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戻ってくる者

新学期(卒業式から数週間後)


今日は入学式だ。今回は三年生がスタッフである。なので、俺は、今日は部活の新歓活動の為に準備に学院に行く。早い者は今日から部活に入部をしにくる。


なお、春休み中に訓練場が大きくなった。シグルソン教官の講義室が横に、そして、実践戦闘研究会の部室と魔法詠唱研究会の研究棟ができた。ガリシアン家の寄付を中心に多くの貴族と王宮からの寄付によるものだ。


俺は朝から訓練をして学院に向かう。最近は落ち着いたが、門前に他学院の生徒がいることが多い。実践戦闘研究会の人気がすごいんだ。今年の新入生から生徒数が多くなる。スキルにこだわりすぎない様になったのと、寄付が増えたから。


「やあ、おはよう、マルク」

「おはようございます。ライル先輩」


「ああ、今日から新入生が入部に来るからよろしくね」

「はい。ライル先輩も頑張ってください」

「ああ、まあ、大したことはしないけどね」


こうして、門を通り過ぎて、部室に行く。俺らの部活動の施設は大きくなった。部室もいいし、器具も増えた。本当に待遇が良くなった。


部室に着くと

「「「「おはよう、マルク」」」」

「おはよう、アレス、レオナ、マーク、ルーイ」


「今日から入部したい新入生が来るね」

「ああ、忙しくなるね」

「うちはまだいい方だよ。特に何もしなくても新入生が来るよ」


なお、新たな棟ができたおかげで、部員は二、三年生が増えた。10人を定員にしたんんだけど、物凄く希望者が殺到した。魔法詠唱研究会も増えた。


特に、女性が増えた。今までは武術系の部活動には女性は積極的じゃない空気があった。どうも男の世界で、体罰ありでキツイというイメージが多いのか、女性陣は遠慮しがちだった。


だが実践戦闘研究会は多角的に戦いの強さを求めるし、魔法の使い方を学ぶというのが女性陣に受けた。レオナとルーナ以外では一人しかいなかった女性が7人も増えた。


というよりはせっかくだから、女性を多く入れた。ただし、ルーナとレオナの審査が入った。なお、今回新歓は定員を20名にして、仮入部者のうち、考えが合わない者は入れないということになった。


「部長、これはこっちでいいですか?」

「ああ、いいよ。あと、マルクでいいよ。いつも言っているけど」

「ああ、なんか、ねえ」

「ええ」

そう、新たに入ったメンバーは俺を部長と呼ぶ。元のメンバーはマルクだけど。


「よし、準備できたね。俺は魔法詠唱研究会を見て来る。予定通り頼むね」

「ああ、まだ入学式も始まってないから大丈夫だよ」

「ああ、頼むよ。アレス副部長」


実践戦闘研究会は人数が増えるだろうから、組織をしっかりさせるために役割を明確にした。


部長が俺、副部長がリオル先輩とアレス、会計がクリス先輩、庶務がジンダ先輩とレオナ、補佐に、マークとヨークスとルーイだ。ちなみにライル先輩は生徒会長になった。


首席だったからだそうだ。次席はリオル先輩で三位がクリス先輩だ。俺らの代は俺が首席、二位がアレス、3位マーク、4位にレオナとヨークスとルーナだ。ルーイは学業が苦手なため、最近、頑張っているが、前半のアレが響いた。ヨークスはかなり持ち直した。


「ルーナ、準備は大丈夫?」

「はい。こっちも人が増えましたから、みんなが頑張ってくださります」


「そうか、副部長なのに、何もしてなくてごめんね」

「いいえ。みんなも解っています。実践戦闘研究会の部長ですから」


「ああ、悪いね。みんな」

「「「「「大丈夫です」」」」」


そして、入学式が始まった様だ。今年の新入生はどんな感じだろう?俺らの時とは人数が違うからな。貴族派が問題を起こさないといいけど。実践戦闘研究会の部室に戻る。


「あの〜部活に入りたいんですが」

早いな。まだ入学式は始まったところだと思うが。二年生か?見たことないな。


「大丈夫でしょうか?」

「はい、・・・えっ?カリウス先輩?」


「ああ、ビックリしただろう」

「カリウス先輩!」

「おお、アレス」


「どこ行ってたんですか?みんなで心配していたんですよ」

「ちょっとな、マルク、お前は聞いてなかったのか?」


「いえ、卒業式の後に父上に聞きました。ごめん、みんな、国家秘密で言えなかった」

「そうか。それはしょうがない」


「ああ、もう少ししたら、話せる。もう少し待ってくれ。マルク、お前だけに話す。どこか二人以外に入れないところは?」

「シグルソン教官の講義室を聞いてみます。ちょっとお待ちください」


シグルソン教官の部屋に

「教官。少しお願いが」

「なんだ?」


「はい、カリウス先輩が戻ってきました。それで、例の件で話というので、ここを使わせてもらえないでしょうか?」

「そうか。いいぞ」


カリウス先輩の件には、シグルソン教官も噛んでいる。どうやらシグルソン教官にも、貴族派から話があったらしく。卒業式後に父上のところにシグルソン教官が訪れてきて、それで知った。


「カリウス先輩、どうぞ。アレス、少しの間頼む」

「ああ、大丈夫だよ。マルク」

「ああ、よろしく」



「マルク、とりあえず、ラルク様のおかげで、なんとかガルド様の協力もあり、姉貴を救えた。あっちの黒幕とその証拠を見つけた。ここからはガルド様の仕事になったから、俺は学院に戻ってきた」

「そうですか。学院で生活できるんですか?」


「それは少し先だ。後数日くらいか。また少し、姿を消す」

「そうですか。で、黒幕とは誰が?」


「ああ、内緒だぞ。ただ、お前には色々と便宜を図ってもらいたいから話す」

「ええ」


「ガルド様の弟だ。まさかだったよ。俺も調べて、ルクレアシスが出てくるとは。そいつの下に聖国の裏部隊の奴と帝国の諜報員の奴が身分を隠して居たんだ」

「な、な」


「ああ、驚くだろう。聖国の連中がいるとは思っていた。だが、ルクレアシスにいたとは思わなかった。一瞬だけ、ガルド様も疑った。だが、俺に何もなかったし、姉貴を助けてくれたから、大丈夫だろう」


「今週にはガルド様が動く。聖国と帝国の諜報員を捕まえて、本星を叩く。その後に聖国と帝国に支援を打ち切りなどを持ちかけて脅す。今回は脅すだけだろうけどな」

「そうですか。大丈夫なのですか?」


「大丈夫さ。マルクの理論がある。アレが大きい。あれを見せて、帝国は揺らぐ」

「ああ」


「そう、聖国の手を借りなくても国家を強くできるのは願ったり叶ったりなのは帝国も同じだ。それを使って、できないぞと脅すわけだ。あっちでも理論の内容は教えてないが、どうやら噂が出ている様だ」


「そうですか。教えるんですか?」

「いや、教えないだろう」

「そうですか」


「ここまでが今回の結末だ。他の連中には濁してくれ。特にリオルとライルとクリスにはな。あいつらは巻き込みたくない。それでもお前に俺のことを聞いてくるだろう」

「わかりました」


「俺が協力してやる」

「シグルソン教官が?」

「なんだ?カリウス」


「いえ、変わられたんですね」

「ああ、このマルクのせいでな」


「はは、確かにマルクに関わるとみんなが変わるな。いい方に」

「そうだな」


こうしてカリウス先輩との話し合いは終わった。カリウス先輩は、みんなに挨拶して、家で色々とあるから、少ししたら学院に戻ると説明して帰った。


ただ、一つ疑問がある。聖国と帝国の諜報員がいるとは言え、ガルド様の弟が本当の黒幕とは思えない。まあ、帝国と聖国がやったと言われれば、納得がいくと言えばいくのだが、何だか釈然としない。レオサード元公爵やガルバインは大物だ。


それをガルド様の弟がとは考えられない。さらに聖国の動きが大規模すぎる。そこに何かありそうだ。考えても答えは出ないか。


ここからは新歓に集中だ。答えの出ないことは考えるけど、囚われてはいけない。

「カリウス先輩は大丈夫?」

「ああ、まだ家の方がバタバタしているから、来週か再来週には戻るって」


「そうなんだ。何があったかは言えないよね」

「そうだね。まあ、ちょっと頼まれごとかな」

「そうか」


そして、入学式が終わった様だ。ご家族の方々が式場から出てきた。これから少し忙しくなる。

「あの〜」

きた。あっ、すごい人数だ。1、2、・・・・・・。

これは忙しくなりそうだ。


「入部希望の方は、こちらに仮入部届をお取りください。後日、入部を希望する場合は担任の先生に許可をもらってください。それで、部室に提出に来てください。


仮入部後は、多くの人がいる場合には20名を限度に選考をします。選考基準はスキル等は関係ありません。部活動に励める方を選びます。


他人を傷つける方、威張り尽くし、周りと協力できない方は遠慮してもらいます。どうぞ、こちらの入部届を持ち帰り、明日にでも担任の先生に許可をもらってきてください」


「「「「「はい」」」」」」


どんどん、入部届が減っていく。一応数百枚を作ったが、無くなりそうだ。新入生が200名近くいるからな。


ふう、全員に配り終わり、帰った様だ。

「お疲れ、120枚が無くなったよ」

「ええ、こんなに来るなんて、流石に驚いたわ」


「ああ、新入生の半分以上だもんね」

「ああ、マルク人気がすごいな」


「ああ、さすがは新英雄だ」

「やめてよ、マーク」


「じゃあ、魔導の真髄を覗く物か?」

「やめてください。ジンダ先輩」


「はは、だってな。すごい人気すぎるだろう」

「はははは。ねえ」

「もうクリス先輩、笑いすぎ」


みんなが笑う。そう最近、俺の通り名が出てきた。兄上らと同じように。それが、『魔導の真髄を覗く者』と『新英雄』だ。どちらも程遠いような気がする。なのにそう言われる。


それからもう新入生が来ないので、部活動をした。そして魔法詠唱研究会に行くと

「ルーナ、そっちはどう?」

「すごいです。100名くらい来ました。これもマルク人気です」


「ああ、それはもうどうでもいい。こっちでも言われるのね」

「じゃあ、やっぱり実践戦闘研究会もすごい数が来ましたか?」


「ああ。それはもう、すごいよ。120名が一気にきたよ」

「う、実践戦闘研究会と魔法詠唱研究会のどちらかに新入生全員が入部届を出すなんてことはないですよね?」

「ないよ。多分、そうじゃないかな?まあ、実践戦闘研究会は上限20名にしたよ。魔法詠唱研究会は?」


「こっちは40名です。研究だけするのもありにしましたし、部室は大きいですし、研究棟も貰いましたから。多くの新入生に機会を与えて、早く呪文で成果を出したいです」

「でも、この前発表したよね。トルネスト名義で?」


ルーナがルーナリア・トルネスト名義で付与魔法と結界魔法の呪文を発表した。これがかなり評判が良く。もうルーナリアには学院卒業後に研究所への就職が決まりそうなくらいオファーが来ている。


本人は悩んでいるらしい。ガリシアン家が大喜びだ。付与魔法を誰でもできるので、斥候部隊が風魔法で音を消して近づいたりが簡単になったとか。


「ええ、でも、それでもです。この研究は多くの人の希望ですから」

「あんまり頑張るすぎて、研究所に恨まれないようにね」

「ええ」


ちなみに研究所も頑張っていて、回復魔法と各属性の魔法の中級魔法までが呪文化された。これがかなり大きい成果で、戦力アップが多い。


俺も卒業式直前に研究を発表した。生活魔法という。風と火を合わせて、乾燥させる魔法の呪文と、水をかき混ぜる水魔法で洗濯して脱水をする魔法の呪文だ。これが主婦層に大受けだ。うちのメイドのために作ったけど、発表した方がいいとすごいので発表した。


こんな魔法を作るのは俺くらいらしい。だから貴族たちは一瞬、疑問に思った。また魔術師たちも。だが国民たちは大喜びで俺に感謝したみたい。女性人気が上がったよ。特に年配の女性の人気がね。


最近は飲食店などに行くとサービスがいい。洗い物に俺の魔法がいいとか。さらにその魔法を使った魔道具もできて、凄くいいんだと。知り合いの魔道具屋に作ればいいと言ったら、ぼろ儲けだとか。俺はその魔道具屋では無料で買い物ができる。


ここ数ヶ月は多くの良いことが国内にあり、国民の熱気がすごい。好景気というものだね。


それから俺は帰った。帰って訓練をして、夕食まで免除試験の勉強をしていた。

「マルク様、ラルク様がお帰りになられました」

「ああ、今行くよ。リリアありがとう」

「はい」


食堂に行く。

「父上、おかえりなさいませ」

「ああ、ただいま」


「父上、今日、カリウス先輩にお会いしました」

「そうか。もう終わる。あいつがな」


「はい。知っているのですね。黒幕を」

「ああ。あいつがとは驚いたがな」


「でも、父上とガルド様に伝えたいことがあります」

「?なんだ?」


「はい。彼奴が本当の黒幕とは思えないのです」

「どういうことだ?」


「はい。レオサード元公爵やガルバインを動かせるほどの者でしょうか?」

「うむ。でも聖国や帝国が裏で動いているなら」


「ええ、でしたら、彼奴もガルバインらと同じでは?」

「そうか。それはあり得る」


「ええ、ですから、それをガルド様にお伝えください。それに聖国の動きが大きすぎるきらいがあります。ルドルフがいなくなった理由はわかります。


ドンナルナ家の二人の男児のうちの一人というのは、十分に聖国が狙う理由があります。ただ、他にも失踪した者が多いとなると、狙いがバレバレで、聖国と帝国の仕業ですと言っているようなものかと」



「うむ。それはそうだな。それはガルドも裏があるのかと言っていた」

「はい。何か裏があるのは確定として、彼奴が本当の黒幕でないとすれば、後手を踏む可能性があります」

「ふむ。わかった。明日、ガルドと話す」


「はい。ただ、彼奴の周りにいる帝国と聖国の犬は捕まえておく必要はあるかと思います」

「ああ」

こうして父上と例の件を話すと


「もう、難しい話は終わりね。夕食にしましょう」

「はい。母上」

「ああ、リネア」


「それで、マルク、新入生はどう?」

「はい。実践戦闘研究会に120名、魔法詠唱研究会に100名超えくらいが入部届を出されたみたいです」

「そう。すごいわ」


「ああ、槍術研究会は潰れないと良いが」

「伝統があるので大丈夫かと。今の部は去年よりかはマシな気もします。全体的に去年までの嫌な雰囲気が少し減りましたね」

「そうか。ならいいが」


「フッ。流石に自分が作った部は気になるのね?」

「ああ、少しな」

「いいことじゃない」


「まあ、私も後一年で学院での教師は終わりだし、実践戦闘研究会と魔法詠唱研究会のことは気になるようになるかしらね」

「どうですかね。まぁ、俺は少なくともそうなる気がします」

「マルクはずっと心配してそうよ。今年はどうだ?去年は・・・なんて言いそうね」

「ええ」


こうして食事をして、その後に部屋でもう一度勉強して終了した。


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