表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名も無き怪物は英雄の夢を観る  作者: 黒ネコウサギ
2/3

第一章 『怪物は機械仕掛けの夢を見る』 一話



「うっぴゃあああああああ!!!!?」

                      きりや しんじ

最悪な夢見の最悪な寝起き。間抜け面のこの男、<桐谷 真司>は何時も通りに悪夢を夢見て跳ね起きる。


「……リアリティ無さ過ぎるんだよ……クソッタレ。」


リアル過ぎる夢は自分の喉元が裂けてた錯覚に襲われる。しかし、あの状況はリアリティが無さ過ぎる――。


この世界に神や天使や悪魔、果ては妖怪や亡霊、英雄と言った神話概念が実在していた事が立証されてから数百年に上る。

だからと言って、あの夢の内容は流石に現実味が無い。自分がああ言った場面に瀕していた事もだ。


胸の胸糞悪い感触に襲われて今にも吐きそうであったが、それでも俺の檜の棒はエクスカリバーにランクアップしている。


「俺も男だねぇ……ふっ……」


自らのご立派なエクスカリバーに惚れ惚れしつつ居間に向かうとそこにはお呼びではない客人が居た。


「よう。飯をくれ。目玉焼きの黄身は硬めで。後はお前の作った物なら何でもいいぜ。」


「……」 


言葉を失う。毎度の事だが自分の知らぬ間に家に侵入されるという物は慣れるものでは無い。

更に目の前のこの男はおはようも言わずに飯を要求してやがる。何という図々しさであろうか。


「何、突っ立ってるんだよ。寝ぼけてんのか、アホ面」

            くるなきゆい

凄く失礼である所謂幼馴染の<狂鳴 結>は毎朝、俺の部屋に無断で侵入しては朝飯を要求してくる。

一体どうやって五階建てのマンションの四階の俺の部屋に侵入しているのかを毎度毎度尋ねるが答えが帰ってきた事がない。


「……毎朝毎晩、何で俺の家に来るんだ……?朝食くらい自分の家で食えよ……」


「俺、お前の飯が好きだしお前のことも好きだから」


何てこった。愛の告白をされちまった。これで何回目だろうか?いや、一々数える程、俺も細かい男では無い。

コイツが女の子なら少し嬉しいシチュエーションだと思うが、男にされては余り嬉しくもない――あれ?。

男……。男……???俺は目の前に居る図々しい性別上男だと思われるそのを凝視する。


「……何だよ。」テレッ


中背であり、華奢で細身の体型でムチムチしてる部分はしてて露出の高い∨系ファッションからは肉付きの良い太腿やらが目に入り込む。俺は興奮する。

髪は姫カット。可愛いし、ファッションとも何故か似合ってて俺のは興奮する。

大和撫子風のその凛々しい顔付きからは想像が付かないが耳にはピアスを付け唇にもリングを付けている。

凝視され、照れて頬は赤みがかっている。実に可愛らしく、抱きしめてやりたくなる。いや、もう頬スリスリしたい。


――――モロタイプである。


「だから見てんじゃねえぞ、ブチ殺すぞ!」


ドゴッ!!!


「あっふぅ!!!!?!?!?」


遂に恥ずかしくなってキレたのか、盛大にケツを蹴られ骨が折れると思うくらいの衝撃が刺さる。コイツの何処にこんな筋肉が存在する…?


仕方なく蹴られたケツを撫でながら朝飯の支度を始めた――――――










「ご馳走様でした」


「お粗末さまでした……っと。微塵も思っちゃいないが。」


食べ終わった食器を片付け始める。とは言っても朝飯なので量は作っておらず自分と結の分のみ片せばいい。

水道に向かい、食器をどうせだからと一枚を丁寧に洗う。

現在、朝の7時、学校に行くにはまだ早い。徒歩15分までの学校には8時30分までに教室に居ればいい為、食器の片付けをしても一時間以上時間が余っている。


すると、結が突然と俺に対して語りかける


「最近、此処ら辺で事件が起こってるらしいな、しかも連続殺人。現在、殺害人数653人。

 手口は毎度同じで肉体の外側には一切の怪我無し。ただ、内臓器官を圧迫されグチャグチャに潰されている。

 ユーモア溢れる面白い殺し方だ事……。更に被害者全員がこの帝都で殺されてる。」


「知ってる……この帝国で非日常的だよな。しかも、そんな殺し方……。」


「この日本でそんな度胸ある奴が居るなんて思ってもみなくてよ。帝国人は狂人ですらビビリのチキン野郎だってのに。」


ゲラゲラと笑いながら楽しそうに語るが、余り笑おうとは思えない。別に人が死んでて不謹慎だからとかそんな訳じゃなくこの連続殺人がこの『帝都』で起こっている事である。『帝都』と言っても相当に広い都道府県ではあるのだが、俺が住む『刀京』地区で殺人事件が起こったらいよいよ持って、違う都道府県に引っ越した方がいいかもしれない。


この大日本悪路帝国という国は以前は日本なんかと呼ばれてたらしいが、何やらこの国の現天皇である『悪路天皇』により、改名された。

正直、変えようと思って変えられるものなのかは分からないが、昔にあった戦争があれこれと関係をしてくるらしい。


「で、今日はどうするよ?真司は学校でも行くのか?行かねえなら売春婦でも雇って乱交プレイでも楽しもうと思うんだがな」


「俺の部屋でおっ始めんじゃねえ。それに俺はお前と違って成績が余り宜しく無いんでな。中の下から下の中になったら笑い事じゃねえの。

 自慢じゃねえが、一日も学校を休んだ事が無いのが俺の唯一の自慢なんでね。そもそも、童貞の初めてを乱交プレイにするんじゃねえ。」


「ウブだねぇ……。じゃ、俺も付いて行ってあげて勉強を教えてあげるか」


結は突然と立ち上がり家の窓に向かい走りだし――「よっと」


何と、飛ぶやいなや身体の体制を横に水平にし、掠りもせずに窓から外に飛び出していく。

……つーか、此処って四階だよな?


「え?何!?えっ!?」


俺は混乱を止める事が出来ずに結が飛び出していった窓から顔を覗かせると、既に電柱の上に着地し、まるで忍者の様に近い電柱に飛び移る結の姿があった。


「えっ!?うぇ!!?おえっ!!!!?」


結は昔から何でも出来る頭脳明晰、身体能力抜群、男の娘とビックリする程どこぞのラノベかとツッコみたくなる様な能力だったが……


「い、いや……昔からあんなもんだった気がしなくもない……」


思えば、クマを倒したり、鬼を倒したり、酒呑童子をぶん殴ったりとかそんな事してた気が……


「……記憶から抹消したかっただけかな……、つーか何処に行った……。」


考える事の放棄を行う。無理だ。俺とは別の次元に居る人間なんだ。無理に理解しようとしても意味なんて無いんだよ。


食器の片付けも終え、現在七時十五分。学校に行くまで残り一時間。いよいよもって暇になってしまった。

何をしようかと、不意にテレビを付けてニュースにチャンネルを変えると、朝なのに特番か何かで先ほど軽く話題に上った連続殺人に付いてニュースキャスターが慌てた様に手元の原稿を読み上げていた。


何か事件でもあったのだろうか。すると、ニュースキャスターは落ち着きを見せ始め原稿を読み上げる。その内容とは――


『たった今、帝都の『刀京』地区において、13人が殺害される事件が起きた模様。遺体は総て死後30分。近くにまだ犯人が潜伏している可能性が御座います。十分注意をして下さい 』


――との事……。


「……」


え?マジで?嘘でしょ?冗談じゃないよね?


「えぇ……」


不安になって来た。だが、そんな俺の心理状況を尻目に突如として


ガンガンガン!!!


「うわおおおお!!!?」


玄関の呼び鈴が不安で一杯だった俺の心と心臓の寿命を数十年縮めてくれたお陰で少しだけ落ち着きを取り戻してくれた。

結かなと、少しの不安と早く安堵を得たいせっかちな俺の心が玄関を開けるのを推奨した。


だが、同時に存在する恐怖感も勝る劣らず、玄関を開けるのを既の所で止める。


「……よし、結だろ……。『刀京』って言っても割りと広いんだ……ビビり過ぎだって……」


そう言い聞かせ玄関を開けるとそこには――


「えっ……?」


「助…けて」


「えっ?」


「助…けて」






助けてと俺に救いを求める、白い髪と異型と言うには余りにも機械染みている、機械と言うには余りにも醜悪な右腕。

そんな少女が俺に救いを求めていた。


思えばこれが俺がこの戦いに巻き込まれる原因だったかもしれない。いや――――



最初から俺は当事者だったんだ。






親友キャラは私の性癖です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ