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スキルの真実②

実証実験の回

スキルの訓練の準備のため部屋に戻る。

顔を洗って、タオルで拭いて心を整える。この後の訓練を思うとワクワクする。

少し休んで訓練場に行こう。母上の準備ができたら、メイドが呼びに来てくれる。


少し瞑想していたら、メイドが呼びに来た。

よし訓練だ。母上に色々とお願いして試してみよう。

「母上、今日は少し、訓練の仕方を変えたいです。実は攻撃魔法を飲み込みたいのです」

「魔法を?ダメよ。危険だわ。回復魔法はいいけど攻撃魔法はダメ」

「いいえ、母上。攻撃魔法を直接飲むわけではありません。」


そう最近は回復魔法を飲んでみている。他人のマナや魔法を吸収できるかを試していたんだ。まぁ予想通り、飲めた。そして力が湧いた。回復魔法をかけてもらった感じとはまた違うのだ。だから母上も回復魔法を飲むのは許してくれる。


「直接じゃない?」

「ええ、先程、昼食時に聞きましたが、スキルの発動条件を探りたいのです。直接以外を」

「発動条件を探る?口から直接、飲み込むんじゃないの?」

「ええ。今まではそう思っていました。ただ、一つ疑問があるのです。魔法訓練時に母上や姉上の魔法を横で見ている時も、スキルを使って、マナを吸収しているんじゃないかと。それで何かをもらっているんじゃないかと?」

「えっ?」


「驚くのも無理ありません。荒唐無稽な話です。ですが、感覚的な話ですが母上らが詠唱時に何かを吸収しているのがわかる時があるのです。これは、スキル『飲み込む』が関わっているとしか考えられないのです」

「そう、そうね。あり得るかしらね」

「ええですから、その時の条件を作り出して、どこから『飲み込む』を発動しているかを探ってみたいのです」

「そう。わかったわ。私は魔法を打てばいいのね?中級魔法でいいかしら?」

「はい。母上。ただ短縮詠唱でお願いします。無詠唱だとタイミングがわかりづらいので」


母上が中級魔法の『ストーンアロー』を撃つ

「さあ行くわ」

『石よ。ストーンアロー』


俺は詠唱に合わせて大きく息を吸った。力が湧く。まぁまぁのマナを感じる。自分のマナを少し飲んだのと同じぐらいの感じだ。どうも他人のマナは自分のマナより負担が大きい。意識的に大きく吸っただけで、体に少し響く。それでも前のように倒れることはもうない。


「マルク、どうかしら?」

「ええ、大きく息を吸うだけで、スキルが発動しました。ただ、母上やゼルの言うマナを使うという感じはわかりません」

「そう。でもすごいわ。近くにいるだけで、息を吸うだけで相手の放った魔法からマナを吸収できて、そしてそれで力をつけられるなんて聞いたことがないわ。魔法以外もできるのかしら?ねえ、アイナ、ゼルを呼んで来てちょうだい。槍も持ってくるように言ってね」

「はい。リネア様」


アイナは母上付きのメイドだ。俺付きのメイドはいない。基本はアイナが色々としてくれるか、ゼルが色々としてくれる。姉上2人は姉上付きのメイドがいる。父上もゼルが基本はやる。うちはかなり裕福だが、それでも領地持ちとは違い、それほどメイドの数は多くはない。


「リネア様、お呼びだとお聞きしましたが。何か用でしょうか?」

「ええ。ゼル。忙しいところ、ごめんなさい。少し手伝って欲しいの」

「いいえ、構いません。で、何を手伝えばよろしいでしょうか?」

「ええ、少し武闘オーラを使って槍術スキルを撃って欲しいのよ」

「わかりました。」

「合図を出すから、それに合わせてね。マルク、少し小さく呼吸をしなさい」


ゼルはスムーズな動きで槍を構え突きを行う。俺は武闘オーラが出てきたところで小さく息を吸う。うっ、これはさっきの魔法とは違う感じだ。もっとへその下に何か来る。そこを軽く殴られたような、少し熱せられたような、そんな感じ力を貰った。

ふう。すぐに治ったな。呼吸を小さくすると少しだけしかもらえないのか?


「どう、マルク?」

「ええ、やはり息を吸うだけで、しかも小さくても、武闘オーラからでも力をもらえるようです。ただ、マナだけではなく、それ以外も飲み込んでいるようです。それは、マナと違って、へその下に力を入れられた感じと言ったらいいでしょうか?そんな感じです。それも飲み込んでいます」

「それはなんと?本当ですか?」

ゼルは驚いている。なんだ?そんなに驚くのか?


「すみません。今、マルク様がおっしゃったことについてですが、 マナ以外に飲み込んだ物は気功という力です。その力の入った位置を丹田と言います。気功は武闘オーラの際にマナと混ぜて武具や体に纏わせるのです。これはマナとは違います。武術の訓練をしてきた者しか得られない技術、力です」

「そうなんだ。これが気功なんだね」


「ええそうです。多くの時間を武術訓練に費やすことで、地の力を知り、完全に地の力を使えるようになると、マナを媒体に気功を取り入れることが可能です。その得た気功を体に纏わせたり、武具に纏わせたり、相手の攻撃が当たる場所に集めて攻撃を無効化することが可能です。これは気功術と言います。アルフ様は7歳でこの気功のスキルを有し、天才と言われました。まぁその当時は、気功術の扱いに関してはまだ甘かったですがね」


「そうなんだ。」

「これで、息をするだけでスキル『飲み込む』を使えること、そしてそれから力に変えられることがわかったわね」

「ええ、母上。ただスキルの発動の際にマナを使っておりません。これではスキルを使っているかは、力が湧くという結果からしかわかりません。必ず発動するようにできません」


「ふむ、マルク様。むしろ考え方が反対なのではないでしょうか?」

「反対?どういうこと?」

「スキルを能動的に発動させるのではなく、常にスキルを発動していると言うことでは?そしてそれは普段意識しないと少しだけ飲み込み、気づかないくらいの力を得て、意識して大量に飲み込むと解るくらいに力を得る。そういうことなのでは?」


「ああ、あるわね。スキルの中にも常時発動型のスキルが。確か耐性系のスキルがそうよね?」

「ええ、そうです。リネア様」

「そうなんだ。じゃあ俺のスキルはいつでも発動可能で、発動条件は飲むこと。それは直接じゃなくても、少しでもよくって、大量に飲み込めば大量に力を得るってことだ」


「多分ですが、その通りかと思います。そして、それはマナだけでなく気功などの各種の力を口から飲み込んで、栄養のように吸収しているのではないでしょうか?」

「そうか。そうだね。ありがとうゼル。」

まるで光合成みたいだ。光合成ならば、光が当たれば、光を吸収してエネルギーを得る。俺の『飲み込む』は、マナや気功があれば、マナや気功を口から飲み込んで力に変える。そうか。すごいスキルだ。


「いいえ。どういたしまして。マルク様の力となれるならば、このゼル、嬉しい限りです」

「でも、そうすると効果が問題だ。強くなるだけなのか?それともそのスキルや技を引き継げるのか?気になるな。これも試さなくちゃ」

そう、俺が言うと、母上とゼルが驚いた顔をする。


「えっ?何を言っているの?マルク、スキルを引き継ぐなんてありえないわ」

「そうですよね。でも、ずっと疑問だったんです。父上やゼルに魔闘を使えると聞いて、最初はマナを発することができるのが原因かと思いました。だけど、そうじゃないかも?と疑問を持ってしまうのです。疑問である以上は調べてみる価値はあると思います」


「そうね。マナを体から発せるからって、すぐに魔闘ができるなんてありえないわね。だったら私もできるはずだわ」

「ええ、ですから、そのスキルや技術なんかも受け継ぐのではないかと」

「そうですか。魔闘や槍術の上達度を見ると、あり得る話かもしれません。では、午後の訓練では、私の武闘オーラを毎日飲み込んでもらうのはいかがでしょうか?そうすればわかるかもしれません。気功術でも、武闘オーラでも使えるような気配があれば、マルク様の言う通り、私が発した武闘オーラや気功を飲み込んで、スキルを引き継ぎ、使えるようになるのでしょう」


「でも、ゼルは忙しいんじゃない?」

「マルク様、謙遜は美徳ですが、私はドンナルナ家の執事です。マルク様の為になるならば仕事は他の時にどうにかします。それが当たり前です。そんなこと聞かなくて良いのです。それに私は子もいません。結婚もしておりません。私にとってドンナルナ家のお子様方は孫も等しいのです。そのマルク様が成長なされるのに付き合えるなど、至上の喜びです」

「そうか。ありがとう。ゼル」

「どういたしまして」

「さぁ訓練よ。続けましょう」

「はい。母上」


そして訓練を続けた。訓練の終わりの合図は姉上が帰ってきた音だった。

「もう終わりにしましょう。メルとエルナが帰ってきたわ。そろそろ夕食よ」

「はい。母上。ありがとうございました。ゼルもありがとう」

「どういたしまして、マルク様」

「ええ。マルク」


こうして訓練は終わり、部屋で休憩と片付けをしてたら夕食の時間だ。


スキルがここから徐々に判明していきます。

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