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ソウダオウトヘイコウ

仕事の都合で執筆が遅れてしまいました。

 淡い水色の壁紙に家具は白を基調としたもので統一されており、ベットは天蓋付。

まさに西洋のお嬢様のお部屋に元の世界も今の部屋も和風のアカネにとっては憧れの部屋の為ついつい見てしまう。

 アカネがきょろきょろ見渡してる間に繋いでいた扉を閉じるシロエール。


「また向こうに繋げられる?人を集めてあいつら一網打尽にすれば犯人わかるかもしれないよ?」

「場所が分からないので維持できなかったし、繋ぎなおすのは多分無理なのです」


 流石にあの部屋と船という情報だけでは扉を開けるイメージができなかった。

 マナの量ともう少しイメージ出来れば不可能ではないかもしれないが今のシロエールには血を流すアカネを思い出してしまいあの部屋をイメージしたくなかったのだ。

 少し落ち着くと部屋の外が騒々しい事に気付く、それもそうだ私達二人は今誘拐されているはずなのだから。

 何か気まずい、ドラマとかの誘拐犯の声明をまつ家族の前にあっさり入っていけといわれても空気が重くて切欠が欲しいなと思うアカネ。そんなアカネの考えとは裏腹に平然と部屋からでて1階の応接間へ向かうシロエール。


「え、ちょっ、シロ!?」


 慌しく動いてた騎士やメイドが二人を見るやいなやぴたっと塊凝視する、意に介さずすたすた歩くシロエールについてくアカネ。

 応接間のドアを何事もないように開ける。中はアカネの想像していたのと余り変わらない状況だった。

 一生の深くと切腹するんじゃないかと思う忠義の塊や純粋に家族の安否を心配する兄。子供の安否を案じつつ誘拐犯を捕まえて断罪仕様と考えてそうな親。

 そんな重々しい視線が一斉に二人に向けられ空気が固まる。行き成りの二人の帰還は誰も予想していなく一斉にポカンとしてしまった。


「お父様、お母様ただいま戻りました」

「シ、シロエ!?」

「アカネ様!ご無事でしたか!?」


 皆一斉に私達を取り囲むと泣きながら抱き締めたりよかったよかったと安堵を浮かべてくれる。

 大人たちを宥めるのに大分時間が掛かったけどようやく本題に入る事になった。

 経緯と問いただされるとシロちゃんは細かい所を覚えていた。

 誘拐犯は音を消す魔法を使っていた事、顔合わせにゴロツキを雇っていたとか。この子の態度をみてると歳相応とは別に何かを私は感じとっていた。

 この子は一体どんな感じに物事を見てるんだろうなーと不思議に思う。

 シロちゃんの会話の中に鍵魔法で扉をあけて逃げた件に違いがあった。あの子は扉を自分で作り出したのにその部分はぼかしたのだ。私はすぐに彼女の言葉を思い出す。

 ああ、シロちゃんが内緒にして欲しいのは鍵魔法を使ったことじゃなくて、扉を出現させた事か。

 私は鍵魔法に関しては殆ど知らない。折角だし今度調べてみよう。



 二人が誘拐されてからまだ半日しか経っておらず、船に待機していた騎士達も再編成に組み込まれ旅にしては可也の大編成となっていった。

 船の警備は領主側から出す事となり、予定より一週間遅れたものの王都へ出発の時となった。


「私も王都に行くのです?」

「正確には私達全員だ。この問題は一領主の判断で済む問題ではないからね。上に報告せねばならないし、私の領土でこんな不手際があったんだ責任をもってお送りしないと気が済まない。」


 これで再び身内だけの生活に戻り、初めての友達とのお別れかと思いきや、他国の王族が襲われたのだ、確かにこの一大事を領主直々に報告しに行くのは妥当かもしれない。

 ヴァイスカルト家もに荷支度に取り掛かり仕事を一時執事に任せ出発することとなった。


 出発の日玄関前に以前とは別の大型の箱馬車が待ち構えている。護送用の馬車は魔法で強化されていて窓ガラスも下手な攻撃は受け付けない。

 街の外へとゆっくりと馬車は動き出した。シロエールの知らない世界。整理された舗装路以外は全体的に自然が広がっている。アカネとは別の馬車になってしまったシロエールは風景を見ながら見たことがないものを両親に聞くことを楽しみとして時間を潰していた。

 この世界には魔物は存在する。整地された街路では獣程度のモノしか現れないが迷宮や森の奥には形容しがたい化物レベルもいて挑戦した冒険者が死ぬ事もよくある話だった。


 旅の方は順調で何事もなく炭鉱都市に到着。炭鉱都市の長である炭鉱種族ドワーフの長から前もって申請しておいた武器を受け取る。

 レイヴン武器は中々大きめのミスリル製の青龍刀だった。

 ミスリルはこの世界の三大金属であるヒヒイロカネ、オリハルコン、アダマンタイトに比べると可也劣るものの上記の金属は伝説級扱いの希少金属であり3つよりも安定した供給と他の金属より十分上質である為、冒険者達はこの武器を手に入れる事がベテランの仲間入りとも言われている。

 炭鉱都市からおよそ3日程で王都に到着した。


 王都はシロエールの故郷とは比べ物にならない程大規模な街だ。

 五角形状の大きな壁で囲んでおりその外側を水が流れていて巨大な可動橋が掛けてある。

 下水道の形状が水の流れを使った魔法陣として形成されており永続的な結界となっているらしい。マナは住民から微弱に消費しているらしいが何分遥か昔の話の為、今もその機能しているのかどうか知識のあるシロエールすら分からない。


 城門前で審査を受けてから入る形をとっているので橋の手前で馬車が止まる。

 一般だと荷物確認等で結構時間掛かるが、貴族とか王族となったらそんなに時間はかからない。身分証明だけすませれば他は省略されるからだ。

 シロエール達の優先的に此方の馬車を通される中、彼女が他の検問中の馬車を眺めていると檻の馬車が横に並んだ。その時、ほんの数秒だろうか確かに眼が合った。犬みたいな女の子、狼耳尻尾科ワーウルフだ。この場合犬型も一括りになっている。

 ウェーブのかかった少しふわふわのクリーム色がかかったペールゴールドの髪、大きくたれた髪よリ濃い色の耳、ふさふさの尻尾。所謂ゴールデンレトリバーを思わせる外観をしている。少女とシロエールの紫色の瞳と青い瞳がお互いを映し出す。

 歳はそう差はないだろう、少女の眼には生気は殆どなく理不尽に押し潰され諦めきった瞳だった。

 他に乗っていた人達をみても恐らく奴隷だろう。この世界に生まれたシロエールにとっては奴隷は普通の存在である。先ほどの少女をみるに恐らく売られたのだろう。

 シロエールの乗った馬車はそのまま王都の中へと進む。シロエールはあの瞳がなぜか気になってしまい後ろを向いて彼女乗っていた檻の馬車をずっと眺めていた。

 

 その気持ちも可動橋を渡りきり門を潜る頃には胸の底へと一旦仕舞われていった。

 馬車から見れる風景は人々の熱気、多種族国家の名の通り沢山の種族が営んでいた。


(これが王都、凄いおっきくて人が一杯だなあ…何か吸い込まれそう)


 シロエールの純粋に王都の風景に興味津津の様は両親から見ると怖い眼にあった彼女に良い気晴らしにもなって良かったと思っていた。誘拐されたのに取り乱さず落ち着いていて何事もないように鍵魔法を使って帰って来た娘に本当は心が傷つき病んでしまったのを必死に隠してるのではないかと心配だった。


 王都到着初日、中心部近くの上流階級専用のホテルにチェックインした。王族や貴族御用達の為、無駄に豪華なつくりでシロエールには驚くことばかりであったが初めての長旅は疲れたのかホテルのベットに横になったら泥のように眠り込んでしまった。

 次の日、レイヴンの入学試験の為に試験会場へと赴く騎士団の精鋭とアカネ達。

 国家間に及ぶ事件の為報告にいった両親と従者数名。

 そしてシロエールは、双子達と共に精鋭のメイド部隊と騎士達の警護をうけながらホテルに半場軟禁状態であった。

 迂闊だった。熟睡していたせいか出発の時間も眠りこけていた為、起こすのは忍びないという事で置いて行かれたのだ。


「退屈なのです…」

「いけませんよシロ様子の間あんな事があったんですからご自愛くださいませ」


 メイドの言うことは最もだ。王都だからって安心して観光できるわけでもない。

 両親もアカネもいないホテルは窓辺の風景しか楽しめないシロエールには退屈で仕方が無かった。

 鍵魔法をつかって外へ出るという選択肢もあるけどメイドの眼から逃れるのは中々難しい。

 王都に何日滞在するかは分からないが明日すぐ出発する事もないだろう。今日は大人しくどちらかが帰ってくるのを待つ事にするしかないのだろうか。

 結局どちらも帰って来たのは夕暮れ時で夕食もホテルのルームサービスを取る事になった為一度も外に出ぬまま2日目を終える事となった。

 ちなみにホテルの食事は豪華だった為美味しく頂いたシロエールであった。


 ホテルの部屋に備え付けてあるお風呂に幼女2人はいた。

 大人1人分位の作りでもこの二人には十分広く泡を立てながら2人は湯船に浸かっている。 

 両親は明日も報告や連絡会、レイヴンは明日学園へ出発する事となった。学園は王都から離れており一つの街になっているらしく上流への運河に定期便があるのでそれに乗るらしい。

 カレンは自分が行く時の楽しみとして見送りはするものの、見学しには行かないとシロエールに告げる。


 「では、お見送りの後王都を見て回れます?」

 「んー、多分警護もいるし大通り限定なら出来るかもしれないねー」


 お互いに背中をながしたりシャンプーで洗いっこするなどしていたら……のぼせた。

 少しあきれられつつ二人は寝巻きを着せられベットへと運ばれていった。


 一方其の頃、数日録に食事をとらせて貰えず周囲は泣き崩れる同年代の子供達。

 一人の女の子は聞いてしまった。誰かに早く知らせないと大変な事になる話を。

 だけど少女にはどうすれば此処から出られるか分からなかった。

 だって自分の足は鎖で繋がれているから。

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