4月6日 入学式②
大きな窓から入る光が眩しい。
全面ガラス張りで出来た校舎がこの学校の売りなのだと誰かから聞いたような気がする。
確かに見た目はとても綺麗だけど、機能性はあまりなさそうだ。
まだ4月なのに、外から入ってくる太陽の光は少し強い。
今は春で暖かいから、そんなには困らないけれど、この調子だと夏になったらとてつもなく暑くなるのではないだろうか。
暑いのはあまり得意じゃないに。
まぁ、寒いのも好きじゃないけれど。
でもガラス張りだということは、冬も寒い風が隙間から入ってくるのではないだろうかとふと思う。
そうなると春と秋しか快適に過ごせないような気がしてきた。
やっぱりこの校舎に機能性はないんだろう。
「オシャレのため!!」と言って冬でもミニスカートにしていた女の子達みたいに、見た目の美しさの為には色々と犠牲にしなくてはいけないのかもしれない。
この校舎も、見た目の美しさの為に、快適な温度管理をどうやら捨ててしまったらしい。
夏の暑さと、冬の寒さをどう乗り越えるのか問題は、その都度対策を考えることにして、今はとりあえず教室のほうへと向かう。
5階にある教室まで、毎日階段をのぼるのは結構大変そうだ。
春休み中は家でずっとゴロゴロしていたから、階段をのぼるのも意外としんどかった。
運動するべきなんだろうか、いやすべきなんだろうけど面倒臭いし、しんどいなと思いながらも、黙々と階段をのぼった。
教室が近づくにつれて、クラスに馴染めるのか、友だちはできるかな、なんて不安がふと頭をよぎる。
色んな事を考えれば考えるほどに、不安と緊張が、頭の中をぐるぐる、コマみたいに回る。
緊張していてもどうにもならないし、もうなるようになれ、なんて思いながら、教室のドアを開けた。
ホワイトボードには、座席表が貼られていた。
黒板じゃなくて、ホワイトボードなんだ。
私立ってすごいな、なんて変なところに感動していると、すぐに入学式が始まるから移動するようにと放送が流れた。
教室に来たばかりなのに、もう移動するの、なんて思いながらも、これから始まる高校生活にわくわくしながら、入学式の会場へと走って行った。