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おずまほ!  作者: シン
第一章 将也と子犬と異世界と
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1-2 予期せぬトラブル僕ブルブル

 将也が目覚めると眩しい程の太陽の光が降り注いでいる公園の花畑と思わしき場所だった。

 太陽光に少し目が眩んだが、身体に痛みは無く幸い怪我は無かったようだ。

 それだけなら良かったのかもしれない。しかし怪我をさせないよう胸に抱いていた子犬の姿が何処にもなく代わりに……。


「スゥ……スゥ……」


(女の子?)


 将也の胸に抱かれていたのは黒く艶のある綺麗な髪の毛をしていて、黒と白のメイド服のようなものを着ていた同い年くらいの女の子だった。

 女の子は将也の胸の上でスヤスヤと安心したかのような表情でどこか気持ち良さそうに眠っている。


(しかしこのケモ耳カチューシャといいコスプレイヤーって奴かな?)


 その女の子の頭にある髪と同じ色をした犬耳と思わしきケモ耳は、本物のようにピョッコリ生えているかのようだった。

 将也は所詮は偽物だろうと思っていたのだが……。


「いや、でもこの子の側頭部に人耳がある……あれ? 無い……」


 髪をかき上げてみると、そこにある筈の人耳が無かった。

 それどころかお尻の部分にも耳と同じく黒く艶のある尻尾が生えていて微妙に揺れていた。


「ん……うー、もう朝ですか?」


(……しまった。気付いたらこの子を胸に抱いていたり髪をかき上げたりしちゃったけど、この状況はマズくないかな)


 髪をかき上げたことがきっかけだったのか女の子が起きだした。

 最初、将也はこの状況を飲み込めなかったのだが段々と状況を理解し、ラブコメ的なハプニングに嬉しさを感じつつも焦り始めたのだった。


「あ、ご主人様! おはようございます!」

「ご主人様!?」


 尻尾を振りながら抱きついてそんなことを言ってきた女の子に、将也は焦り以上の恐怖を心の中に渦巻かせる。


(竜巻に巻き込まれた時に頭でも打ったのか!? そういうお店でそういう状況なのか!?)


 頭をフル回転させてみたがこの状況を全く理解出来ずにいた。

 そして将也がお店の、見当違いなのだが……支払い料金の心配をしていると女の子が将也の頬を舐めてくる。


「えっ? ちょっ!?」

「ハッ、ハッ、好きです……ご主人様好き。大好きです……」


(うおおおおおおぉぉぉ!? 僕はなんてお店に入っているんだ! よくやった、じゃなくてこれはイケナイ事イケナイ事)


 パニックになりながらも必死で理性を保とうと努力する。

 女の子相手に手荒な真似は出来ないという理由もあったのだが、抵抗らしい抵抗をしていなく、されるがままなので説得力が無い。


(こ、ここはぺろぺろ喫茶って奴だったりして!? ももも、もしかして友達から聞いたふふふ、風俗店って奴じゃないよね!?)


 そもそも屋外なのだが状況が状況だけに将也は冷静な判断が出来ないでいた。


「ん……ご主人様が助けてくれなければトトは飢え死にしていました」

「それは指名されて稼がないと飢え死にしちゃいます的な意味かな!?」


 焦りのあまりツッコミを入れた将也。

 女の子はトトという名前らしい。

 そしてこの場に声を掛けてくる者が現れる。


「あー、取り込み中か?」

「へ、へるぷみー! 取り込んでるけど助けてくださいぃ!」


 何処となく嬉しそうな悲鳴を上げながら声を掛けてきたおっさん? に助けを求める将也。

 このままだと理性が危ないと思ったのだ。


「しょうがねぇな……おい、嬢ちゃん。そういうことは人気の無いとこでやんな」

「いや、人気の無いとこでも困りますから!」

「ご主人様はトトのことがお嫌いなのですか!?」

「なんでそうなるの!?」


 おっさんがトトを諌めるようで問題を後回しにするようなことを言うが、将也はそれにツッコミを入れる。

 そのツッコミにトトはさもショックを受けたかのような反応をし、更にツッコミを入れる将也。

 さながら混沌としてきたが数分掛けて落ち着きを取り戻し、おっさんの話を聞くことになった。


「やっと落ち着いたみてぇだな。俺はマンチキン人のアレックスってもんだ」

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