新しい日常
本日ユーザー登録をして、プロットも無いまま3時間程度でとりあえず書いてみました。
先の展開はあまり考えてないです。日常を楽しくかけたらいいな。
テスト投稿みたいな感じです。
「ん?どこだここ?」
カーテンから漏れる4月の暖かい日差しで目を覚ますと、そこは見慣れない天井だった。
「そうか、今日は転校初日だっけ。最初が肝心だし、ちゃんと準備して行かないと」
『伊藤 優希』は今日から一人暮らしの高校2年生。両親の仕事の都合により家族全員で引っ越す予定だったものの、父の勤める会社で大型リストラが行われたにより再び配置転換。なんとそのまま引っ越すことなく、元の場所で働き続けることになった。しかし編入試験をして高校が決まっていた優希は卒業まで一人暮らしをすることが決定した。
住んでいるところは家族で暮らす予定だったためファミリータイプの賃貸マンション、一人暮らしには広すぎるくらいである。
「朝食は適当にコンビニで買うか」
そう独り言のように言いながら、テキパキと準備を進めていく。
新品の制服に袖を通すと、去年も同じことしたな、と再び新入生気分に浸るのだった。
身だしなみを整え、時間に余裕を持って家を出る。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
ドアを開け外に出ると、おそらく10代であろう少女の声と、それを見送る母親の声が聞こえてくる。
声のした方へ視線を向けると制服に身を包んだセミロングの艶やかな髪が特徴的で快活そうな女性と、母親というには若い気もするが、おそらく母親であろう人物と視線が重なり
「おはようございます。昨日から隣に引っ越してきた伊藤優希と言います。よろしくお願いします」
躾の賜物であろう、咄嗟に自己紹介と挨拶が口から出てきた。
「あら、若いのにしっかりしてるのね。橋本菫です。よろしくね。ほら、桜も挨拶して」
頬に手を添え、感心したように微笑み自己紹介を行う。こちらに視線を向けたまま固まってしまった娘に声を掛け、挨拶をするように促して。
「えっと、橋本桜です。よろしくお願いします」
少し顔を赤くして、あまり大きく無い声で挨拶を行うと
「ごめんなさいね、この子ったらちょっと人見知りで」
「もー!お母さん、余計なこと言わないで!」
困ったわと言わんばかりにため息をついた母親に被せるように桜が声を荒らげる。
再び視線を優希に向けると、自分が通う学校の制服であることに気付いて
「伊藤君、星ヶ丘高校に入るの?同じ学校だね」
母親からこれ以上余計なことを言われまいと、珍しく自分から初対面の人物に声を掛け、自然と話せるようになっていて。
「そうなの?女子の制服を知らないから、橋本さんが同じ学校だって気づかなかったよ。というか、人見知りっていう割には普通に話せるんだね。」
意外そうに、少し意地悪くそう訊くと
「もう!伊藤君もその話は忘れて!ホントに最初だけなの、話し出せばあとは普通に会話出来るんだからね」
心外だと言わんばかりに少し膨れて見せると、その姿はただただ可愛いだけで。
「ごめんごめん。でも、あんまり怒ると可愛い顔が台無しだぞ」
言葉の意味を理解すると、桜はあっという間に顔を赤くしてしまい、頬を両手で押さえ恥ずかしそうに眼を瞑る。
「初対面の女の子にそんなことをポンポン言う?もうっ!恥ずかしいじゃん!」
そう言うと、桜はそのままマンションのエレベーターの方へ歩き出してしまい、優希は菫と顔を見合わせるのだった。
「ごめんなさい。何だか娘さんを怒らせてしまったみたいで」
申し訳なさそうに頭を下げると、そこに声が掛かり
「いいのよ気にしないで。照れてるだけでしょうから」
微笑みながらそう言って会話を続けようと思っていると
「伊藤君!早く行かないと学校遅れちゃうよ?」
既に学校へ向かっていたはずの桜がエレベーターの扉を開けたままこちらの様子を伺って声を掛けてきた。
わざわざ待ってくれていたのかと優希は嬉しい気持ちになり
「それじゃあ、橋本さ…、どっちも橋本だし。菫さん、行ってきます」
名字で呼ぶと区別がつかず、また、お母さんと呼ぶのは違うと思い名前で呼ぶことに決めて。
「はい。行ってらっしゃい、優希君」
優希に合わせるように名前で呼び、手を振って学校へ向かう二人を見送るのであった。
「わざわざ待っててくれたの?ありがと。橋本さんって優しいんだね」
エレベーターに乗り込み扉が閉まると、そう言って桜へ微笑みかけて。
「怒ってたから先に行っちゃったと思ってたんだけど」
「一言多い!伊藤君って結構意地悪だよね。さっき会ったばっかりだけど、何かそんな気がする」
ジトーッと睨みつけるようにすると、プイッと顔を背けてしまう。
しかしそんな様子もすぐに切り替わり
「伊藤君、今日が登校初日でしょ?最初は職員室に行くの?」
テレビや漫画でそういうシーンがあったことを思い出し確認してみる。
エレベーターも1階に到着し、マンションを出るとそのまま学校へと歩きだして。
「そうだな。とりあえず職員室に来るようにとは言われてるね。まあ、職員室がどこにあるかは分からないけど。適当に誰か捕まえて訊いてみるよ」
そんなプランを伝えるとおもむろに桜が立ち止まり、胸に手を当て私に任せてと言わんばかりに、ドヤ顔で立っていた。
「ほら、早く行こうぜ」
何事も無かったかのように再び歩き出すと、桜が慌てたように後を追いかけてきて
「誰かなんて言わなくても、ここにいるじゃない。私が教えてあげるよ、訊いて訊いて!」
「いや、何でそんなに必死なのさ」
呆れたように言いつつも歩みを進めれば、桜も同様に追いかけるように歩き続けて。
「後輩には優しくしなきゃね。分からないことがあったら教えてあげるよ。何と言っても先輩だからね」
「へー、それじゃあ、橋本さんは3年生なんだ?今年は受験で大変だね」
星ヶ丘高校は少々レベルが高い進学校で、当然進学する大学もそれなりのものを要求される。
転校してくるに際に受けた入試のレベルの高さを思い出し、自身の中の桜の評価を少々上方修正した。
「え、今日から2年生ですけど」
「? 俺も今日から2年生ですけど」
どうにも話が噛み合わない。
「だって伊藤君、そんな綺麗な制服着てるし、新入生じゃないの?」
「いや、編入生なんだから、制服は綺麗でしょ」
何を当然のことを言っているのかと言わんばかりに言葉を返すと、桜は自分の勘違いに気付き顔を赤くして、両手で顔を覆った。
「星ヶ丘の学校生活という意味では先輩なのは間違いないんだし、問題なんじゃないかな。ね、橋本先輩?」
意地悪く言って笑うと、桜は顔を上げ
「伊藤君はやっぱり意地悪だ!」
プイッと顔を背け、学校へと急ぐのだった。
文章書くのって難しいですね。




