再会
活動報告通り毎日投稿です!!
内容は少し少なくなってしまうかもしれませんがすいません。
基本はこちらの作品を優先に投稿していきますのでよろしくお願いします!!
俺はもう一度風花に会うために自分も死ぬことを決心した。
もし死んで風花に怒られても謝って許してもらおう。
大丈夫。あいつなら許してくれる。
俺は昼休みまでの時間を適当に過ごし、いよいよ待ちに待った昼休み。
「よし!」
俺は四時限目終了のチャイムとともに立ち上がり屋上へと向かう。
教師が「こら! 号令がまだだぞ!」とか言っていたが気にしない。
俺の通うこの鳳翔高校は学年が上がるにつれて教室の階が上がる高校だ。
俺は二年なので二階である。
他の学生が購買に昼食を買いに向かう中、俺は一人屋上へ向かう。
そして屋上の一階下の四階に着いた。
四階は主に理科室などの特別教室のある階でこの時間は人がほとんどいない。
誰にも邪魔はされないはずだ。
「風花。今からそっちに行くからな」
俺が意気揚々と屋上への階段を上がっていると、屋上へ続く階段から一人の女生徒が降りてきた。
もしかしたら屋上で昼を食べている人がいるのかもしれない。
そうなるとここで死ぬのは無理だな。
俺がそんなことを考えていると女生徒とすれ違った。
「あなた……ついてますよ」
「えっ?」
俺は女生徒の方に振り返る。でも女生徒の姿はもうなかった。
「今、確かについてるって言ったよな?」
俺は自分の全身をくまなく触ってみるが、何もついていなかった。
「なんだったんだ」
俺は女生徒の言葉に疑問を持ったがこれから死ぬ俺にとってそんな疑問は些細なことだった。
気を取り直して俺は屋上への階段を上る。
屋上のカギは開いていて扉を開けると少し強い風が俺を襲う。
屋上に出てみると誰もいなかった。
さっきの子が降りてきていたから誰かいるものだと思っていたが、これは絶好のチャンスだ。
俺は屋上のフェンスを上り、どうにか立つことのできるくらいの足場に降りる。
「やっぱり怖いな」
いざとなってみるとやっぱり死ぬのは怖い。
さっきまでは早く死にたいとか思っていたのに今は足がすくんで少し震えている。
「それにわかってはいたけど高いな」
下を見てみるといつもは大きく見える木や部室棟が小さく見える。
かなり怖い。
「わかってるよ風花。ちょっと待ってろって」
俺は声が聞こえたわけでもないのに風花にそう言った。
そして両足で前に向かって大きくジャンプする。
(大地!)
誰かが俺の名前を呼んだ気がした。
でも、それはたぶん気のせい、おそらく走馬灯の一部だろう。
ジャンプをした後はもう目をつぶった。
一瞬の出来事だと思っていたのに飛び降りてから結構時間が経った気がする。
実際はまだ数秒しか経っていないはずなのに。
俺は浮遊感に襲われながら落下していき、強い衝撃とともに意識を失った。
目を覚ますとそこは一面真っ白な空間だった。
身体を起こそうとすると、全身が痛んで碌に体を動かすことができない。
「俺……死ねたのか……」
俺が一人つぶやくと腹の辺りに声とともに衝撃が奔った。
「だいちーーーーー」
「ぐはっ!」
俺の腹に飛び込んできた誰かのひじが俺の鳩尾に見事に入り、ただでさえ痛い体に激痛が走りる。
鳩尾が痛くて身をよじるがそれも、もとからの全身の痛みの方にも激痛を与え、不のスパイラルを生み出す。
「いってー。だれだよ」
俺が激痛に耐えつつ、俺の腹の上に居るやつの正体を確かめるとそこに居たのは……
死んだ風花だった。
「風花!」
俺は風花に抱きついた。
全身が激しく痛むが今はそんなこと気にしてられない。
風花に会えたんだ。
また風花に会えたんだ。
こんなにうれしいことはない。
「痛いよ大地!」
風花が俺を突き飛ばした。
まあ、いきなり抱きつかれればそうなるか。
「風花。俺、お前に謝りたくて……だから死んでお前に会いに来た」
俺は手短に要件を伝える。
すると風花は首を傾げた。
「なに言ってんの? 大地生きてるじゃん」
「えっ!?」
するといきなりドアが開いた。
「大地!」
母さんだ。母さんが泣きながら入ってきた。
でも、母さんがいるってことは俺……生きてるのか?
「なんで屋上から飛び降りたの!?」
母さんがすごい勢いでまくしたてる。
「ちょっと人生に絶望して」
本当は風花に会いたくて自殺を試みたのだが、さすがに恥ずかしくてそんなことは言えない。
今思うと、さっき風花に言っちゃったし今更とは思うがさっきのだって今思えば普通に恥ずかしい。
抱きついたのはさらに恥ずかしい。
「ふざけないで!」
母さんに怒鳴られた。
風花の方を盗み見ると、いい気味だと言いたそうな顔で俺を見ている。
風花のやつめ
俺が風花に威圧を込めた視線を送っていると母さんが俺を怒鳴った。
「聞いてるの!」
「あ……あぁ」
「まったく、風花ちゃんのことがあったからってあんたまで死なないでよ」
んっ?
今、母さんおかしなこと言わなかったか?
「何言ってるんだよ母さん。風花ならそこに居るじゃないか」
俺が風花を指さす。
母さんは俺の指を指した方を見て、少し強張った顔をした。
「誰もいないわよ。それに風花ちゃんは死んだの冗談はやめなさい」
えっ?
だってそこに風花はいるじゃないか。
ちゃんと立って、喋って、笑顔でいるじゃないか。
俺は風花の方を見る。風花は困ったように笑った。
今思うと、風花におかしなところがある。
もし、死んでなくて生きていたとしてなんで風花はこんなに元気なんだ? 普通なら大怪我だろうに風花は傷一つない。
もしかして風花は……
幽霊なのか?
「とりあえず、何日も着替えてなくて気持ち悪いでしょ。家から着替え持ってくるから安静にしてるのよ」
母さんはそういうと部屋から出て行った。
「風花……」
風花はさっきと同じ困ったような笑顔で俺を見た。
「うん。私生き返ってないよ」
「……」
俺は何か言い返すことができなかった。
せっかく生き返ったと思ったのに、勘違いだったなんて
「それより私怒ってるよ!」
風花の方を見ると風花は怒ったように頬を膨らましていかにも怒ってますアピールをしている。
「なんで屋上から飛び降りたの! 私、本当に焦ったんだよ! 」
風花はさっきの母さんのように早口でまくしたてる。
「俺はただ風花に謝りたくて」
「死んで謝られても嬉しくないよ!」
「ごめん」
おとなしく謝った。
確かに俺にも悪いことところがある。
いや……ほとんど俺が悪いことだらけだ。
「本当に心配だったんだから……」
そういうと風花が俺に抱きついた。
俺は抵抗することなくそれを受け入れ、何度も「ごめん」と謝った。