ダンジョン
1カ月後
今日から試験だ。実技は試験がない。俺は水の日、木の日だけだから、明後日と明々後日が試験だ。首席を取るには、全てトップを取ればいい。どれか落とせば次席か三位に落ちる。まあ、それでもいい。これが終わるとそろそろ進路を考え始めなくてはいけない。
今日も訓練を終え、学院に向かう。門の人だかりは最近終わった。俺は門を抜け、学院敷地内に入る。すると
「よう。マルク。おはよう」
「おはようございます。カリウス先輩」
「おう、試験だな」
「ちゃんと勉強はしましたか?」
「ああ、後専門の3つだけだからな。それを絶対に通る」
「そうなる事を祈っています。今日試験ですか?」
「ああ、今日二科目だ」
「そうですか。じゃあ頑張ってください」
「ああ」
そして教室へ
「おはよう」
「「「「「「おはよう」」」」」」
「今日の試験はないね」
「ああ、授業もないって」
「え?そうなの?」
「なんだか、トーラス先生が今日は休みだって」
「そうなんだ」
「ああ、だから今日はダンジョンに潜らないかと話してたんだ」
「いいね。そうしようか?」
「じゃあ決まりだな」
とダンジョに入ることが決まった。試験期間中は部活動は禁止のため、今日は一日中、暇だ。ダンジョンに入るのは許可されている。冒険者学の試験対策になったりするから。俺も冒険者学は習っている。俺の授業はと冒険者学と魔獣学、それと応用戦術学だ。
そしてホームルームが終わり、食堂でお弁当を購入して、ダンジョンに進む。最近はダンジョンの6階くらいまで進み、余裕がある。俺らは集団戦闘研究会の2人とAクラスの1人(彼女は弓と魔法が得意で同じ実技クラスで何度もチームを組んださらに集団戦闘研究会で先の2人とも仲がいい)を誘ってきた。
彼らも今日は授業がなく。かなり優秀でクラスはBのため、試験は5つで、明日かららしい。免除試験を突破しているだけでかなり優秀だ。もう1人は第9位の成績でかなり優秀な生徒だ。それぞれ、名前はヨンダル、キュリロス、エメリーだ。
俺らは、ダンジョンの一階と二階を素早く抜け、3階、4階を攻略して5階にきた。ここまで大体1時間だ。3階は不人気階で虫ゾーン。弱いが小さく動き回るため面倒だ。
4階は植物ゾーンで結構人気、食べられる魔獣で、果物などを毟ることができるので人気。5階は集団のゴブリンの階で。6階はコボルト階だ。
6階はかなり、面倒な階と言える。5階から難易度が上がり、7階になると一気に難易度が上がる。大体王立学院の生徒は6階くらいまでだ。リオル先輩らは9階まで行っている。10階は広いので卒業までに攻略するとか。
冒険者学の試験は3人から4人で3階の入り口に設置されるものを取ってくる。そこにセーフティゾーンがあるため、そこに入り、そこのものを取ってくる。誰もが受かる。難しくない。冒険者学の生徒は大体、6階まではみんな入っている生徒ばかりだ。
と考えていると、コボルトたちだ。6匹か。俺らは4、5人に分かれた。俺の方は、ヨンダルキュリロス、俺とエメリーだ。後衛が少なめだが、俺という万能がいるためだ。
「俺とキュリロスが前衛で奴らを止めるから、マルクとエメリーで3匹は仕留めてくれ。残りはこっちで仕留める」
「ああ」
「ええ。任せたわ」
「行くぞ」
ヨンダルとキュリロスは奴らの突進を止める。コボルトはモフモフとしているが可愛くない。いわゆる野良犬っぽい。しかも二足歩行。可愛く内。顔も獰猛だ。
「よし、ヨンダル、キュリロス、いいぞ。もう少し我慢して」
「ああ」
『ストーンアロー』
メアリーの判断が早い。すごいな。短縮詠唱だ。集団戦闘研究会は優秀だな。
『風刃』
俺は詠唱も言っておく。まあ要らないし、普通は魔法言語なんだが、前の2人にわかるように敢えて詠唱を言う。
三匹が死に、もう一匹も瀕死になった。するとすぐにヨンダルとキュリロスが仕留める。
「すごいわ。最後の魔法」
「ああ、あれね」
「聞いたことのない詠唱ね」
「そりゃ、本当は呪文だから。でも前の2人に何がくるかわかりやすく伝えるために詠唱を叫んだよ。俺はスキルがないから意味ないけど」
「そうなの?新たな魔法理論を学びたいわ」
「魔術詠唱研究会で教えてもらえるし、本も出ているよ」
「ああ、マルクの本ね。人気で売ってないのよ。どこにも」
「そうか。魔術詠唱研究会にあるよ。一年生の勉強用に数冊。流石に貸せないけど。読みにきたら」
「そうするわ。ありがとう」
「さすがだ。2人とも」
「さすがに、集団戦闘研究会の魔法のエースと、魔法真髄を覗く者様だな」
「やめてよ。真髄なんてほど遠いんだ」
「ええ、私もエースではないわ」
「はは、本人はそう言うんだ」
「そっちこそ、すごいね」
「ええ、さすが、集団戦闘研究会の2つの岩よ」
「ぷっ。そんな通り名なの?」
「うるさい」
「さあ、行くぞ」
「ああ」
そして、どんどん進む。ついに6階の終わりに来た。ここでアレスらと待ち合わせしている。いた。
「早いね。待った」
「ぷっ。街中であったみたいなノリだね」
「「「「「「「ああ」」」」」」」
「そうか」
「まあ、今来たところだよ。直前にコボルト四匹と出会ったから」
「俺たちは六匹だったよ」
「ちょっと多いね」
「ああ、大体3〜4匹だがな」
「まあ、まだ気にするほどではないか」
「何が?」
「マルク、ここはダンジョンだよ。何だかんだ言ったって」
「そうか魔獣の氾濫か」
「そう。数年に一回起きるらしいんだ。最近は起きてないから危険性はあるよ」
「そうだな。ここで起きないといいが」
「そうだね。キュリロス」
「ああ」
「とりあえず、行ってみよう」
「「「「「「「ああ」」」」」」」
そして7階に進む。ここはコボルトと蝙蝠が混在するエリアだ。かなり面倒なんだ。コボルトに気をとられると、蝙蝠がくる。ここは冒険者ランクだとcランクぐらいのパーティーの力が必要になる。結構大変だ。
ここから10階くらいまで到着すればDランク、パーティーでCランクになれると言われる。ちなみに冒険者の本場は商業都市国家群だ。
少し進むとコボルトが七匹ぐらいいる。ああ、多いな。
「やっぱり多いな。これに蝙蝠がいるかもしれない。気をつけろ」
そうヨンダルが言う。
「ああ、リオル先輩らが言っていたより多い。みんな気をつけろ」
マークが続く。
ここは気をつけよう。
「マーク、ヨークス。さっきのメンバーで分かれる。俺らがコボルトをやる。そっちは蝙蝠が出て来たら頼む」
「わかった」
キュリロスの言葉で分かれる。俺らがコボルトをやる。
キュリロスとヨンダルが前でコボルトの集団を止める。俺とエメリーは魔法で4匹を仕留める。さらにヨンダルが一匹、キュリロスが一匹をやる。そして俺がその間に2匹を潰す。
コボルトは倒したが、その間に蝙蝠の群れが来る。6匹。アレスたちが一匹ずつ倒し、終わった。
「結構きついね。一緒に来てたら、4人だと危ない可能性もあるね」
「ああ、マルクが本気出せばいけるが、俺らが足手まといだ」
「そんなことないよ。ヨンダル」
「いや、わかってる。マルクが本気じゃないのは」
「まあ、俺は集団向きじゃないかな。どちらかと言えば個の強さだから」
「ああ、マルクならオッケーがもらえれば、1人でダンジョンを攻略できるだろう」
「それはどうかな」
「まあ、今は氾濫の可能性もある。気をつけよう」
「ああ」
結果、7階はここからはコボルト2匹に蝙蝠一匹とかで危なくなかった。ただ、氾濫の可能性はある。ここで止める。7階の終わりで今日は終了した。それで先生に報告した。
「ヨンダル、キュリロス、エメリー。今日はありがとう」
「ああ、こっちこそ。そういえば言ってた合同活動について、9月以降なら言いぞ。部長がヨンダルに変わったからな」
「そうなんだ」
「新米部長だが、よろしくな。マルク」
「ああ、よろしく、ヨンダル。今度、話し合おう」
「ああ」
と、こうして今日は終わった。それから試験が続き、特に俺は落とすことなく、終わった。
試験結果は俺が首席だった。次席がアレスとレオナで同率、4位がマークとルーナとヨークス。7位がルーイとエメリーだった。冒険者学のテストは氾濫の可能性を考慮され、今季はなくなり、ダンジョンの実績で評価することになり、すでに7階を突破した俺らは満点だった。
そして夏休みだ。合宿だ、部活は基本しないことになる。領地や実家に帰る者が多いからだ。訓練場と部室は開放しているので自由に使っていいことになっている。
合宿は夏休みが1ヶ月すぎたあたり、学院の夏休みは7月初めから9月初旬までとなる。合宿は8月中旬で、リオル先輩ら騎士学院受験者は8月初旬が試験のため、合格して合宿に来ると意気込んでいた。他の先輩らは9月頭から10月後半まで受験シーズンとなるため、不参加だ。




