S12 レベルアップ
それからクロットミットのリンク狩りを行っていたパピィとククリはとうとう待ちに待っていたある決定的な瞬間を迎える事になる。
頭上を旋廻していた最後のクロットミットをパピィが弓で撃ち落としたその時だった。
突然、光を帯び輝き始めるパピィとククリの身体。
「うわ、光ってるよ。わたし達の身体!?」
「いやいや、幾らわたしが可愛いからってそこまで演出せんでも」
「いや、それは違うと思うが」
ククリが冷静に突っ込んだところで二人は互いにその場に鳴り響く爽快な効果音を確認する。
「わかりやすい効果音だね」
「まさに今レベルが上がりましたよ的な」
二人はそんな会話を交わしながらふとPBを開き自らのステータスを確認し始める。
するとステータス画面には見慣れない新たな表記が追加されていた。
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ステータス振り分けP----- 3
→ポイントを振り分ける
※再分配まで<0:00/24:00>
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「ステータス振り分けポイント?」
ククリが画面の文字をなぞって読む傍らでパピィはキーボードを素早く弾き始める。ポイントを振り分けるというリンクを開いたパピィのPB上には新たな画面が展開されていた。
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〆ステータスP分配
物理攻撃力 -------- 10 ▼▲
物理防御力 -------- 10 ▼▲
魔法攻撃力 -------- 10 ▼▲
魔法防御力 -------- 10 ▼▲
<残り3P>
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画面から推測するにはレベルが上がった事により、ステータスにプレーヤーが自由に割り振れるボーナスポイントが発生したのだろうとパピィは容易に判断がついた。
画面を見つめながらとりあえずパピィは試しに適当に値を振り始める。再分配の表示が前画面に在った事からポイントは時間が経てば何度でも振り分け直せる。そう判断したパピィは全く考え無しにポイントを割り振り終えたのだった。
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〆ステータスP分配
物理攻撃力 -------- 10 ▼▲
物理防御力 -------- 10 ▼▲
魔法攻撃力 -------- 13 ▼▲
魔法防御力 -------- 10 ▼▲
<残り0P>
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「パピィ振り分け終わったの? 見せて」
パラメーターの振り分けに悩んでいたククリはふとパピィのPBを覗き込む。
パピィの振り分けは魔法攻撃力に全てのボーナスポイントを注ぎ込んでいた。
「ん、何で魔法攻撃力に全部ボーナスポイント振ったの?」
「いや、最も意味の無さそうなパラメーターだったので。今後の展開に期待」
それを聞いてがっくりと肩を落とすククリ。
「聞いたわたしが悪かったよ」
そしてククリもまた悩んだ末にパラメーターを振り分け終える。
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〆ステータスP分配
物理攻撃力 -------- 11 ▼▲
物理防御力 -------- 11 ▼▲
魔法攻撃力 -------- 10 ▼▲
魔法防御力 -------- 11 ▼▲
<残り0P>
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ククリのパラメーターの振り分けは魔法の存在が確認出来ない現在、魔法攻撃力を除いた全てのパラメーターを一ずつ補填するというものだった。魔法防御力にもポイントを割り振ったのには敵が魔法を使ってくる可能性を懸念しての事だった。
そうして二人はそれぞれレベルアップを遂げると、その日は村へと戻りレミングスの酒場で他愛もない談笑を楽しむのだった。