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魔道具の研究

1ヶ月後


今年の試験期間も終わり、夏休みに今日から入る。俺は生徒会の仕事がひと段落し、生徒の陳情が減るため、部活に参加しようと思う。今年も夏休みは合宿がある。


さらに夏休み中は残る者のため、訓練場を解放して、さらに色々とイベントもするらしい。ケビンは頑張っている。魔術詠唱研究会も同じくらしい。


俺は訓練を頑張り、学院に向かう。学院に入ると、魔術詠唱研究会の部室に入る。部員が10名ほどいる。ルーナは母親に会いに領に戻っている。合宿前に戻って来るようだ。


俺はテオと挨拶して、研究をしている。付与魔法の研究だ。今は色々な研究をしている。最近は研究スピードが下がっているため、なかなか発表できていない。数個の魔法を研究中だ。


ルーナやミリア先輩、メル姉、エルカ姉様が魔法理論に基づいた新たな魔法や既存のスキル魔法の作り替えに勤しみ、成果を出している。


一時期は完全に魔法詠唱研究会がリードする形であったが、最近は王宮研究所や個人の研究が猛スピードで追い上げている。


野良の研究者も増え、まともな研究をした者は王宮研究所が雇うなんてケースもあり、魔法理論の研究及び呪文開発は熱気を帯びている。


俺はメル姉らに賞を作って今年もっとも優れた呪文や理論研究にあげたらどうだと提案したら、今、王宮は本気で検討しているようだ。どう評価するかが問題らしい。


そして研究を続ける。付与魔法とは何かを実は考えている。付与することは自分の体の中に魔法をどうやって入れるのかだ?今までの付与魔法だと、体の中でマナを魔法の形で保つ必要がある、また自然のマナを体の中に入れないと他人が付与できない。



ただし、それが可能なのかが少し疑問だ。まあ回復魔法も同じ原理を取っているので、できるのだろうが、一時的な回復魔法はいいが、かなりの時間を保たなければならない付与魔法は体の中に魔法の形の自然のマナを長時間入れることになる。


これがどういった仕組みかわかれば、人に魔法付与する魔道具を作れると思う。また長い時間の付与を可能にした付与魔法もできる。これは先日、武闘会の事と賞の事の話し合いで王宮に行ったところ、ガルド様とコーネリアス様にあった時にそんな研究をしていると言ったら、幾らでも支援すると言われたし、母上には画期的になると太鼓判を押された。


どこから始めようかと思う。二つの疑問の解決か。まずはどう体に入れているかだ?俺は『飲み込む』でマナを取り込んでいるが多くの者はそれができない。


なのに魔法でなら付与はできる。これが謎だ。そしてもう一つの謎はどうやってそれを体の中で保つか?この謎だ。このメカニズムを理解できれば、何かとっかかりを作れる。


しかし、それなんだよなぁ。まずは付与魔法を使ってみるか?


「テオ、付与魔法を使ってみたいんだけど、試していい武器や道具はないかな?」

「ありますよ。こちらです」

「そうか。ありがとう」


「何の魔法を研究しているんですか?」

「付与魔法だよ」


「付与魔法?新たな魔法でもないですよね?」

「付与魔法のメカニズムを解析しようと思ってね」

「メカニズムを?」

テオは訝しげに俺を見る。今更、そんなこと?をという感覚なんだろう。基礎研究は必要なんだけどね。


「ああ、メカニズムを調べて、付与魔法を人にかける魔道具や付与時間を増やすことができないかなと思ってね」

「え?それって」

今度は驚いてくれた。テオの顔の筋肉は忙しいな。


「ああ、魔道具で付与できれば、警備に使える。解毒魔法とか結界魔法を付与できれば、毒の危険を解除できる。警備にはもってこいだ。付与時間を長くできれば軍ではかなり有用だろうね。それに人に付与できる魔道具は可能性が色々あるよ。運送に使えば、速い運送、建築に使えば、力の強い建築家なんてね。夢は広がるね」

「ええ、何というかすごいです」


「さらに、付与魔法の可能性はスキルを付与できないかなって?」

「スキルを?」


「ああ、身体強化のスキルを付与、もしくは魔法で同じことをできたら面白くない?」

「それは」

「テオ、身体強化する魔法を作ってみたら。すごい事になるよ」

「そうですね。・・・・」


あ、手を頭に置いて、考え始めたよ。テオは以外に研究肌なんだな。


よし、付与魔法を分析しよう。こういう基礎研究って、みんなしないんだよな。こういう所に凄い魔法のヒントはあるんだけどね。


よし、付与魔法をして、うーん。物に付与すると、物を魔法が覆う感じなんだよな。これは元からわかってた。そして直ぐに付与されるし、すっと付与しなくてはいけない。


そのため金属が壊れてしまう傾向がある。だから、その魔法に強い物質を使うか、そもそも魔法の伝導率はいいが、魔法による破壊に抵抗力の強いミスリル、って言う魔法銀を使うかなんだ。


そうしないと付与した武器が壊れる。これは昔から結構魔道具作りの問題点なんだよね。最近は魔法が使いやすくなり、ミスリル量産化を魔法で大分できる事でかなりの量を作れるから安くなったけど、結局は需要と供給問題でそこそこはするんだ。


そもそも、付与魔法を一度マナに戻して付与できればなぁ。うん?マナに戻して付与して、使いたい時に元の魔法にする?


魔法の発現と呪文、マナを両方別々に付与できれば使いたい時に使えるか?そういう付与魔法できるかな?


そして何度もマナを貯める魔道具を作れれば、新たな魔道具ができる。呪文の数を付与魔法と付与したい魔法を両方付与しておけば、人に付与する魔道具ができる?うーん、難しいなあ。でも可能性はありそうだ。


ああ、マナの動きを見やすい、いや、小さな物を見る魔道具が欲しい。ルーペと顕微鏡みたいな物が。魔道具屋に行くか。


俺が席を立つとテオがまた話しかけてくる。

「テオ、これ、ありがとう。魔道具屋に行ってくる」

「もう、魔道具を作れるんですか?」


「いや、もっと物の細かい所までを見る魔道具がないか、魔道具屋に聞いて見るよ。なければ作るかな?」

「もっと細かい所まで見る魔道具ですか。分析に細かい変化を知りたいという事ですか?」

「ああ、できたら、寄贈するかも。っていうか王宮から予算を奪って、量産化したいね」


「ふふ。王宮から予算を奪うって簡単に言えるのはマルク先輩だけです。マルク先輩ぐらい、誰も考えなかった研究で、国に貢献している人はいません。僕らじゃ、そう予算を持ってこれないです」

「諦めたら、終わりだよ。それに、来年くらいには、今年最高の研究に賞を与えるっていう制度ができるよ。提案しといたから」


「それはすごい。そうすれば益々、研究したい人が増えますし、研究もしやすくなります」

「ああ、だから提案しといたんだ」

「マルク先輩がしたんですか?」


「ああ、姉上にしたら上に伝わって、提案者の俺が呼ばれたよ」

「はあ、予想のずっと上を行きますね。マルク先輩は。ルーナ先輩がマルクの近くにいると驚く事以外はできなくなるってよく言ってました」

「そうかな?」


「気づかないのは本人だけですね。なされた功績が大きすぎます」

なんて話をしてから、魔道具屋に来た。ここは俺に儲けを出させてもらい、かなり大手になった。


「いらっしゃいませ」

「オーナーいらっしゃいますか?」

「マルク様、少しお待ちくださいませ。今、ご対応できるか聞いて来ます」

「ああ」


「すみません。お待たせして」

「やあ、カリムさん。大繁盛だね」


「そりゃ、あの新英雄、魔法の真髄を覗く者であるマルク様の開発した数々の魔道具を買えるとすごい賑わいになっております。これも全てはマルク様のおかげ。しがない街の魔道具屋が今や国を代表するまでに育てていただきました」


「ふふ。カリムさんが、いい腕を持ってたから、話を持ちかけたんだよ。自信持ってよ」

「ふふ。マルク様は本人だけは気付かずに人を幸せにする方です。」

「まあ、いいや。実は作りたい物があるんだ」


「どう行った物ですか?」

「ああ、物を拡大して見る物だよ。千倍ぐらいにしたいね」

「?虫眼鏡では厳しいですかね」


「虫眼鏡あるんだ?」

「ええ、学園都市で使われております。ガラスを凸にして使い、拡大する物です。店にもありますよ」

「おお、ある?」

「はい。おい虫眼鏡を持って来てくれ」

「はっ」


「こちらでございます」

「ああ、マルク様こちらが虫眼鏡です」


「ああ、結構拡大できるね。でもまだ足りないな。でもこれがあれば作れるね。魔法や魔道具を作ろうとしている研究者には欲しいと思う者が多いし、これができれば、俺の考えている新たな魔道具や、原材料の変換をできるかもよ」


「本当ですか?原材料は問題です。ミスリルが高いので、他のものを試したいのですが、どうにも、魔法に強い物が難しい」

「でしょう?だから、付与する際にマナと呪文に分けれないかと思って。で付与魔法を研究しているんだけど、カリムさんにはマナを貯める魔道具を小さい物で作ってもらいたいな」

「あの〜、そんなに簡単に話していいのですか?信用していただくのは嬉しいですが」


「ああ、誰かが作れるならそれで構わないよ。それにカリムさんに結局は頼むし、信頼もしているよ。裏切るなら、全ての契約を破棄するまで。それに俺の見る目がないって事だね」


「裏切りません。マルク様の期待に応えたいのです。本当によくしていただいています。潰れそうな時に協力してもらっただけでなく、その後に新たな魔道具で凄い幸せをもらいました。マルク様のおかげで、妻を持てましたし、最近、子も生まれました。もう裏切るなど、裏切るぐらいなら死にます」

「いや、死なないでね」


「はい。妻と子をを残して死ねません。ですから、裏切る事は一切しません。これは命をかけています」

「そう、重いな。まあいいや。で、こんなの作りたいんだ。ここに結界魔法のエクスペンションをかけて広げて。こことここに虫眼鏡みたいな凸レンズを付けて、で上下するレバーをつけて」


「なるほど、この距離を動かして、物を大きく見える角度を調整してのですね。そして、二枚の凸で拡大すると。わかりました。1週間後には作ります。虫眼鏡はもう分析してありますし、作れる職人も用意してあります。あとは実験です」

「ああ、頼むね」

「はい」


こうして、魔道具屋に物の作成を頼んで、部室に戻り、実践戦闘研究会に顔を出す。

「やあ、ケビン」

「お疲れ様です。マルク先輩。今日は生徒会は大丈夫なのですか?」


「ああ、夏休みだから、陳情もないし、学院祭のことはもうだいたいを詰めたからね。あとは二学期に入って、準備するしかない事だけだよ」


「そうですか、では夏休みはこっちにも来ていただけるんですか?」

「ああ、魔術詠唱研究会と半々でくるよ。時間はあるからね」

「それは嬉しいです」


「今日は何をしているの?」

「はい。前にあった辺境伯領の戦いについて、レオナ先輩の資料を皆で討論しています。ロドリス先生がこの後来てくださるので、その時に皆で討論した内容を先生とまた討論したいなと」


「面白いね。俺もレオナと一緒に現場を見たよ。その資料はその時のだね」

「そうですか、現場を見た先輩に意見を聞きたいです」

「ああ」


と、そこから皆で討論した。以外に大胆な意見を聞けた。リンゼル君という子が実にいい意見をしていた。リンゼル・ルバンというらしい。軍師の親を持つ子らしい。ルバン家は知らないな。今度、レオナに聞いてみよう。


「おや、マルクも来ているのですか?」

「ロドリス先生、お久しぶりです。生徒会が忙しく、お会いできず、すみません」


「いいえ、しょうがない事でしょう。お話は聞いております。各学院と色々なイベントをして、王国の教育を更なる発展させようと企画しているとか。いい事です。各学院が閉鎖的なのは前から教育者の間では問題視されて来ました。その門戸を生徒が広げるなど。マルクは私たちができない事をしていく。新英雄と言われるだけはあります」


「やめてください。そんな大したことではないです。先輩らと交流する機会がなくなるのは後輩にメリットがないですから、増やしたいと思っただけです」

「はは。個人的な理由でもそれが大きな事をなる。英雄とはそういうもの」

「はあ」


それから、ロドリス先生を含めて議論をする。特に帝国の狙いの部分では、今まで聞いた中でロドリス先生の話が一番鋭い切り口だった。やっぱロドリス先生ってすごい。学院では戦術を重視する者が少ないから、あまり評価されないが、すごい人だ。なぜ軍師学校教官や実際の軍師をしていないのだろう。


こうして、今日は終わった。それから1週間は訓練をして、魔道具屋が新たな魔道具が出来上がるのを待っていた。そうすると1週間後に魔道具屋から話が来た。


やっと、魔道具を研究します。タグ付けしたのに書いてなかったので、大事なマルクの資金源です。

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