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3日目 武闘大会

翌日


今日は軽く訓練をしてから学院に来た。多くの生徒がまだ準備していた。実践戦闘研究会はお休みのため、皆準備万端で武闘会に臨む。


「おはよう。今日は勝つからね」

「ああ、おはよう。アレス。負けないよ」


全員いるらしい。レオナやルーナは応援だ。


『武闘会参加者は校庭中央にお集まりください。ご観覧の皆様は校庭の席にてお集まりください』


アナウンスが聞こえて来た。集合の時間だ。俺は二回戦からだから、まあゆっくりと準備しよう。みんなが校庭に集まる。68人がいる。二年生も三年生もいる。三年生は入試に合格した組だろう。その中にははうち部のリック先輩とマイル先輩も入っている。参加者は皆かなりできるだろうから、気を抜かないようにしなくちゃ。


よし、ストレッチしながら係を待とう。1、2、3・・・。始まりの時間が来たみたいだ。

「はい、参加者の皆さんよくいらっしゃいました。では、これから武闘会を始めます」

「「「「「はい」」」」

「では一回戦・・・・」

一回戦が始まる。俺らは控え室に向かう。レオナたちの声とメル姉たちの声が聞こえる。


一回戦はつつがなく終わった。ついで二回戦、俺の出番は最後だ。アレス、リオル先輩、マーク、ヨークス、ルーイ、その他の実践戦闘研究会のメンバーも勝った。俺の出番だ。相手は知らない二年生だ。


まあ一撃で終わった。気をぬくことなく、相手を観察して、隙をついて、一撃を食らわした。それで吹っ飛び、終了した。


ついで、三回戦だ。アレス、ヨークスは相手が弱く、無事終わった。盛り上がったのは、マークとルーイに、ラックス先輩とルックス先輩の兄弟対決と、ジンダ先輩対ジュライ先輩の対決、リオル先輩とクリス先輩の対決、そして俺対ライル様だ。どれも好試合で、いい試合になった。


まず、ラックス先輩対ルックス先輩の双子兄弟対決だ。この2人は戦法も、武器も、スキルも同じという特殊な2人で、それ故に2人での攻撃を得意にしている。決して1人だと弱いわけではない。


だが全く同じ身体能力に、スキル、戦法のため、勝負は技術差と戦術差だ。審判はトーラス先生だ。2人はスピードタイプでお互いに速い動きで所狭しと動く。一瞬の剣の交錯で勝負は決まる。見逃せない。


ラックス先輩が一瞬だが、ルックス先輩をスピードで上回る。しかし、それは誘いだった。ルックス先輩が魔法で水たまりを作っていたところに誘導された。一瞬だが足を取られるラックス先輩、そこを見逃さず一気にルックス先輩が突く。試合は決まった。


だが予想と違い、勝ったのはラックス先輩だった。誘いも水たまりも読んでいたようだ。相手の動きに合わせてカウンターの突きだった。足を取られたのは演技か。いい試合だ。力量が同じなため、戦術が勝負となった。観客席はわいた。


次いで、ジンダ先輩対ジュライ先輩だ。この2人は重戦士タイプで授業でも、部活でもいつもいい勝負の2人だ。長い撃ち合いだった。お互いに技の衝撃は凄まじく、圧倒的に派手な戦い。


重戦車同士の戦いは結局はジュライ先輩が勝った。これで87勝86敗でジュライ先輩が勝ち越したらしい。またジンダ先輩が追いつくような気もする。


そして、クリス先輩対リオル先輩はお互いに手を知り尽くした戦い。うちの部活で最も伸びているのがクリス先輩だ。クリス先輩は最初はヘナっとした人だったが、今は筋肉が引き締まり、必要な筋肉が必要な分だけある。最高の体をしている。


対するリオル先輩は魔法を使えなかった代わりに武術を磨いた武術家だが、うちの部活で魔法を使えるようになり、中衛のマルチ型として、他とは力が違う。でもクリス先輩の伸びは侮れない。それはリオル先輩が一番知っている。最も仲の良い2人だ。


リオル先輩は様子を伺う。それに対して、クリス先輩が一気に行く。速い剣術でリオル先輩から主導権を奪う。これには驚いたのか、なかなか攻撃には入れないリオル先輩。


これに観客席から応援が飛ぶ。クリス先輩に『行けー』という声、リオル先輩に『頑張れー』という声、どちらもイーブン。いい試合だ。しかし、それも終わる。一瞬の隙をついたリオル先輩がカウンターを繰り出す。これがクリーンヒットして、クリス先輩は崩れ落ちた。


それとルーイ対マークはすごい試合だ。お互いの得意技の対決だ。ルーイのアクセラレーションに、マークの身体強化だ。スキル成長はマークが一番で、身体強化は硬化と疾走を増やし、進化した。これはかなりいいパターンだ。


どちらも強い。一瞬のスピードはルーイ、しかし身体能力を使った重戦車でかつ速度型のマークは強い。どちらが上手く戦うかだ。勝負は長くなった。ルーイはアクセラレーションを繋いで使えるようになり、一瞬一瞬のスピードは俺より速い。


それに対して、マークは硬化と疾走を使い、アクセラレーションの終わりにカウンターを狙う。お互いの良さを存分に出した一戦はマークがカウンターを決め勝った。


最後は俺とライル様だ。ライル様の剣術は絶妙な間合いが特徴で防御に優れる。盾の使い方もうまい。万能な前衛型だ。俺は中衛万能型、リオル先輩と同じ。


今回の試合は万能型同士の戦い。俺の方がリーチ分で有利と言われる。模擬戦を部活動でする時はそう言われることが多い。しかし、今日もそうとは限らない。決して気は抜けない。魔法が一番伸びたのがライル様だ。魔法ありの今日の試合は気を抜いていい試合じゃない。


試合が始まっても、距離を詰めてこない。これは。魔法を撃ってきた。いいタイミングだ。俺も意表を突かれた。だが、それで負ける訳にはいかない。


俺は避けると同時に魔法を付与し、疾駆を使う。スピードの上がった俺はライル様の一撃に反応して、カウンターを繰り出す。これは読んでいたのだろう。ライル様もいなし避ける。


だが、そこから俺は一気にラッシュをかける。ライル様は徐々に追い詰められ、俺の突きが当たった。それが終了の一撃となり、ライル様は場外に吹っ飛んだ。観客席は息を呑むかのように静まり返った。


こうして、三回戦が終わった。次の準々決勝は俺は三年生の実践戦闘研究会のメンバーのリック先輩と、アレスはジュライ先輩、リオル先輩はラックス先輩、ヨークスはマークだ。ヨークスはマークと強敵だが、アレスはジュライ先輩を苦手だ。重戦車はアレスには不利だ。


「マルクと戦いたかったが、マークが強かった。模擬戦で戦っていたが、カウンターがさらに鋭くなったよ。ヨークス、気をつけろ。マーク、ヨークスの『グラビティーソード』は変幻自在だ。上手くカウンターを合わせないときついぞ」

「「ああ」」


「ルーイも惜しかったね。さらにスキルをつなげるようになったよね。いいスキルだ」

「ありがとうな。でももっと強くなるぞ」

「ああ」


次の試合はアレス対ジュライ先輩だ。アレスはどう戦うか。一発は重いし、硬い。スキルは『一撃必殺』というもので、一撃をいつもの数倍の重さにできるスキルだ。カウンターで合わせられたら、ひとたまりもない。それこそマークの硬化が必要だ。


アレスは動かない。不思議だ。アレスの戦法はスピード型のはず。なのに動かない。これは何かを狙っている。だがそれがわからずにジュライ先輩も動けない。お互い精神戦となる。


これはジュライ先輩が苦手とする戦法か。これが狙いか。動けばやられる。いい戦術だ。最近、レオナに戦術を熱心に習っている効果だ。ジュライ先輩は焦れた。


動くが、もちろんアレスはこれを待っていた。一気に避け、ジュライ先輩の横にそこへ雷剣だ。決まった。ジュライ先輩が吹っ飛ぶ。観客はすごい試合に熱を帯びる。


次いで、リオル先輩対ラックス先輩だ。これは意外に先ほどの試合で疲れたラックス先輩のスピードが遅く、リオル先輩が楽勝だった。観客からブーイングだ。


ラックス先輩はシグルソン教官の説教が決まった。


そして、ヨークス対マークだ。これはもう壮絶という戦いだった。一進一退の戦いで、ヨークスもマークも対応力が高いタイプだから、お互いの技に見事に対応する。カウンターを繰り出し、それに対応してやり返す。観客席は凄い試合を見たと言わんばかりに熱がこもる。


そしてどんどんと静かになる。その撃ち合いが終わるまで十分もかかった。終わりはなんと両者の一撃が同時に決まり、両者が倒れた。引き分け。アレスの決勝進出が決まった。これには観客も怒るかと思ったが、万雷の拍手が鳴り止まない。


俺はリック先輩との準々決勝だ。リック先輩は拍子に特徴があり、やりづらい戦い方をしてくる。なんというか、リズムが違うというか、思いもよらないタイミングの攻撃をしてくる。


俺はそれを丁寧に捌き、カウンターを狙う。何度もの撃ち合いの末、何とかカウンターの突きを入れて勝った。リック先輩は突きを食らったが、たちが上がり、握手をした。



そして、俺は準決勝は俺対リオル先輩だ。ここは決勝への最大の山場だ。リオル先輩は二年次の実技の圧倒的な首席候補だ。最近、カリウス先輩が学校に来なくなり、そう言われる。それまではカリウス先輩とリオル先輩が争っていたが。それに対して、一応は俺が一年次の実技の首席候補だ。


だからこれが今年の学院最強戦とも言われる。ただし、アレスとリオル先輩と俺は評判が高いため、甲乙つけがたいと言われる。まあ、リオル先輩やアレスは俺が最強と言うけど。俺は負けていないとは思うが、勝っているとは思わない。負けたくない。


こうして始まる試合。俺と向き合ったリオル先輩は笑う。

「マルク、武闘オーラを使え。本気でこい」

「わかりました。行きます」

俺は武闘オーラと疾駆を使える準備をする。


俺とリオル先輩は間合いを図る。互いの間合いで進めたい。しかしリオル先輩の一番の武器はこの間合いのうまさだ。これは俺もリオル先輩に敵わないところだ。自分の間合いにするのがうまい。


リオル先輩が足を小さく動かす。これは、砂嵐か。風魔法も使ったな。足から魔法を使用したようだ。一瞬見えなくなった。一気にリオル先輩の間合いにされた。うまい。リオル先輩が打ち込んできた。だが右腕に硬化をかけ、右腕の籠手で防ぐ。一瞬、リオル先輩は驚く。対して観客席は決まったと思ったのだろう、歓声をあげる。


しかし、砂の中から現れたのは、無傷の俺だ。これに観客席は一度静かになるが、それから歓声が上がる。


俺は歓声を無視して試合を進め、硬化をかけたまま、武闘オーラと疾駆をかける。これは父上もできない。疾駆と硬化を両方一緒にはスキルでは無理なようだ。反発するらしい。


一瞬できた隙に、一気に突きを入れる。しかも槍に武闘オーラの覆で強化してだ。これには観客席から「ラルク様やアルフ様みたい」と声が聞こえる。この一突きがリオル先輩の胸にきっちり入り、試合は決まった。短い試合になったのだが、観客席から歓声が凄い。



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