愛結と華穂
「もしもし、鷲尾様のお宅でしょうか?
こちら、ひまわり孤児院です。
実は、どうしても鷲尾様に会っていただきたい子供が居りまして。今までに居ないくらい、すごい才能を持っているんです。」
その電話を受けた恵は孤児院へ走った。丁度、また子供が欲しいと思っていたときだった。
孤児院へ着くと、幼女が待っていた。
「鷲尾様、わざわざ来ていただいてありがとうございます。
こちらが、電話で伝えました愛結ちゃんです。」
その幼女は、目鼻立ちが整っていて、容姿が端麗だった。こんにちは。と挨拶し、愛結はそばにある小さな椅子に座った。
孤児院の先生は、愛結が読んでいるという赤毛のアンの英語版や、アニーの本を見た。
愛結はアメリカで生まれ、両親が事故にあい日本へ来たのだという。愛結の才能は語学だけでなく、算数、理科、社会もできた。これは運命だ。と思った恵は、家に愛結を連れて帰ろうと思った。
無意識に、横に目をやった。
「あゆちゃんなんかよりかほちゃんのほうがかわいいよ!」
「ちょっと、やめなよ!このでしゃばり!いっつもめいわく。」
一人の、愛結と同じくらいの子供がいじめられている。
すみません。と、恵は先生に声をかけた。
「この子も、連れて帰りたいんです。」
華穂という彼女は、車の中でも騒いでいた。
「ねえねえ、どこいくの!おなかすいた!ねえ!なんかかってよ!ようふくほしい!」
「華穂ちゃん、あと少しでおうちにつくよ。着いたら、愛結もごはん食べる。何のご飯があるかな?愛結、楽しみだなー。」
同い年の幼女とは思えない、彼女たち。
家に着くと、昼食の時間になっていた。大きな家に目を丸くする愛結に、恵は話した。
「このお家はね、すごく大きいんだよ。プールもあるし、お花つんでもいいし。まずは、洋服買いにいく?まずは、お部屋に行ってゆっくりしたい?」
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
叫び声が聞こえた。
華穂。
華穂は、水を飲もうと、花瓶をひっくり返してかぶっていた。
そこへ凛が来て、花瓶をはずし、タオルを華穂に渡した。
そして家族は、食卓へ集まった。
そこで、愛結と華穂の自己紹介をした。
「今日から、鷲尾愛結になります。よろしくお願いします。」
「・・・よろしく」
「あなた、もう少し挨拶しないの?家族になるんだから。」
勝人の母:和子だった。しかし、華穂は話を聴かずにスプーンを使わずにスープに食らいつく。
「ちょっとエリカさん、華穂の食事下げて。」
「え、和子さ・・」
「こんなにマナーの悪い子は食事抜きです。」
そして、食事を下げられた華穂は・・・
愛結のパスタに顔をつっこみ、荒らした。
愛結の服にソースが飛び散る。
「まってて、愛結ちゃんおいで。玲奈のお古だけど、洋服あるから。着替えおいでよ!ボンボンとかあるし、、ね?」
玲奈と凛が愛結を連れて行く。
和子の、堪忍袋が切れる寸前だ。
「エリカさん?あとでパスタを愛結ちゃんにあげてもらえる?それと、今日の歓迎パーティーは愛結ちゃんにだけ!こんな子、立ってなさい!」
そして和子は冷静になった。
「エリカさん?華穂以外の子供をつれてドレスとタキシードを買いにいって頂戴。
この子のせいで不快だわ!ごちそうさま。」
華穂は和子に腕を引かれ、暗い裏の柱に腕を縛られた。
泣いても無駄。和子が言っていた。
いつまでこうなるのか。
一方の愛結は、初めての泡風呂を入り終えた。
「愛結ちゃん、どうだった?気持ちよかった?」
「うん!凛お姉ちゃん、玲奈お姉ちゃん、ありがとう!」
「ケーキあるよ!食べようよ!」
「わーい!」