだが、アレスが戻ってくるかだ。


しょうがないので、王立学院は大将戦まで全勝を目指す。実践戦闘研究会は誰が作った部活だと思っている。魔法には強いぞ。魔術詠唱研究会にしょっちゅう魔法の研究に使われて来た。だからアレス以外は全勝で、アレスを待つと決めた。


アレスの様子を見に行く。すると、ダメそうだ。試合順が悪かった。騎士学院のように魔法学院からの試合か、1、3戦目の試合だったらよかったが。これで完全に騎士学院とのダブル優勝を狙うしかないという状況だ。俺が変われれば違うが、無理だ。そんなルールにしていない。


休憩が明け、試合が始まる。副将までの結果は3勝1敗となった。ルーイも力が残っていなかった。しょうがない。運だ。


こうして騎士学院、王立学院、魔法学院の順となり、終わった。大会は大盛り上がりで最高の戦いとなった。アレスは魔法学院との試合後に意識を取り戻した。リオル先輩も同じだった。順番が悪かった。それに尽きる。そして表彰式だ。


リーゼが司会をする。

「これから、表彰式を始めます。まずは、陛下にお言葉をいただきます」

「うむ、誠に見事な試合ばかりだった。皆が良いところを伸ばしている。これは王国の明るい未来を示す試合となった。是非来年以降も続けて欲しい。そして今日戦った選手よ。本当によく頑張った。お主らの試合は多くの者を元気付け、勇気を与えた。ここに表彰する。結果は運だろう。だがお主ら全員が素晴らしい国民だ。儂は嬉しいぞ」

「「「「はっ」」」」


「陛下、有難き御言葉をありがとうございます。観客の皆様、陛下も褒められた選手たちにもう一度暖かい拍手をお願いします」

観客の皆さんの拍手がアレスたち選手を元気付ける。いい大会だったと思う。


「では、表彰に入ります。一位は騎士学院です。たった一勝の差、されど大きな差がそこにはありました。おめでとうございます」

「「「「おう」」」」


「そして、2位は王立学院。たかが一戦、されど一敗に泣きました。それでも頑張った選手たちです。おめでとうございます」

「「「「おう」」」」


「そして、3位は魔法学院です。不利な条件の中で、精一杯頑張られた姿には感動した観客も多いです。お疲れ様でした」

「「「「やあ」」」」


こうして、表彰は終わった。陛下たちはアレスらの元に行った。

「うむ、素晴らしい試合だった。よく頑張ったのぉ。儂はこんなに心を震えたのは久しぶりだ。それぞれに褒美を出す。ガルド」

「はっ。これらは王宮から参加した選手にメダルだ。全員にある。受け取りに来なさい。陛下が選手に御自らかけてくださる」

「「「「「「「!?」」」」」」


「さあ、騎士学院の生徒から」

「「「「「はっ」」」」」

騎士学院の生徒にメダルがかけられて行く。そして、次々と王立学院、魔法学院の生徒にも。


「「「「「「「ありがとうございます」」」」」」」


そして大会は終わった。

「マルクよ。いい大会だ。そして、これからは各学院の交流もこれで始まるだろう。これを見て動かん教員はクビだな」

「そうですか。ガルド様。それはいいこと。後輩たちに良い物が残せました」


「ふむ。冒険者になるお主がこの大会に参加することはないか」

「はい。そうですね」

「ふむ。最も功労したものが出れぬ大会か虚しいものだな」


「でも、それはわかっておりました。冒険者になることも小さい頃より決まっていたことです。そう簡単に未来は変えられないのでしょう」


陛下の顔が一瞬だが真剣になった。俺は言葉を続ける。

「自分の未来を変えるには自分の全てをかけて、自分の人生の英雄になるしかない。世界の未来を変えるには、世界の皆が本気で願い、皆が英雄になるしかないのです。未来を変えるのはそれほどに難しいのだと思います。だから皆が英雄に憧れるのです」


陛下は頷き、そして言葉を紡がれる

「ふむ、そうかもな」

「陛下。・・本日はありがとうございます」


「うむ。お主のさっき言ったことは真理かもな。未来はなかなか変えれない、だからこそ全てを変えてしまうほどに努力した、素晴らしき世にした英雄は、皆が憧れるか」

「はい」


「お主ならそうできるような気もするがな。マルク。お主は少なくとも王国を変えたぞ。お主の数年間の努力が今日、ここまでの花を咲かせておる。魔法学院を見よ。スキルによる魔法だけでなく、魔法理論をあれだけ研究している。多くの国民も魔法を享受している。これは全てお主の功績だ。そして、魔法の賞が12月に発表される。お主のして来たことが多くの国民の明るい未来を作った。誇るのだ。マルクよ」

「はっ、有難き御言葉」


そして、俺は陛下らと別れて、アレスらの元に

「惜しかったね」

「ああ、俺の責任だ」


「それは違うよ。アレス。ルールや運によるものだし、アレスやルーイは強敵に負けなかった。それがこれだけの結果を生んだだよ。来年はリルニアがもっと良いルールで運用するでしょ。それに騎士学院に、魔法学院が相手だよ。忘れてない?」

「そうか」


「そう、ルーイもそうだよ。相手は確実に格上のはずだよ。それを引き分けに持ち込んだことが凄いんだ。それだけで誇れるよ。学院に戻ったら、みんな英雄だね。凄いよ。通り名がつくかもね」


俺はアレスを見る。

「アレスは音速の貴公子」


ルーイに振り返り。

「ルーイは預言者」


ヨークスに向けてニヤリと笑い。

「ケビンは驚速の魔闘士、ヨークスは剣の王子様」


そして、最後にマークに向かって言った。

「マークは恍惚の重戦士なんてどうだろう。よし。これで広めよう」


「「「「ちょっと」」」」


アレスらが焦り始めた。

「マルク、やめよう。もう落ち込まないから」

「そう、しょうがないなあ。ね?わかった?通り名って恥ずかしいでしょ?」

「「「「すみませんでした」」」」


「まあ、ケビンは巻き込んでごめんね」

「いえ、驚速の魔闘士ってカッコいいです」


「あ」

「おい」

「ケビン」

「ああ」

「ダメだね」

「「「「「ははっははは」」」」」

こうして対抗戦は終わった。


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