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おずまほ!  作者: シン
第一章 将也と子犬と異世界と
6/6

1-6 オズってあのオズですか?

「……あっ!」


 魔法のレッスンが一通り終わったところで将也がとあることを閃いた。


「あの、スノーさん! 空間魔法を使えば元の世界に戻れる!?」


 空間魔法を使ってスノーが北の国からマンチキン人の国まで一瞬で移動したように元の世界まで一瞬で移動出来るんじゃないかと考えたのだ。

 それに対し北の国の魔女であるスノーは申し訳なさそうな表情で答えた。


「……残念ですが空間魔法は難易度が高く、異界渡りを行える程のエネルギーは膨大な量が必要になるかと。支払う代償が大き過ぎるでしょう」

「そうですか……」


 空間魔法は早々使えるものでは無いと告げられ、元の世界に戻ることが出来ないのか不安になり日本にいるであろう、おじおばを思う将也。


(こんな別れ方……おじさんとおばさんに申し訳ないな……)


 両拳を握り締め、表情には極力出さなかったが心の中で悲しみに暮れるのであった。


 そんな将也の様子に気付いたであろうアレックスがこちらへとやって来て打開策を打ち出す。

 ちなみにマンチキン人の皆は魔法の練習中どうしていたかというと離れたところで将也達を見守っていた。


「なあ、もしかしたらオズ様ならなんとか出来るんじゃねぇか?」

「オズ?」

「こっから西にあるエメラルドの都に住んでいるオズの大魔王様だよ。オズ様が黒髪の英雄なんじゃないかって皆思ってるんだが……」


(トトにオズ……魔法なんてものが使えたから大掛かりなドッキリじゃないんだろうけど、此処はオズの魔法使いの世界? そうすると僕がドロシーポジションなのかな)


 将也はオズの魔法使いについては大筋なストーリーしか覚えていなかったが、それでも聞き覚えのある単語がこうも出てきては一つの可能性に気付かない訳にはいかなかった。


「オズはとても偉い魔法使いで私達魔女が束になっても敵わない力を持っていると言われていますが……どうでしょうね」

「違うんですか?」

「エメラルドの都を見る限り力は大いにあると思います。ですが西の悪い魔女に西の国を追い出された過去もあるので正直言ってオズの実力は未知数と言えるでしょう」


(たしか原作でオズは詐欺師なんだっけ? でも僕も魔法が使えるこの世界ならもしかしたら……)


 オズその人への疑問は残るが何もしないで諦めるよりかはと将也は心の中で決意を固める。


「目指すはエメラルドの都、か」

「エメラルドの都への道には黄色いレンガが敷かれています。黄色いレンガを辿れば迷うこと無くいずれ着くでしょう。しかしエメラルドの都はこの世界の、大陸の中心にありますので長い道のりになるかもしれませんし、時には暗く恐ろしい場所もあるでしょう」

「それでも進まなければ物語……未来へは進めませんから」


 道中の危険をどんなに聞いても将也の心は既に覚悟を決めていたので問題は無かった。

 だがそれは1人旅になると思っていたからだ。


「トトも勿論、付いて行きます!」

「えっ? あ、うん。よろしく……ってトトは僕と一緒に付いてきて大丈夫なの?」


 保護した責任を放棄するつもりは無いのだが危険な旅路になるかもしれないのだ。

 そんな旅へと女の子を道連れにするのはなんだか気が引けた将也がトトに尋ねる。

 いっそのことマンチキン人の世話になるといった考えもあったのだがトトから元気の良い返事が返って来た。


「はい! トトはご主人様のペットですから!」

「またもや誤解を招く言葉!? いや、正しくは合ってるのかもしれないけども!」


 トトの人前での言動には注意するべきか頭を悩ませる将也。

 何はともあれ旅のお供が出来た。そして今後の方針が決まるのであった。






「ねぇトト。以前トトを飼っていた人ってどんな人か覚えてる?」


 ふとトトの名前を付けた人が気になった将也がトトに質問する。


「よく覚えてないです……」


 尻尾と共にしゅんと項垂れるトト。どうやら犬だった頃の記憶が曖昧になっているみたいだ。


「そもそも何でそんなに人間チックになっちゃったんだろうね」


 元気無く項垂れていた状態から一転、耳と尻尾をピンと立たせトトが主張する。


「ご主人様との愛の力です!」

「愛の力凄過ぎるよね!?」


 スノーにもマンチキン人の皆にも聞いたが理由は皆目見当もつかないようだった。

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