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進路

それから1ヶ月後


今日は学院の入学式の日だ。俺は生徒会として、入学式のスタッフである三年生を仕切る。今日も大変だ。朝から訓練をして、学院に向かう。卒業式で慣れたから今回は普通に登校する。


すぐに生徒会室に入り、スタッフの確認などをして、生徒会に指示を出して、入学式に向かう。俺は三年生の様子を確認して回る。多くのものがしっかりと仕事をしている。


俺の時は入学式の入場で三年にレオナと共に入学式に出るなとか言われた。ああいうバカはもう学院にはいない。貴族派のおバカはだいたいが学院をやめた。


そして、入学式が始まった。新入生たちはいい顔で式に出ている。新入生代表の挨拶だ。俺らの時のようなこともない。あの時はいつのまにか、貴族派が隆盛を取り戻し、学院はおかしくなっていた。今ほそうじゃない。そもそも学院ではスキルだけが重視されない。


そして代表挨拶が終わり、陛下の祝辞だ。もう入学式も終わる。俺らの時は帰ったら父上が怒っていたっけな。


懐かしい。もう学院生活が終わるから、そう思うのだろう。あと一年を精一杯頑張ろう。


みんなも進路を決めたらしい。俺はまだ決まらないというか。まあいいや。


アレスは悩んだらしいが騎士学院に行くようだ。領主になるから普通は文官学院に行くが、土地柄、文官学院で学ぶことはあまり意味がない。だったら、領民を守れる領主になりたいと強さを磨ける騎士学院に行くようだ。アルフォンス様はその辺自由なんだとか。


ヨークスとルーイも騎士学院だ。ヨークスは父親の件で領地はない。だから騎士学院を卒業して騎士になり、武勲をたて、叙勲され、領地を得ることが目標らしい。


ルーイは元々が荒れた領地の貴族の分家だったらしい。あれだけ荒れてしまったので、領地を捨てて、王都に来たようだ。そんな経緯で貴族派に入ってしまったんだと、ヨークス同様に騎士になり、叙勲され、領地を得ることが目標だ。


レオナとマークは予想通りだ。レオナは軍師学院、マークは文官学院に進む気のようだ。既に2人とも推薦が決まり、合格はほぼ間違いない。


ルーナは魔法学院に進むようだ。レオナたちと同様に既に推薦が決まっていて、こっちは覆ることはないとのこと。呪文研究が評価されてのことだ。魔法研究所に入るのが目標らしい。


卒業生はカリウス先輩とライル先輩を除き、皆騎士学院に進んだ。今年の騎士学院は歴代でもかなり優秀と評判だ。リック先輩とマイル先輩の影響で熾烈なランク争いがある。


騎士学院は力至上主義のため、常に学年関係なく模擬戦を行い学内ランクを争うらしい。それで首席を決めるんだとか。リック先輩は去年から1位で、それをマイル先輩と争っている。


去年の学院祭の武闘会本戦に参加した騎士学院生は去年卒業の首席だったらしい。だがリック先輩らが入り、ランクトップは奪われたまま卒業したらしい。


リオル先輩らは入学したばかりでランクはないが、すぐにリック先輩らと争うだろう。なんせ、去年の卒業生の首席より圧倒的に強い。彼らが一回戦負けだ。それよりは遥かに強い。既に騎士でも勝てない者も多い。来年、アレスらが入ったら、騎士学院はすごいことになるだろう。


それで俺だが、俺の進路については父上らへの確認までされた。今日もこれから学院長室に呼び出しだ。とにかく、学院の首席が冒険者というのが前代未聞すぎて教員の先生らを悩ませている。また王宮もそうだ。


これだけ国に貢献したのに、騎士になれないから冒険者になるでは国もかなりメンツが立たない。特に宮廷魔術師長と宮廷回復士長は嘆き、コーネリアス様は騎士たちに怒っているらしい。どれだけの損失かと。


宰相のガルド様も何度も我が家を訪れ、宮廷魔術師や宮廷回復士、文官などにならないかとおっしゃれたが、父上が追い返すほど怒った。しょうがないので、王宮は名誉騎士という職を作り、特に騎士として活動しないが、有事の際には騎士として活動するということにしたいと言って来た。


これについては了承しておいた。だが学院の教員方がどうにか上の学院か学園都市に行かせようと説得してくる。シグルソン教官は俺の好きにするといいと背中を押してくれた。レア先生も同じだ。ただ学院長が粘る。面倒だが、入学式の後に学院長室に向かう。


「失礼します。マルク・ドンナルナです。お呼びということで参りました」

「はい、入ってください」

「はい」

「で、マルク、進路は変わりませんか?」


「学院長、父上も母上もいいとおっしゃってますし、王宮も名誉騎士号の付与で行くと決められたのです。何度も呼び出されても変わりません」

「そうは言ってもですね。学院にもメンツなど色々とあるんですよ」


「では、学院長が騎士学院に入れ、騎士になれるようにしてくださるなら騎士学院に行きます。できますか?」

「意地悪な質問です。それはできないのです。ですから学園都市に行かれてはと聞いています」



「それで、騎士になれないなら変わりません。私の目標は騎士です。それ以外ならば冒険者になりたいのです。これは小さき頃から決めておりました。変わることはありません」

「では首席を外します」


「どうぞ。それにこだわっておりません。何なら生徒会長も降りましょうか?」

「いえ」

「ただ、そんなくだらない理由で首席を外したら学院はどうなるでしょうか?陛下もお怒りになるのでは?今までの寄付は無くなるのでは?」

「う」


「まあ、私はどちらでも構いません。首席が目標ではなく、卒業できればいいので。それとこれだけ首席だと知れ渡っているのにくだらない学院長のプライドで首席を変えるなどしたら、どれだけの被害があるか?そして学院の伝統が地に堕ちると思いますし、OBOG が黙ってないでしょう。大丈夫ですか?」


「そうです。だから、そんなことはできません。ですから進路を変更しませんか?卒業をさせませんよ」

「どんな理由で?」

「素行不良で退学です」


「母上と父上が大暴れしますよ。ガルド様も、陛下もお怒りになられるでしょう。最悪学院長のお家は取り潰し、学院長の処刑もあり得るのではないですか?」

「う」


「でしょう。おやめください。晩節を汚さぬよう進言します」

「じゃあ、どうしろと」

「認めれば良いのです。学院長がこだわっているのは自身と学院の名誉です。貴族派と同じです」

「わかっています。でも」


「でもじゃありません。子供じゃないんです。教員たる者、生徒が決めた道を見守ることはできませんか?」

「わかりました。いいです。マルクはそのまま行きなさい」

「何故、そこまで拘ったのです?」


「騎士の者に言われたのです。もしマルクが冒険者になれば学院の名誉は地に堕ちると。騎士学院は王立学院との付き合いを考えることになると」

「それは騎士学院の学院長ではないですか?」

「ええ」


「わかりました。父上とガルド様に報告します」

「そうしてください」


こうして、学院長との面談を終え、俺の進路は決まった。その後は生徒会で執務に励み、マークと共に訓練場に行き、皆と訓練して帰った。


「ただいま戻りました」

「お帰りなさい。マルク」


「母上、父上にご相談があります。父上はいつ頃お帰りになられますか?」

「もう帰っているわ」

「今日は早いですね」


「ええ。執務室にいるわ」

「ではご相談に伺います。失礼します」


俺は父上の執務室のドアをノックした。

「父上、今お時間大丈夫でしょうか?」

「ああ、いいぞ。入れ」


「はい、失礼します」

「うむ。なんだ?」

「はい。実は・・・・」

さっきの学院長との話をした。


「そうか。あの馬鹿どもが自己保身に走ったか。明日、ラインバッハとガルドとコーネリアスと話し合う。任せておけ」

「はい」

こうして、父上と話し合い、その後は夕食をとって訓練して寝た。


それから三日後、騎士学院長の家がお取り潰しになることに決まったようだ。関わった騎士も謹慎と降格にあったらしい。かなり有名な騎士家系だが、厳しい沙汰となった。


これは明らかな自己保身に走ったからだ。コーネリアス様らに厳しくされ、騎士の待遇が悪くなることを恐れた。その結果、俺を騎士にはしないが、他の道に行かせれば、自分たちに被害はないと考え、その理由で王国の教育を捻じ曲げようなどということをした。


これは陛下とガルド様が許すはずもなかった。そして、これにより騎士改革が行われ始めた。俺は間に合わないがケビンの時には間に合うだろう。



なお、騎士学院の規定については陛下といえど口出すことは教育を捻じ曲げる行為で、国としてはできませんでした。国家としての方針はあれど、その中は教育の自由と自治の自由がある一定程度は保たれるような制度となっています。


また、騎士団の規定を変えるのも、騎士たちの反発にあい、騎士団の解体等の問題をしなくてはいけず、うまくいかなかったという状況でした。


しかしながら、騎士学院が自身の保身のために王立学院に圧力をかけることは教育の自由、運営の自由に反することになり、これはルール違反になります。しかも、騎士学院の入学を人質にする行為は、国家の介入が必要なケースです。ですので、騎士学院の学院長の交代及び不正による処罰へと動きます。

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