先王の孫になりすませ
次の日、俺たちは再び大図書館を訪れた。王家の事情は建国からの歴史書で知ることが出来た。
現在の王様は「グリドリッジ」といい、先王の次男らしい。第一子の「フリーデル」は十年前の魔族討伐の際に戦死したと記録されている。魔族討伐は成功し、領土を大きく拡大したことになっているので、戦死はちょっと怪しいところだ。
グリドリッジには三人の娘がいるが、息子はいない。王位継承は男子に限るという不文律があり、現在の皇太子は先王の三男「アルフォス」の息子の「グルード」になっている。
グリドリッジに息子がいれば、それが皇太子となる。フリーデルに息子がいれば、それが皇太子となる。
まとめると、先王の孫が皇太子になるので、先王の孫になりすませれば皇太子になれるということだ。妾の子でも隠し子でもオーケーだ。
歴史書からわかる家系図はここまでだ。詳しい事はもっと近しい人に聞かないとわからない。
まず、セスカがメイドになって潜入し、噂話を集める。
その間に、俺はマジックアイテムを集めて回る。必要なのは最高級のウイッシュリングだ。効果は文字通り「願いをかなえる」だ。これを最低でも十チャージ分は必要だ。宮殿内で身バレしそうになったらすかさず使う。
次に、誰に成りすますか決める。なりすます人物に必要な王家グッズが必要になるから、あらかじめ盗んで用意しておかなければならない。王家グッズというのは水戸黄門のいんろうのようなものだ。出して見せればすぐに身分を証明できるものだ。
皇太子に成りすましたら、今の王様であるグリドリッジを暗殺すればフィニッシュだ。この国はセスカファミリーのものになる。
ここで大きな障害がある。宮廷魔術師の「シロツグ」だ。魔法面で王家を支援している。高レベルのマジックユーザーとなれば、魔法で何でもアリだ。嘘を見破る魔法を何発も撃たれたらウイッシュリングがいくらあっても足りない。
だましとおすのが無理ならば、懐柔だ。シロツグは名前から予想するにプレイヤキャラクタだ。この国の半分をやろうといえば、仲間になってくれるかもしれない。
最悪の場合、暗殺だ。
俺の予想だが、多分暗殺になるだろう。
危険をはらんだ毎日を送るくらいなら殺しちゃった方がすっきりする。
そんな、途方もない計画をしているうちに丸一日が過ぎてしまった。
ちなみにさっきゅんは活躍のしどころが無い。モンスターを警備の厳重な宮廷にいれるのは難しい。魅了の魔術は使えるかもしれないし、出番がないかもしれない。
とにかく明日だ。明日からすべてを始めよう。




