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それぞれの関係

「その話は食べながら聞こうかな。とりあえず注文しようか」


メニュー表を取り、みんなが見えるように横向きに広げて


「ふーむ、オムライス、ホットサンド、パンケーキ……。腹減ってるからどれも食べられそうだけど、やっぱりオムライスにするかな。お米が食べたい。みんなは決まってるのか?」


ある程度メニューが頭に入っているのだろう、そこまで真剣にメニューを見ている感じは無かった。


「俺は決まってるぞ」


桜と茜も同様の様だ。マスターに声を掛けオーダーを伝える。


「オムライスをお願いします」


みんなもそれぞれ食べたいものを伝えていく。注文を聞くとマスターは厨房で作業を始めた。


「それじゃあ、引き続き二人の関係を訊いていこうかな」


意地悪く微笑むと尋問でもするかのような気分で二人に話を聞いていく。周りから見ればただの友人同士の付き合いにしか見えないが。


「特に関係と言われても。なぁ?」

「ええ、そうね。家が近所で幼馴染なのよ。幼稚園から高校までずっと一緒の腐れ縁ね」


やれやれ仕方ないといった感じの茜である。


「へー、中学までなら分かるけど、高校までとはね。海斗がよく星ヶ丘に受かったな。正直意外だわ。茜を追いかけて勉強を頑張っちゃったみたいな?」


意外そうにしながらもからかう様に言っていると、桜から声が上がる。


「ホント不思議だよね。海斗君、この見た目で学年トップテンから外れたこと無いんだから」

「え!海斗、勉強得意なのか!?」


信じられないものを見た様子で、海斗の顔をまじまじと見つめて。


「失礼なやつだな。俺は出来る男だからな。どちらかと言えば、俺が茜の勉強を見ていたくらいだぞ。そう言えば、茜は入試前に急激に学力が上がったよな」


ドヤ顔で海斗が自慢していると、隣で茜が少し顔を赤らめ恥ずかしそうにしていた。


「ほー、それは凄い」


これは良いものを見たと言わんばかりに茜のほうへニヤニヤとした視線を向ける。


「何よ、その視線は?」


茜は優希を一瞬睨みつけるとプイッっと視線を背ける。

そうこう話をしていると注文していた料理が届き始め、湯気を上げる美味しそうな料理がテーブルに並ぶ。


「それじゃあ、いただきます」


優希は手を合わせ食事の挨拶をすると、スプーンを片手にオムライスを食べ始める。


「ん!美味い!」

「だろー。俺たちが通う理由が分かっただろう」


海斗が自慢げに語りかけてきて、桜、茜も届いた料理に舌鼓を打つ。

食事を進め一息つくと


「それじゃあ次はこっちが聞く番だな」


海斗が口を開くと、不思議そうな顔で優希は海斗を見る。


「ズバリ、桜との関係だな」


急に自分の話が出て驚いてしまい、桜がむせてしまう。


「ちょっと!朝も説明したじゃん。ウチのお隣さんで、今日初めて挨拶したって」

「いやだって、今日初めて会ったにしては二人の距離感が近すぎないか?桜も男の友達がゼロじゃないけど、こんな距離感の奴いないしさ」


海斗が桜をニヤニヤと見ている横では、茜もうんうんと頷いていた。


「ほら、優希君からも何か言ってよ」


桜は助け船を求めるように優希を見て


「何か」


すかさず、桜からわき腹を小突かれる。


「真面目に」


桜からは怒りのオーラが溢れはじめた。


「真面目にと言われてもな。橋本さんが言ったとおりで」

「そこだけが違和感があるな。俺と茜のことは名前で呼ぶのに、桜のことは名字なんだよな」


優希の言葉を捕まえて、海斗が訊いてきて


「馴れ馴れしく呼んだら嫌がるかもしれないからな」

「頭まで撫でておいて良く言うよ」

「あのことは忘れてくれ」


そういえばと先程のことを思い出す。


「桜は名前で呼ばれるの嫌だったか?」

「全然大丈夫だよ。私もいつの間にか優希君のこと名前で呼んじゃってるしね」


海斗が桜に問いかけると、名前呼びはすんなり受け入れられる。


「だとさ。これで何の問題もないな」

「俺は構わないけど、そこまでして名前で呼ばせたいか?」

「気分的なもんだよ。みんなが名前で呼んでるのに一人だけ名字だと違和感があったからな。おっと、話が逸れたが二人の距離が近いって話だったな。悪い悪い」


望んで話したいわけではないのだがと思いつつも、優希は会話を続ける。


「桜とはホントに今日初めて会ったんだよ。もちろん、気が合うなっていうのは個人的に感じてるけど」

「うーん、端から見てると恋人って言っても通じる気がするけど」

「桜みたいに可愛い彼女だったら嬉しいけどな」


冗談めかして言うと、再び桜からわき腹を小突かれる。先程よりも強めに。地味に痛い。


「優希君はすぐにそういう事を言う!朝だって会ってすぐにか、可愛い…、とか」


自分で言ってて恥ずかしくなったのか、顔を赤くして徐々に声が小さくなっていく。

そんな姿を三人で微笑ましく眺めているのであった。


「なるほどなるほど。優希は桜のことがタイプだという理解でよろしいか?」

「どんなキャラだよ。タイプであることは否定しないがな」


そんな会話が進められると、桜が赤くなって俯いてしまう。


「桜」


茜から声が掛かり、助け舟かと期待した桜は茜に救いを求めるかのような視線を送る。しかし、やはり茜も海斗と同類なのであろう。


「頑張って」


淡々と言葉を発し、視線にサムズアップで返すのだった。



食事も終わり話をしていると、あっという間に15時を過ぎていて


「結構長居しちゃったな。そろそろ出ようか」


伝票を持って会計へ。支払いの際に優希は


「ごちそうさまでした。すごく美味しかったので、また来ますね」


そうマスターに伝えて外に出るのだった。


「俺達はもう少し遊んでいくけど二人はどうする?」


海斗と茜はまだ何かをするようで、こちらに提案を投げかけてくる。


「悪い。今日は帰るわ。家に何もないから、家の近くで食料品とか買わないといけないし」

「私も帰るよ。たまに早く帰る時くらい、お母さんの手伝いしたいからね」


二人がそう返すと、気にした様子もなく


「それじゃあ、また明日学校でな」


そう言って、海斗と茜は再び歩き出した。


「それじゃあ、俺達は帰るか。桜がいてくれて良かったよ」


えっ?っと桜は思いながらも


「まだ道がよく覚えてないからさ。一緒に帰ってくれると非常に助かる」


無言で小突かれ、何が何だかわからない優希だった。

他からどう見えてるのか知りたいので、良かったら「こんなタグ付けたら?」っていうご意見下さい。お待ちしております。

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