4月6日 入学式①
4月6日 入学式
水色のリボンに、ストライプ模様が入ったスカート。
中学校のものとは比べ物にならないくらい可愛らしい、まだ新しい制服。
着慣れない新しい制服に身を包んだユキは、鏡の前でくるりと回ってみせた。
今日は高校の入学式。春休みからずっとそわそわして、昨日なんてぐっすりと眠れなかった。
誰も知っている人がいないから、ひとりぼっちになってしまったらどうしよう。とか、新しい友達はたくさん出来るかな。そんなことを考えながら、ダラダラしながらも充実した春休みを過ごしていた。そんな時間が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか入学式当日になってしまった。
あんなに楽しみだったのに、今は緊張してどうにかなっちゃいそう。
このまま家にいると学校に行きたくなくなってしまいそうだ。
遅刻するよりは、早めについたほうがいいよね。
まだ時間はあったけど、ユキは早めに学校に行くことにした。
これから通う高校は広くて、新しくて、レンガでできた校舎はなんだか病院みたいだと思った。
人工的で、堅苦しい雰囲気が漂っているような、そんな感じ。
「入学式」の文字だけが書かれた立て看板が、なぜだか余計に寂しく見えた。
入学式の1週間前、家にたくさんの教科書が届いた。
あんまりにも多くて、1年間でこんなにも勉強するのかと、ちょっとびっくりした。
それから3日後に、制服と体操服が届いた。
新しい制服にわくわくしながら段ボールを開けて、制服と体操服を取り出すと、底のところに小さな紙が入っていた。
「ご入学おめでとうございます!あなたのクラスは1年6組です。
これからの高校生活を楽しみましょう」と書かれていた。
クラス発表って掲示板に貼るようなものじゃないの、そんな制服渡したついでに発表するのなんて思ったけど、それでもこれから始まる新しい生活に、この時はまだわくわくしていた。
1年生の教室は5階にあるらしい。