プロローグ その1
ポストアポカリプスものです。更新速度は亀以下ですので、期待しないでね。
<とある兵士の回想>
『このプロジェクトには君の協力が不可欠だ』
『君には期待している。頑張ってくれ』
『リスクもあるが、君なら大丈夫さ』
『君の協力に感謝する』
先ほどおこなわれた、軍のお偉いさんと科学者を名乗る男との会話が頭の中で繰り返される。
何でも、『この戦争に勝利するのに極めて重要なプロジェクト』らしい。
俺の粗末な脳味噌じゃ詳しいことは分からないが、遺伝子学的、および生物学的な身体能力の超越がうんたらかんたら。まあ、要はスーパーソルジャー計画ってやつだ。いかにもあやしい。いきなりこんな事を目の前で言われたら、普通の人間は『ちょっと遠慮させて下さい』だろう。
だが、俺はこの誘いにのった。
べつに俺は、この時代の科学的発展に身を捧げるほど献身的じゃないし、軍を盲信しているわけでもない。
じゃあ何故かって?答えは簡単、「金の為」だ。
5歳まで孤児院で育ち、6歳になると同時に『非公式』な軍の養成所にぶち込まれた俺が唯一信じられるもの、それが金だった。ただ、それだけ。あ、軍以外に居場所がないってのもあったか。
おっと、結構時間がたったな。
俺は今、窮屈な箱に身をおしこまれ、何本ものチューブを身体につなげられている。時折、ロボットアームにくっついてる馬鹿でかい注射をうたれ、そのたびに意識がぼーっとなる。
(ほんとに大丈夫なのか?)
(あの科学者らしき男は『失敗する確立はゼロに等しい』なんてほざいてたが)
(この箱が棺桶にならないことを祈るしかないな)
(或いはモンスターになっちまうとか。想像したくねえ)
麻酔が効いているからなのか、とりとめの無い考えばかりがうかんできやがる。
(お、また注射かよ。いったい何本めだ)
『第一次移行、完了。次のシークエンスに移ります』
『第二次移行、完了。最終シークエンスに移ります』
『エラー、研究施設に重大な障害を探知』
『エラー、被検体の生命保護のため、最終シークエンスをコールドスリープ状態で行います』
『コールドスリープ、スタンバイ。コールドスリープまで、5,4,3,2,1,0』
『コールドスリープ、完了。よい夢を』
揺らぐ意識の中、最後に聞こえたのはそんな言葉だった。