1-1 竜巻注意報が発令されました。急いで逃げろぉ!
「さて、どうしたものかなー」
男子高校生の城島将也は悩んでいた。
太陽が雲に覆われ、風の強い学校からの帰り道にあるものを発見してしまったのだ。
「そんな目で見つめないで……」
並の人よりは動物が好きな方であると思う将也は、視線の先にある『ひろってください』と書かれたダンボールから身を乗り出し、こちらを見つめている子犬を観察する。
(犬種はたしか……ケアーン・テリアとかいったかな)
黒く艶がありモフモフしていそうな毛は是非とも撫でたいな、などと思いながらこのどう見ても捨て犬である子犬をどうしようか考えていた。
「動物好きとしてこのまま放っておく訳にはいかないし、かといって保健所行きも可哀想だよね」
将也は血の繋がっていないおじさんとおばさんの元で暮らしている。
あまり2人に迷惑を掛けたくもないのでペットとして動物を飼うことは遠慮しているのだ。
長いこと悩んでいた将也の耳に少し聞き取りにくい声で市内放送が入る。
『竜巻注意報が発令されました。市民の方々は安全な場所に避難してください』
「竜巻注意報かぁ、ますますこの子を放っておけなくなったじゃないか……」
とりあえず子犬を抱きかかえて自宅へと小走りで帰る将也。
おじおばを説得するにしろ、飼ってくれる人物を探すにしろ一旦家で保護しようと考えたのだ。子犬はおとなしく将也の腕に抱かれている。
「やっぱり風強いなぁ、ってアレ竜巻……じゃないよね? ていうかヤバイよね!?」
そんな将也の目の前に渦を巻いている竜巻が迫っていた。
竜巻は人程度は簡単に飲み込んでしまうだろう大きさだった。
規模は中々にでかく、周りにある物体という物体を壊しながらこちらに向かってくる。
将也は軽いパニックに陥り、回れ右して全力ダッシュしながら神に祈る。
「オーマイガっ! こんなことになるならもっとこの子をモフモフしとくんだった! 神様仏様モフ神様どうか動物愛護の精神で我を守りたま……」
最後まで言い切ることなく将也は竜巻に飲まれるのであった。




