(仮)
酷く暑い夏の日であった
遠くから聞こえる蝉の鳴き声、照りつける暑い太陽、木漏れ日が眩しいあの日を、
あの森をきっと少女は永遠に覚えているだろう。
目の前に広がる赤い赤い血の海、血がこびり付いたチェーンソーその中心にある肉片、手足
それを理解した瞬間無意識に少女は叫んだ
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
腰を抜かしその場に、座り込む少女後ろから草を踏むザクザクという音に気が付いたのはその時である。
「あぁあ、見つかっちゃったかぁ」
逆光でその顔は見えないが黒い長袖のパーカーにジーンズ、身長は170cmほどの男がこちらに向かってくる。「まぁでも君ならまあまあ美人だし当たりかなぁ」独り言を呟きながら少女、櫻木響可の前まで来た。響可は真夏のこの日に上下とも長袖の汗一つかいていない男にその不気味な男に恐怖し思わず後ずさる「あはは、まだ僕何もしてないじゃん!いやぁ本当に面白いねぇ、あっははは!」男は笑いながら「ねぇ!君名前は?」そんな事よりも反射的に聞いてしまう「あなたが、、あなたが、したの?」今まで笑っていたのが嘘のような怖い顔で少女を見下す男。「だからさぁ名前、言えって言ったよね?ほら、早く言えよ。」あまりの恐怖で嘘を着くなど考えもしなかった響可は思わず「ひ、ひびか、さくらぎ、ひびか」すると男はまたパッと笑顔を作り、「へぇー!いい名前だねぇ!僕もそんな名前がほしかったなぁ!じゃーあーとりあえず携帯で警察、呼んでね!」それだけを言って立ち去ってしまった男震える手で警察に電話をかける事ができたのはそれから10分が経ったことだった少女の、櫻木響可の証言から直ぐに犯人の特定ができるはずだった