変わること、代わる者
それから2カ月後、
もうすぐ、学院は試験期間に入る。そして騎士試験があと1ヶ月半後に行われる。今日をもってアレスとレオナら、ルーナらは役職を後輩に譲る。もう少しで引退に向かう。
俺は訓練して、学院に向かう。門を抜けて、出席カードに記入して生徒会に向かう。もうホームルームもない。基本が自由登校になる。もう卒業に向かって生活を送る。多くの生徒がそろそろ、受験に向け、部活を引退して、学院には来なくなる。あっ、ルドルフだ
「ルドルフ、おはよう。授業はどう?」
「ああ、マルク、おはよう。まあ、大丈夫だ」
「受験の準備も大丈夫?」
「ああ、兄上に教えてもらい。しっかりと準備しているよ。俺は学院で何をしていたんだろうな」
「それに気づいたことが学院に来た意味だよ。ここからだよ。今からでも成長はできる。人より少しスタートが遅いだけさ。最後に勝てばいいんだよ」
「そうだな。ありがとう。マルク」
「ああ」
ライル様の言う通り、ルドルフは変わった。きっともう大丈夫だ。決して楽ではないだろうけど、ルドルフは大丈夫。前を向いて行ける。
そして、ルドルフと別れ生徒会室に向かう。書類を確認しながら、どんどんと書類を進めていく。
はあ、今日の分は終わった。部活に向かおう。部室にはアレスらがいた。
「アレス、半年お疲れ様。部長も今日までだね」
「ああ、なんだか早いね。一年の時より早く感じるよ」
「そうだね。俺もそう感じる。誰かがサボってるのかな」
「何が?」
「冗談だよ。俺は魔術詠唱研究会の部室も見て来るよ」
「ああ」
不思議そうな顔をするアレス。それを放っておいて、俺は部室を出て、魔術詠唱研究会の部室に行く。
「やあ、ルーナ。お疲れ様」
「ええ。マルク、こんにちは」
「もう、部長交代だね?」
「はい。そんな時期だなと感じてます。二年間、頑張ったなあなんて思います」
「ああ、ルーナは本当に頑張ったよ。俺がやるはずだったのに、任せちゃったから。ごめんね。そしてお疲れ様」
「違いますよ。マルク。私がしたいって思ったからなったんです。魔術詠唱研究会は私にとって大事な居場所なんです。ここを守れたことは学院で一番大事なことでした」
「そうか。よかった。ルーナがそこまで魔術詠唱研究会を好きになってくれて」
「はい」
そして部活へ。今日は魔術詠唱研究会と実践戦闘研究会の部長が変わる。魔術詠唱研究会はテオ、実践戦闘研究会はケビンになった。
「では、部長交代式を始めます。前部長で、前副部長の私、マルクが司会します。皆さん、まずは魔術詠唱研究会の部長交代式を行います。部長を二年近く務めたルーナリアさんからご挨拶をいただきます」
「はい、皆さん、こんにちは。今日をもって部長をおります。私も前部長から交代して、新たに部長になって一年半以上が経ちます。ここまでできるとは少しも部長になった時は思いませんでした。
全ては先輩や同期に支えられての結果です。本当にありがとうございました。そして新部長のテオ、貴方は貴方らしい部活をしてください。研究を多くするもよし、実践戦闘研究会と協力して魔法の訓練を頑張るもいいですね。貴方の目指す研究会にしてください。もし何か悩んだらなんでも相談してください」
「はい」
「では、続いて、新部長のテオ君にも挨拶をいただきます」
「はい。皆さま、新たに部長になりました。テオです。前部長のルーナさんは偉大な部長で、その前の部長もまた偉大な部長でした。お2人の跡を継ぐのは非常に大変ですが、自分の目指す部活は研究も、訓練もどちらも目指す部活です。
皆さんは好きな方をして結構です。ただ、イベントなどはしていきたいです。色々と実践戦闘研究会と協力しながら頑張っていきます。よろしくお願い申し上げます」
「はい。ありがとうございます。続いて、実践戦闘研究会の部長交代式を行います。まずは現部長のアレスさん、ご挨拶をお願いします」
「ありがとう。マルク。まずは皆さん、お集まりいただきありがとうございます。今日をもちまして、私、アレス・スピキアーズは部長をおります。
そして、同じく、副部長のレオナ、ヨークス、ルーイもです。今まで前任者のマルクより受け継いだ部長を続けて来ました。前任者が偉大なので、大変でした」
笑いが起きる。ネタにしなくても。
「ですが、私は私なりにこの部を支えてくれた先輩や前任者の部長の意思を引き継ぎ、頑張って来ました。次の部長。ケビンは正に実践戦闘研究会を代表する部員です。
実践戦闘研究会は、才能だ、スキルだは関係ありません。しかし、強い心が必要です。
新たな部長、ケビンは正に心の強い部員です。きっといい部活にしてくれるはずです。ケビンはケビンの目指す部活を目指してください。それを俺らは応援します」
「はい」
「では続いて、新たな実践戦闘研究会の部長、ケビン君に挨拶をしてもらいます」
「はい。私が新たな部長になりました。ケビンです。私は最初、弱く、槍術を目指しながら、槍術スキルのない者でした。それでもマルク先輩やアレス先輩は優しく、俺を教えてもらいました。
先輩から教えられたのは折れない心です。私が部長になり、行いたいのは心を強くすることです。みんなが強くなる時は今かもしれないし、今ではないかもしれません。しかし心を強くもち続ければ、いつかは花開くことがあります。ですから。皆さん、一緒に頑張りましょう」
「「はい」」
こうして、部長は代わった。ケビンとテオがきっとこの部をさらによくしてくれる。そして、新たな部員とも今日いっぱい話した。新たな部員には、あの獣人族国家の王女様である、マリア・ガウランさんもいた。彼女は俺の一歳歳下だが新入生として入った。
どうやら、ケビンが好きらしい。獣人族は強い個体を愛すことがある。魔闘を使うケビンが好きになったらしい。しかも獣人の血が入ることもいいらしい。
他にもルイン様の子、ライル様の妹、リアも魔術詠唱研究会に入った。俺とは親戚になる。しっかりとした子だ。ライル様の妹だなと思う。他にもスキルのない子や才能のある子もいる。本当に多くの者がいる。彼ら、彼女らが競いあっていい部活にしてもらいたい。
こうして部長の引き継ぎを終え、俺は生徒会室に戻り、リーゼが用意した書類に目を通して採決していく。生徒会の仕事の大半は生徒や部活からの陳情だ。
他だと入学式、部活勧誘、学院祭、後夜祭、卒業式だ。俺に残された仕事は学院祭と後夜祭と生徒の陳情だけ。もう少しで終わる。なお、今年も学院祭では武闘会をする。
ただし、参加者を学院生に絞り、上位者を決める。その者らが、騎士学院、魔法学院の代表者と後日対抗戦をすることにした。俺はここまで、生徒会長としてやることにした。




